帯状疱疹

  
帯状疱疹とは
ウイルスが宿主の知覚神経節に潜伏、感染し、末梢の神経分布範囲に一致して帯状に水疱を形成する特徴をもった伝染性疾患です。

原因
水疱−帯状疱疹ウイルスの初感染像が水疱で、水疱が治癒後に知覚神経節にウイルスが潜伏、持続感染し、免疫能の低下時(悪性腫瘍、抗癌剤、副腎皮質ホルモン、放射線療法後など)に発症する例が多いです。
再発はみられません。

臨床的特徴
好発部位
脳脊髄神経の支配領域にみられ、胸部、頸部、三叉神経の順に多いようです。
三叉神経の支配領域における発生頻度は、第1枝(眼神経)約40%、第2枝(上顎神経)約25%、第3枝(下顎神経)約20%で、第1枝と第2枝、第2枝と第3枝の合併例も10%前後観察されています。

臨床症状
症状
片側性に一定の神経支配領域に軽度または中等度の神経痛様疼痛(チクチクする痛み)や灼熱感を自覚します。
ときに全身倦怠感を伴った発熱(
3839℃)などの風邪様症状を認めることもあります。
続いて数日後にはその神経の支配領域に一致して発赤およびびまん性の腫脹が現れ、集簇性に紅暈を伴った丘疹がみられ、丘疹上には小水疱が形成されます。
所属リンパ節の腫脹や圧痛も認められます。


小水疱は1〜3mmで透明の内容物を容れていますが次第に混濁、膿疱化して黒褐色の痂皮形成が起こり、3〜4週間で治癒します。
ところが、褐色の皮膚色素沈着、軽度の瘢痕形成、神経痛様疼痛や運動神経麻痺などの後遺症を残すことがあります。

口腔の粘膜面における病変は、神経の支配領域に一致して発赤および多数の小水疱形成、さらに紅暈を伴ったアフタ様潰瘍が認められます。口腔粘膜病変は第2枝,第3枝のいずれが侵されても口唇、舌、頬、歯肉にみられますが、症例によっては認められないこともあります。

治療法
ウイルスに対する特異的治療法はなく、神経痛様疼痛の緩和と二次感染の防止を主眼に行われます。
本症例は一般的に重篤な場合が多く、入院下に治療を行うことが望ましいです。


診 断
単純性疱疹、口蹄病、皮膚・粘膜・眼症候群などとの鑑別が要求されますが、片側性で一定の神経分布領域に一致して生じる集簇性の紅斑性丘疹、小水疱形成および神経痛様疼痛、痂皮形成などに留意すれば容易です。