口腔乾燥症における検査結果の検討
【目的】
口腔乾燥を有する患者に対し、歯科開業医が対処しうる事項の検索を試みました。
【対象と方法】
当歯科医院、老健施設入所者、病院入院患者111例を対象に、臨床的視診判定、スカラ社製口腔水分 計、ライオン社製エルサリボを使用して口腔乾燥度の検索を行いました。
【結果】
医院通院者と施設入所者の口腔乾燥度に明かな差はなかったが、入院患者では顕著な口腔乾燥が認められました。
加齢に伴う乾燥度の上昇は明かではなく、全身疾患およびその治療薬の影響が示唆されました。
また、歯牙の有無が口腔乾燥に与える影響は小さく、それよりも咀嚼がなされているか否かが乾燥度に大きく関与していました。
【考察】
われわれ歯科開業医は、咬合・咀嚼機能の回復・維持を図ることで、口腔乾燥症が局所的・全身的に及ぼす弊害を軽減出来るものと考える次第です。
尚、本内容の要旨は、2004年日本口腔衛生学会近畿中四国地方部会で発表しました。
この結果から、胃ろうなどの非経口摂取の患者さんにおいても、口腔乾燥の予防の見地からすれば、義歯による咬合機能の回復が必要な事が示唆されるものと思われます。