●彼岸花の盛りは過ぎて、もうすぐ秋本番ですね、大山の紅葉の便りが聞こえてくる頃。大山まで行かなくても、大学周辺や湊山公園の銀杏の黄葉もとても印象的です。
●色が変わると言えば、皆さん生きているイカは何色かご存じですか。イカ刺しになってしまうと白一色ですが、生きているイカは実にカラフル、多彩な色になります。

例えばこれは釣れたばかりのアオリイカ。写真では黄色〜黄土色の縞模様に見えるだけですが、ほんとはネオンサインのようにめまぐるしく体色を変化させています。 これがだんだん弱ってくると、

スーパーで見る普通のイカの色になってしまいます。もう一例、

これは、釣り上げたばかりの紅イカですが、怒って(?)全身を紅白に点滅させているところ。
●調べてみると、イカの体色変化はとにかく速い。これほど速く身体の色を変えることができる生物は他にいないんだそうです。すると、その仕組みは?
|
イカは色素胞という細胞にオモクロームという色素を溜めている。色素胞は筋肉細胞に付着しており、筋の収縮・弛緩に伴ってその表面積が拡大・縮小するので、イカは瞬時に体色を変えることができる(図はこのサイト から引用)。
|
ふむふむ、筋の収縮・弛緩により体色を変化させる、と!それは速いはずですね。弱ると白くなるのは筋が弛緩してしまうからですな。人間であっという間に色が変わるというと「恥ずかしくて顔が真っ赤になる」「ショックで真っ青になる」なんていう状況が思い浮かびますが、これらは血管平滑筋の収縮・弛緩に伴う皮膚血流量の増減を反映している。人間の皮膚のベースの色といったらメラニン色素をため込んでいるメラノソームですが、メラノソームの数や形態を瞬時に変えることはできません。
●メラノソームの数が増えるのが、日に焼けて肌が黒くなる時。紫外線で活性化された色素細胞(メラノサイト)がより多くのメラノソームを作るようになる。できたメラノソームは表皮細胞(ケラチノサイト)に受け渡されて皮膚全体に分布する。下の図はこのファイル から引用。

十数年前、エンドセリンというペプチドの研究をやっていたとき、メラノサイトの分化・増殖について勉強したことがあります。というのは、エンドセリンがどちらも刺激するという話があったんですね。エンドセリン受容体のアンタゴニストを肌に塗ると色が白くなる(かもしれない)。こういう研究を一番熱心にやってたのは花王などの化粧品メーカーの研究室だったのですが、あの話はどうなったのかなあ・・・また時間があったら調べてみようと思います。
|