●その一。
先日後期試験の面接のとき、大阪から来た子だったかな、受験生に「米子の印象は?」と尋ねたら「JRで駅員さんに切符を手渡ししたのが新鮮でした」と。そ、そっか〜生まれたときからずうっと自動改札なんですな〜。
大阪の電車と言えば確か昨年の5月某日、新大阪駅で新幹線を降りた私は御堂筋線の電車に乗り込みました。府立大学で非常勤講師に呼ばれてて、キャンパスのある中百舌鳥(なかもず と読みます)はどんつきです。お呼ばれですから、スーツでびしっと決めております。で、昼間だったのですいている電車の座席に腰をおろすと、向かい合わせにかけていた妙齢の女性が、いかにも何か問いかけたげなまなざしで私の顔を見る。ふむ、初対面とはいえこのようなナイスミドルに女性が興味を持つのは当然のなりゆきである、なんでも伺いましょうと鼻の下を伸ばした私に、意を決した面持ちの彼女が投げかけた衝撃の台詞とは!! -> クリック!
●その二。
英語は難しい。それでも英語で論文を書かないといけないし、プレゼンをしなければいけないこともある。場数を踏んだ年の功、なんとかかんとかごまかしながらやっていると「どうすれば英語が得意になるでしょうか」と尋ねる若い人がいる。N教授応えて宣わく「恥をかけ。」そりゃ〜もおどれくらい赤っ恥をかいてきたかっていう話ですよ、数え切れない失敗のなかでもよく覚えているエピソードのひとつはもう20年ぐらい前、カリフォルニア州サンディエゴのとある公園。
暑い日でした、ってサンディエゴは一年中暑いんだけど、アイスクリームの移動販売のスタンドがあって、女子高生とおぼしきteenagerが店番をしてる。メニューにはvanillaとかアイスクリームの種類の他にsingle or double と書いてあって丸いスコップみたいなやつでひとすくいがsingleらしい。
それで"I have a single vanilla."と注文した私に彼女が問い返して”What's the topping?"
残念なことにこの時私はtoppingという言葉の意味がわからなかった、わからないなら聞き返せばいいものを"I have a single vanilla."と繰り返したから、どうなったと思います?おもむろにうなずいた彼女がくるりんくるりんとアイスクリームをすくってコーンにのせて差し出したのは、double vanilla!Singleを注文したはずなのにdoubleを手渡されて驚く私、目の前には「どうだ」と言わんばかりに自信たっぷりの女子高生。
Toppingの意味がわかって、なぜsingleがdoubleになったのか理解したのは数年後、日本のハーゲンダッツでアイスクリームを注文したときでした。A single vanillaにa single vanillaを toppingするとdouble vanilla・・・とっても論理的・・・なのか?あの時の女子高生はなにを思ったんだろう、英語もしゃべれないアジア人がわけのわからないことを言うと怒っていたのか、それとも、a single vanillaを toppingするという謎かけみたいな注文をうまくこなして喜んでいたのか。
●その三。
日本語は難しい。特に方言になるとどうしようもない。米子に引っ越してきて間もない頃、ある夏の日の夕暮れ、例によって例のごとく美保湾に向かって釣り糸をたれるN教授。アジ釣りのシーズンですからね、波止には老若男女がずらっと並んでいまかいまかと時合いを待っている。
釣れだすのはたいてい日没のころ、この日もあたりじゅうで歓声があがり始めます。N教授の隣のおじいさんはさすがに年季がはいっていて、次々に大きなのを釣り上げています。が、言うことがちょっと変・・・「意外なやつが釣れた!」「またまた意外なやつが釣れた!」
えええええ〜おじいさん、あなたはアジ釣りをしているのではないのですか、そしてあなたが次々に釣り上げているその魚はどこからどうみてもアジなんですけど、もしかしてあなたの目には何か別の種類の魚に見えるのでしょうか!? 「おじいさん、それアジだから!全然意外じゃないから!」突っ込みを入れたくてたまらないN教授ですが、満面の笑みを浮かべるおじいさんに遠慮してぐっとこらえたそうです。
後日、米子の夏祭りは「がいな祭り」といってこれは「大きな祭り」という意味であると教わってから幾星霜、ある日突然ひらめいたのは・・・「がいなやつが釣れた!」「またまたがいなやつが釣れた!」

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