単純疱疹(Herpes simplex T)

単純疱疹とは
口唇(皮膚粘膜移行部)を中心とした水疱形成を特徴とするウイルス感染症。

原因と誘因
単純疱疹ウイルス(HSVT)が宿主に潜伏、持続して感染し、熱性疾患、胃腸障害、過労、日光照射、寒冷などで誘発され発症します。
初感染発症例では、急性疱疹性歯肉口内炎として激しい症状を呈することがあります。

臨床的特徴
好発部位
口唇および口囲に発現することが最も多い。
単純性疱疹の約
50%、顔面、頸部、口腔領域における発症の65%を占めています。
性差
発症に性差はみられません。
好発年齢
年齢分布には2〜5歳(おもに初感染例)と20〜39歳(おもに再感染例)の2峰性を示しています。

臨床症状
症状

上唇、下唇、口角部の粘膜、皮膚、粘膜皮膚移行部に灼熱感、疼痛(ピリピリとした感じ)で始まり、1~2mmの丘疹性紅斑が集簇性に出現し、1〜2日間の間に丘疹上に小水疱を形成します。
同時に所属リンパ節の腫脹を認め瑠事も有ります。

小水泡は1〜数日後に膿疱化し破れてびらんとなり、痂皮形成が起こり抗体が産生される結果、2週間前後で治癒します。
初感染時には口唇疱疹に激しい口内炎併発して重症感を呈することがあります。

診 断
赤唇および口囲を中心として、集簇性に出現する小丘疹紅斑と、その上に形成される小水疱、小水疱破壊後の痂皮形成に留意すれば診断は容易です。

治療法
対症的治療と二次感染に対する予防と治療が本疾患の治療の主体となります。
重篤例は少なく、抗生剤軟膏の局所的塗布および抗生剤の全身的投与などにより、10〜20日前後ですみやかに治癒する場合が多い。


症例ノート

           HSVTの再感染