FSC森林認証に係わる安全・環境マニュアル 日南町森林組合
FSC森林認証取得に伴い環境に配慮した適切な森林管理を行うため、各作業については、特に次の事項に留意して作業を行って下さい。
1、労働安全衛生管理規定
1.作業者は着装の乱れに注意して、必ず下記の安全装備を身に付けて作業に臨むこと。
(1)植付け :ヘルメット、地下足袋、すね当て、手袋
(2)刈払い :ヘルメット、地下足袋(ステン入り)、すね当て(ステン入り)、
防振手袋、ゴーグル、安全ズボン、イヤーマフ
(3)伐木 :ヘルメット、地下足袋(ステン入り)、すね当て(ステン入り)、
防振手袋、ゴーグル、安全ズボン、イヤーマフ
(4)集材作業 :ヘルメット、地下足袋(ステン入り)、すね当て(ステン入り)、手袋
(5)枝打ち :ヘルメット、地下足袋、すね当て、手袋、ゴーグル、手袋、
安全帯(ハシゴ使用時)
2.作業開始前には、現場責任者が司会のもとミーティングを行い、安全面を再確認すること。また、作業機器具の点検を行うこと。
3.刈払い・伐木等、労働災害の恐れが高い作業では、安全面に十分配慮して、林材業労災防止協会の定める安全作業を順守した上で作業に臨むこと。
4.作業現場には常に救急箱を携帯し、少なくとも止血、骨折、虫(蜂、虻等)への処置が行えるものは常備すること。
5.火災予防及び爆発防止のため火元の後始末・消火設備の配備・防火責任者の標示・喫煙場所の固定、以上の5点に配慮すること。
6・労働災害が発生した場合は、発生日時・災害の状況・災害の原因・災害の略図・負傷者等をまとめたうえ、グループマネージャーに報告書を提出すること。
2、安全管理規準
項目 |
施行方法 |
安全対策 |
作業前の打合 |
@班長がリーダーとなり作業の手順、作業員の配置・合図方法の等の打合せを行なう。 |
@作業前にTBM-KYを実施する。 |
安全装備 |
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@安全装備は別紙のとおりとする。 |
チェンソー作業 |
@足場と退避場所を整える。 A立木に絡まる、つる類、小木など支障になるものは必ず取り除く。 B伐採時は他の作業員との間隔を十分にとる。 |
@現場責任者は、伐採木が周辺樹木に損傷がないようロープ等を使用した安全な伐採方法を適切に指示する。 A公衆の立ち入る危険のある場所では監視員を配置し笛で合図してから倒す。 |
刈払機作業 |
@足場を十分確保し、身体のバランスに配慮した姿勢で作業する。 A作業中は他の作業員との間隔は5m以上離れて作業する。 |
@丸鋸取付部に雑草、つる類が絡まった場合は、エンジンを止めてから取り除く。 A移動するときは、エンジンを止める。 B上下作業をしない。 |
枝打作業 |
@ハシゴは地面にしっかりと差込み、木の幹にしっかりと固定する。 |
@安全帯を使用する。 |
その他手作業 |
@足場には十分注意する。 |
@上下作業はしない。 A鍬、鉈等の柄は、抜けるおそれがないように、しっかりと取り付けられたもの。 |
伐倒作業 |
@足場と退避場所を整える。 A立木に絡まる、つる類、小木など支障になるものは必ず取り除く。 B伐採時は他の作業員との間隔を十分にとる。 Cかかり木の処理は適切な方法で行なう。 |
@現場責任者は、伐採木が周辺樹木に損傷がないようチルホール等を使用した安全な伐採方法を適切に指示する。 A公衆の立ち入る危険のある場所では監視員を配置し笛で合図してから倒す。 Bくさびを使用する場合は、2個以上使う。 Cかかり木はチルホール等で適切に処理する。 |
造材作業 |
@造材すると転動するおそれがある時は杭止めなどの処置をする。 |
@材の下側(谷側)の位置で、作業しない。 |
※参考 TBM−KYとは・・・T(ツール)B(ボックス)M(ミーティング)ーK(危険)Y(予知)
