3:口腔乾燥症の検査


 歯科臨床でみる口腔乾燥患者の多くは、安静時唾液分泌量低下と関連していることが多いようです。
 そのため、刺激唾液量の検査を用いると安静時の口腔乾燥症状を客観的に評価できません。
 また、要介護者や寝たきり高齢者などでは、咀嚼法や吐唾法といった口腔機能に依存する検査そのものの実施が不可能な場合が多くみられます。
 したがって、口腔乾燥症の評価法としては、自覚症状、臨床診断、安静時の唾液分泌状態、粘膜湿潤度、唾液の物性の評価などが有用です。


A:自覚症状に関する問診項目
 口腔乾燥を老化のせいと思い込んでいる患者さんも多く、「口が乾燥していますか?」という問診では発見できません。
 口腔乾燥症では、唾液の性質や水分補給の頻度、夜間の水分補給、食事時の水分補給の有無、のど飴や清涼飲料水などの摂取頻度、義歯のトラブルなどについて問診します。


B:視 診
 通常の口の中は、唾液によって湿っているのが普通です。
 しかし口腔乾燥が起こると粘膜を覆っているはずの唾液の変化が見受けられるようになります。
 その場合には、次のような変化が生じます。

    0度(正 常):乾燥なし(1〜3度の所見がなく、正常範囲と思われる)
    1度(軽 度):唾液の粘性が見られる。
    2度(中程度):唾液中にの小さい唾液の泡が舌の上に見られる。
    3度(重 度):舌粘膜が乾燥している。(ほとんど唾液が認められない)

     
 
         図2:粘ちょうな唾液         図3 泡沫状の唾液             図4:乾燥した舌

 口腔乾燥の進行した状態では、舌や口蓋から乾燥症状を呈する場合が多く、中程度や重度になるにしたがって舌辺縁部や舌下部にまで乾燥所見が見られるようになります。
 乾燥感をもっとも自覚する部位については、これまでの臨床例から、軽度では舌背部表面と口蓋部で、中程度では舌側縁部まで、重度では舌下部まで自覚するようになることが多いようです。


C:エルサリボ検査(湿潤度検査紙)
    エルサリボを用いて粘膜上の唾液湿潤度を計測します。
    舌粘膜上では10秒間で2mm未満は乾燥傾向あり、3mm以上でほぼ正常となります。


    


C:口腔水分計

粘膜上皮の水分量を静電容量として測定し、評価する機器です。
 約2秒間の計測で完了です。