コクサッキーウイルス感染症  

コクサッキーウイルス感染症とは 
コクサッキーウイルスA群(A-2,4,6,8,10)による感染症で、口腔領域では口峡部の炎症(ヘルプアンギーナ)として現れる事が多いようです。

ヘルプアンギーナとは 
ヘルペス(疱疹)は、皮膚あるいは粘膜に小水疱が集合性に存在する状態を意味し、またアンギーナは語原的には絞扼感を起こす疾患の総称ですが、狭義には口峡部の炎症をいいます。

原因
エンテロウイルス(腸管ウイルス)による感染症で、コクサッキーウイルスA群(A-2,4,6,8,10)が分離されることが多い。
また腸管ウイルスによるものなので、夏から秋にかけて発病することが多いです。


臨床的特徴
好発部位
軟口蓋および口蓋垂、口蓋弓、咽頭壁などの口峡部の粘膜に限局し、左右対称性にみられるのが特徴的です。
好発年齢
幼児、小児に多くみられますが、成人にも発病します。

臨床症状
症状

潜伏期間は2〜4日で幼児、小児に多くみられますが、成人にも発病します。
発熱、咽頭痛などの症状とともに発病し、食欲不振、全身倦怠などの全身症状を伴いますが、ときには頭痛、下痢、嘔吐 、筋肉痛などの症状がみられることもあります。
口腔内では、軟口蓋および口蓋垂、口蓋弓、咽頭壁などの口峡部に発赤がみられ、同部に左右対称性に10〜20個ほどの小水疱を生じ、まもなく破れて小円形潰瘍を形成します。
潰瘍は周囲に紅暈を伴い、潰瘍面には灰白色の偽膜が認められます。
また硬口蓋や舌の後方部にも連続性に発赤や小円形潰瘍がみられ、咽頭痛のため嚥下障害があり、流涎がみられることもあります。

診 断
ウイルス性疾患は、一般に臨床的には特徴的な発疹の形状および分布状態から鑑別されますが、本症の口腔粘膜疹は、疱疹性歯肉炎、慢性再発性アフタ、水疱などとの区別が難しいです。
疱疹性歯肉炎は別名をアフタ性口内炎ともいわれ、小児に初感染としてみられることが多く、全身状態は似ていますが、口腔粘膜疹は口腔の前方部に出やすく、口峡部などの後方部に限局してみられることはありません。

また水疱は数が少なく、水疱の時期が長いなどの特徴があり、再発性アフタは口内炎の症状を伴うことはありません。
帯状疱疹は皮疹がみられ、通常片側性で神経痛様疼痛を伴うことが多いです。手足口病では、ほとんどの症例が手掌、足の発疹と同時にみられますが、口腔粘膜疹のみの場合には鑑別が難しいです。

治療法
生体の抵抗力を高めるため、全身状態の改善に努めます。
特に小児の場合には、水分、栄養の補給に留意し、口腔内を清潔にします。処置は特に必要ないが必要があれば対症的に 行います。
発熱などの全身症状は、はじめの2〜4日で軽快しますが、口腔内の症状は1〜2週間で消退し治癒するのが普通です