3.作業種の実行マニュアル
環境に配慮した森林管理を行うため、作業については、次の事項に留意して作業を行いう。またその他の詳細事項については、造林作業基準及び伐木造材・搬出基準並びに作業路設計基準等の作業基準を順守するものとする。
3−1 伐 採 (皆伐)
(1) 伐採準備のための下刈りは、可能な限り下草・広葉樹を残すこと。
(2) 渓流付近の下草は、流水部から片側5mを目標として残すこと。
(3) 伐採木の根元部端材や残枝等は渓流に放置せず、流出の恐れがない箇所に戻すこと。
(4) 再造林しても生長量が望めなく経済性が低いと判断される場合は、皆伐せず残して、場合によっては広葉樹林に誘導していく。
3−2 伐 採 (抜き伐り)
単木的に高収入が見込める場合は、所有者の意向に基づき抜き伐りを実施するが、作業においては上記3−1に留意する。
災害、事故を誘発しない範囲で、古木・枯れ木等は林内に残す。
3−3 地拵え
(1) 有用な広葉樹を残し、必要以上の刈り払いを避けること。なお、保残帯を設ける場合は、現地の地形に配慮して設置すること。
(2) 古木や枯れ木等は、施業に支障のない限り林内に残すこと。
3−4 植え付け
(1) 苗木の種類は、植え付ける土地の条件を考慮したうえで慎重に選択すること。
(2) 渓流付近への植栽は、バッファーゾーンを考慮して行うこと。
(3) 森林動物の食害から苗木を守るための処置を、必要に応じて的確に取ること。
3−5 倒木起し
(1) 倒木起しに使用するロープ類は、可能な限り、わら縄、麻縄等自然素材のものを使用すること。
(2) 使用済みのビニール製ロープ等腐朽しないものについては、造林木より取り外しを行い適切に処理すること。
3−6 施肥・野兎防除等の薬剤使用
(1) 飲料水等を集落裏山の水源地に依存している地域にあっては、水源林での化学肥料、忌避剤、枯殺剤等の使用は避けること。
3−7 下刈り
(1) 林分の状況を判断のうえ下刈り方法を決定し、必要以上の刈り払いは避けること。
(2) 広葉樹は、主林木の生長に支障のない限り残すこと。
(3) 鳥類の営巣が見られるときは、周辺を含めて作業に配慮する。
(4) 渓流付近の広葉樹の刈り払いは原則として実施しないが、密度管理のため行う場合は必要最小限に止めること。
3−8 除・間伐
(1) 植栽木は、下草・中間層の広葉樹等の状況に常に注意をはらい、適正本数を維持すること。
(2) 間伐のための下刈りは、必要最小限に止めること。
(3) 除・間伐木は急傾斜地においては、林内に等高線沿いに幹が地面に着くように配慮すること。
(4) (3)以外では、一定方向に倒し幹が地面に着くように枝払い等の措置を講じ、今後の作業に支障のないように配慮すること。
(5) 根曲がり部分の端材についても採材に留意のうえ有効利用を図ること。
3−9 枝打ち
(1) 枝打ちは優良材生産を目的として実施するが、同時に枯れ枝から入る害虫の防除や林内への採光についても考慮して実施すること。
(2) 枝打ち対象の木に鳥類の営巣がある場合は、営巣の妨げにならないよう配慮すること。
3−10 造材
(1) 伐採した木材が、林内に放置されることがないように採材を検討のうえ有効利用を図ること。
(2) 造材の際に発生する枝葉や廃材は、河川・渓流に入れてはならない。
3−11 搬出
(1) 搬出作業は、地形・林況、路網の配置、集運材距離等から、最も効率のよい方法を選択するとともに、環境に悪影響の及ばないよう作業に留意すること。
(2) 機械により搬出する場合は、路面及び林内の表土等に大きな損傷を与えないように配慮し、作業終了時には点検を行い、損傷が見受けられた場合は早急に補修すること。
(3) 搬出機械は、決められた渡り場以外で河川・渓流に進入してはならない。
3−12 作業路開設
