みんなで木造住宅を学ぶ「とっとり木の住まい塾」

    

鳥取県建築士会が鳥取県からの受託事業として実施(一般公募の手続きを経て受託)されるもので、これから毎月1回、県の東・中・西部の会場を使用して開催される予定

 

第一回

平成22年10月29日(金)10時〜15時30分(鳥取県人材研修センター)

   内容:自立循環型住宅の設計手法(住まいと環境社 代表 野池政宏氏)

 受講メモ

    エネルギー消費を削減する設計手法について、「自立循環型住宅の設計ガイドライン」をもとに、講義が行われた。

講義の内容には含まれなかったが、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の考え方が今後展開されることになり、来年中には計算システムができるであろう。

国では2050年には住宅に由来したCO2をゼロにする方針である。

この考え方では、輸入材を使用した場合、伐採運搬の段階で、CO2排出が大きく、地域材を活用するケースがきわめて有利に働くことになる。

窓など開口部の熱損失が大きく出てくるが、木製の断熱サッシドイツ(?)などで商品化されており、非常に断熱効果が高い。

→今後オロチ製品の活用も可能性が高いのではないか調査必要

 

    面白いデータ(温度と着る服の関係)を示していただきました

 

 

第二回

平成22年11月18日(木)10時〜16時(鳥取県建設技術センター)

   内容:ヤマベの木構造(去R辺構造設計事務所 所長 山辺豊彦氏)

 

 受講メモ

大工塾を主宰されており、在来軸組工法設計について独自に、実験等を積み重ねられ、その手法を確立されている。

現場の施工者としての「大工」さんとの議論を重ね、継手工法などにも深い知識と経験を理解されている。「ヤマベの木構造」は在来軸組工法設計には欠かせないバイブル。また、そのなかには、設計にける具体的アドバイスも盛り込まれている。

特記事項

・木材乾燥法:近年、高温セット法というやり方が出てきており、蒸気を加えることで、木部の割れは良好になるとのメリット。

大工塾で実験する予定。

・接合金物の錆:原因として@強酸・強アルカリA異種金属のための電蝕B防腐防蟻の薬品、によるものがある。

・「ゼロからはじめる検知器知識 木構造」が発刊されている。

・講義に先立ち、県住宅政策課から県内産スギのスパン表作成の取り組み状況が説明された

県内3圏域で計140本の試験体で林業試験場において試験中。

これまで40本を実施→5%下限値は23.4N/mm2の結果が出ている。

         

 

 

第三回

平成22年12月8日(水)14時〜16時(倉吉未来中心)

   内容:現し型住宅の可能性(挙c園都市設計 代表取締役 大西泰弘氏)

 

受講メモ

 現し方住宅とは構造材を「現す」家造りで、伝統的な技術が不可欠の建築。

 「姿を現す」ことで原木の価格を適正な価格に評価されることも狙いとするところ。

 森林・木材協定

   自分の住んでいる香川県は、山の少なく(40%ぐらい)、木材市場もないので、高知県嶺北地域の杉・桧などの木材の流通システムが必要であった。

   また、森林認証などは経費がかかることでこの協定により材の品質を確保することを考えたもの。 

   したがって原木産地地域と協定を行い、さらには規格材化して、安定的な供給体制を図ろうとしたもの。

   一つの地域ブランドとしても評価される。

   設計施工側と原木供給側との課題の調整もある程度図ることになる。

   

 住宅設計における規格化(れいほく規格材

   伝統的な日本住宅は3m・4m・6mの単位で構造が作られていている。(これを超えるものは単価が上がっている)

   スケルトン(2間フレーム、3間フレーム、4間フレーム)の組み合わせを基本形として、応用される。

   れいほく規格材はこれに適用・応用されるもの。

 「サンゲンカク

   各辺三間(6mを使用)の正方形を基本としたスケルトンで応用していくもの→日本の住まい提案競技で表彰を受けた。

 

 

第四回

平成23年1月28日(金)10時〜17時(米子コンベンションセンター)

   内容:なぜ、いま木の建築なのか(宮崎県木材利用技術センター 所長 有馬孝禮氏)