(1) 線形を決定するに当たっては、貴重な動植物や土質・地形に配慮した線形となるよう検討すること。
(2) 等高線に沿った傾斜の緩やかな線形にすること。
(3) 法面については出来るだけ緑化または木柵工の施行により浸食を最小限に止める努力をすること。
(4) 路面排水を迅速に処理するため、横断排水溝等を適切に配置すること。
(5) 作業路開設等で発生した残土や根株は、渓流に流れ込まないように適切に処理すること。
3−13 車両・機械類
(1) 林業機械は、常時の整備点検を怠らないこと。
(2) 生産性の向上を図りながら、稼働時間が最小になるよう努力すること。
(3) 機械類の整備時には、油類が林内へ流失しないように努めること。
(4) 使用する油脂類は、環境に対する影響が少ない製品に切り替えていくこと。
(5) 車両の不必要なアイドリングは禁止する。
(6) 車両走行中、野生生物との遭遇時は、生物を傷つけないように注意する。
3−14 オイル等の取り扱い
(1) オイル等の空き缶などがでた場合には、作業終了後森林組合事務所まで持ち帰り、指定した場所で保管し、廃棄物処理業者に持ち込み処理を行う。
(2) 燃料等の給油時には林地にこぼさないよう注意して行う。
(3) 渓流沿い10m以内の給油を行わない。
(4) オイル等の空き缶などがでた場合には、作業終了後森林組合事務所まで持ち帰り、指定した場所で保管し、廃棄物処理業者に持ち込み処理を行う。
(5) 林業機械等のオイル漏れには十分注意し、始業点検などで発見した場合には、整備を行った後に作業を開始する。
3−15 一般的注意
(1) 林内にワイヤー、空き缶、プラスチック、吸殻等人工的なゴミを放置することを禁止する。
(2) 作業中に発生した不用品・ゴミは、毎日持ち帰り適正に処理すること。
(3) 不用となった機械類、薬品、油脂類はまず一定箇所に集積のうえ、後日指定された場所で廃棄すること。
(4) 冬季において、焚き火で暖を取る場合以外は、可能な限り焚き火は行わないこと。焚き火を行う場合は、防火の準備を事前に行い、延焼の恐れのない場所を選ぶとともに、下山する時には必ず消火状況を確認すること。
(5) 林内で不法投棄、破壊、乱伐等環境維持に不適切な行為を発見した場合は、すぐ関係機関に通報し、早期改善に協力すること。
4・希少動植物保護について
地域固有性が高く、かつ絶滅のおそれが危惧されるなど特に保護上重要とされる動植物を数種に限定して記載した。なお現場作業中これら動植物を確認した場合、次の手順により保護対策に努めて下さい。
○保護対象となるもの
1)動物
ア)ほ乳類
@ミズラモグラ Aホンドモモンガ Bヤマネ Cツキノワグマ
イ)鳥類
@オジロワシ Aオオワシ Bクマタカ Cイヌワシ Dブッポウソウ
Eヤイロチョウ
ウ)両生類・は虫類
@カスミサンショウウオ Aオオサンショウウオ
エ)淡水魚
@アカヒレタビラ Aホトケドジョウ Bアカザ
オ)昆虫類
@コバネアオイトトンボ Aマイコアカネ Bナニワトンボ Cハラビロハンミョウ Dコガタノゲンゴロウ Eダイコクコガネ Fミヤマダイコクコガネ
Aヨコミゾドロムシ Hフサヒゲルリカミキリ Iアサカミキリ Jウラナミアカシジミ Kクロシジミ Lシルビアシジミ Mウスイロヒョウモンモドキ
Nウラギンスジヒョウモン Oメスグロヒョウモン
カ)陸産・淡水産貝類
@クビレイトウムシオイガイ Aヒョットココイトウムシオイガイ Bヤママメタニシ Cパツラマイマイ Dカラスガイ Eニセマツカサガイ Fマメシジミ
2)植物
ア)草木 @サクラソウ Aエビネ Bキンラン
イ)樹木 @メグスリノキ Aハンノキ Bヨコグラノキ Cオオウラジロノキ
○発見時の保護手順
1)対象となる動植物の確認
2)グループマネージャーに報告
3)ミーティングを開き協議し保護方法を決定して、現場担当者に指示する
4)現場担当者は、保護処置を講ずる