 

受講メモ

  昭和48年ごろは190万戸の住宅建築だったが、当時の建築研究所では「木」造専門がいなかったので、自分が呼ばれた。

          

今は、公共建築を見ると木構造が300件ぐらいになる

  宮崎県は杉150万立米/年を生産、これは日本の杉の1/7。海外も含め、外に出ていくことも重要。

宮崎県ではオビスギ、4年で8メートルにもなる場合がある

木の断面はハニカム構造  

資源の状況  

火力発電所は石炭が130年と言っている(公式のデータ―では328年) 

(特に中国などの動きから見れば頷ける)

材は出てくるが使われなえればならない、京都議定書では2300万立米が供給されることになる

CO2吸収は人工林(天然林は太らない)

CO2対策はエネルギー問題

   建築関係では40%のシェア―になっていくことになる

森林木材利用による二酸化炭素放出削減

   炭素貯蔵効果:森林成長、

省エネルギー効果:木質材料への転換

代替えエネルギー効果:バイオマスエネルギー、解体廃棄物の燃焼利用

    このはなドーム(宮崎県)

   木の炭素量は233トン→エネルギーのストック、(金物関係238トン)

 

消費から生産につながることになる

都市にも炭素をストックされている

林齢構成の平準化が必要、これには50年を要す

宮崎県では、若い林齢が少ずつ増えてきている→努力効果

インフルエンザ罹患による学校閉鎖率は木造校舎が低い 

        宮崎県の木造橋梁(定期的な維持管理、載荷試験を行っている)

 

第五回

平成23年2月16日(水)14時〜17時(倉吉未来中心)

   内容:地元林産業と連携した地域住宅の事業展開(且R弘 代表取締役 三渡圭介氏)

         

   平成21年度の住宅着工数は775千戸(これまでの最高では190万戸であった)

   素材生産〜材木店までの流れを、「協同組合 しそうの森の木」として設立し、利害相反する各組織の一体化を図り流通

面で効率性を上げた。

     

   米国では山主が素材生産し、製材まで一連の仕事として行っている

   日本のシステムでは、それぞれの部門が独立した組織体→結果的に高い製品になる、情報が伝わらないなどの短所

がある。→林業は建築を知らず、建築は林業を知らない

このシステムでは、山主を大事にする必要性が理解される

川下側がリーダーシップをとって情報を出していくことになる

工務店を育てることは「山」サイドの仕事にもなる

平成14年に設立:準備期間に3年余り費やした

平成15年には「ひょうご木の住まい協議会」を設立

   ヤマヒロの考え方

      家は買うものでなく、作るもの

        →エンドユーザーに学習していただくシステムが重要との認識(義務として受けていただく)

         山の見学やモデルハウス活用した宿泊しての学習会のセット→ユーザーの洗脳!

   兵庫県の森林状況         

      人工林の保有量6,000万立米(56ha)、180万立米の年間成長量

      年間供給量は15万立米、蓄材量の1%未満、成長量の10%未満→全国どこでも同様

         知事あてに県産材への助成を働きかけたが、震災の際にも住宅助成をしてないので無理、ただし、融資制度

を設立された経緯がある

   鳥取県の住宅建設について

      平成21年度1,157

年収800万円以上の人の年あたり新築の建て替え・購入予定者数の推計すると520戸程度

   戸建て住宅市場

      21年度全体38万戸(総戸数では775千戸)

        大手  6万戸(16%)、ローコストメーカー  35千戸(9%)、分譲住宅 95千戸(25%)、地場工務

店  19万戸(50%)

   山主への還元

      製材到着時15,000円(山主 0円+素材伐採 10,000円+素材運賃 2,000円+市場3,000円)

        ↓  

      製材到着時15,000円(山主 5,500円+素材伐採 7,500円+素材運賃 2,000円+市場 0円)

     のシステムを目標(山主は育てるために8,000/立米〜9,000/立米を要している)

 

 

次回以降の講座は次の通り

第六回 

平成23年3月9日(水)(倉吉未来中心)

   内容:林業再生と木の住まいづくりを考える(町の工務店ネット代表 小池一三氏)