「日南の森から地球を動かす」(にちなん町民大学における講話)

平成24年4月28日、日南町防災会議室にて

 

はじめに

みなさんおはようございます。先ほど紹介いただきましたけども、行政経験を踏まえて、また田舎に帰ってきてNPOの仕事をしておる狩野です。

今日の一時間半の時間をいただきまして、いろんな方面から喋りたいなと思っておりますけども、たぶん、NPOに声をかけていただいたのは、森林について、いろんな、情報を出してくれという趣旨ではなかったのかと思うのですが、私はこれまでの行政経験から、まちに対する想いからふくめまして、いろんな角度から話をさせていただければと思います。ですんで、森の話は私自身はもともと素人だったんですけども、あまり触れないことになるかもしれません。それよりはもっとまちづくりという面でお話をさせてもらうことになるかもしれませんので、そのあたりはご容赦頂きたいと思います。

 

    

最初に、「にちなんの森から地球を動かす」ということで、昨年のこの町民大学の開講状況を見ますと、最初は多かったようですが、だんだん減ってきた、ということで、なにか、インパクトのある題名をつけたら、もうちょっと、人が増えるかなということから、こんな「地球を動かす」という、そんなグローバルな話までいってます。

日南の上に立って、地球を動かすことは、物理学的に絶対ありえないんですけども、思いとしてそういうことであります。その動かし方というのは、日南町にはたくさんの資源がある、地域に手の届く資源がある、というようなことで、それを使うことが、地球を動かしていくんだということが、一点ございます。それから、世界的にはどんどん人口爆発が起きておるわけですけども、日本ではもう人口減少時代に入ってきた。日南町の場合は、もうとっくにそういう状況になっておる。昭和30年代から、どんどん減りっぱなしと、いう状況でありますんで、こういった、社会現象をどうしていくのかということを含めてのお話しをさせていただければというふうに思います。

活用することで、資源を活用することで何とかなるんではないかというような意味合いであります。

 

 

 

1 地球環境・資源を考える

    

地球環境に目を向けてということで、あるマスコミの記事から、こんな言葉がありました。「50年後、100円後にどんな地球を残せるか、それは、今、我々が生きている、その私たちにかかっている」という言葉です。次世代に対する責任という、簡単に言えばそういう言葉だと思いますけども、こういう、やはり自覚をもって我々、今生きていかねばならないということであります。

もうひとつあります、これは、EUのほうの発表した資料ですけども、温度が、地球の温度が2度上がれば、25億人が食糧危機に陥る、という言葉もあります。

それによってまた結局、環境難民というような言葉にもなっていきます。

ですから影響が現れる前に、対処しておかなければならない、で、それには資源のない日本が、やはり率先して何らかのことをしなければいかん。ということを考えております。

また、あるところで、「心」「技」「体」という言葉の解釈で、「こころがけ」と「技術」と「仕組み」、こういったものが、今後我々にとって、きっと、柱に据えて考えていかねばならないのではないかと、取り組んでいかねばいかんじゃないのかというような言葉がありました。

それから、もうひとつ、私は韓国ドラマが大好きなんで、夜の夜中見ておるんですけども、韓国ドラマ、セジョンデワン、世宗大王ですね。このなかで、いい言葉がたくさん出てきます。「多くを知り自制できる民」という言葉がこの前、出ておりまして、非常に深い意味があるなと、いうふうに思ったところです。情報はとにかく、いろんなところからいろんな情報をやっぱり持つべきだと、そのなかで、自分で整理をして、自分でコントロールできるようにならなければいかんと、そういう意味合いであると、私はとっております。

いまの世の中をみますと、それぞれの人として行うべき義務がある、それが少しずつ減ってきております、というよりは、だいぶ減ってきておるんじゃないかと思います。で、与えられるべきだと、他人と同じであるべきだと、そういった自分の権利の主張のほうが強くなってきている、いうのが実態ではないかというふうに思っております。ですから、今後は、逆に、権利を放棄して、義務をどんどんやっていくんだというぐらいの気持ちで、逆に展開していかんと、この人口減少時代、経済が落ちていく中では、自分たちの生活が守っていけれないんじゃないかと、次世代への責任、こういったことも果たしていけれないんじゃないかと、いう感じでおります。

そんなところの話をしていきたいんですけども、まず、このNPOというものについてちょっとお話しさせていただきたいと思います。日南町にはNPO法人が五つあります。

ただ、その一つは今、活動拠点を日南町から、はずされております。具体的に申し上げますと、多里のまちづくり協議会の中に、運送という面でやっておられますし、山上のほうでも同じようにやっておられます。そして、つなで、という生山で、障害者の関係でやっておられます。それからわれわれフォレストアカデミージャパンです。

県下では、だいたい220ぐらいの団体があります。全国的には、4千5百、6百(正しくは4万5・6千)になっていると思います。

なぜNPOが必要なのかということから話をしますと。やはり、行政と地域の、まあ、行政サービスと、地域の力との間を埋めていく、これから、一つの組織的なものが必要なんじゃないかと、いろんな部門・部門で、そういったところを、団体に組織的にフォローしていくものを作っていく必要があるのではないかということで、特定非営利活動促進法、という法律ができておりまして、その法律にもとづいて、NPO法人の認定を受けております。

このNPO法人は、全部で当初は17活動でしたけども、4月から、20活動、と法律が改正になっております。いろんな活動項目がありますけども、この活動項目に縛られる団体でもあります。

それから、当然法律に基づいて、こういったものとされていますんで、当然、情報開示が必要ですし、会計等についてもきちっとした形で、運営しながら、儲けはしない、と。特定非営利活動と、またもう一つ、その他事業というものができるんですけども、その他事業というのは、ある意味、ある程度利益を生んでもいいよという部分があります。利益を生んでもその利益は特定非営利活動のほうに充当しなさいという縛りがございます。そんなことで、もともとはボランティア的な動きの中からNPOというのが発想されてきていますけども、現在は「新しい公共」というような意味合いイメージでのNPOというような感じになっております。私どもも、おととしの10月に認証を受けて活動を始めて、一年半ちょっとというような状況ですので、満足な活動になっていないかもしれませんけども、時間がありましたら、最後のほうに、触れさせていただきます。

 

    

ちょっと、話が飛ぶかもしれません。地球環境と森林の役割ということですが、ちょっと前段としてお話しさせていただきますが、武田邦彦先生、中部大学の先生ですが。テレビでもよく出ておられます。ちょっと別な角度からいろいろものをとらえられる先生でありまして、この前、日本海政経懇話会に来られて、「石油はなくならないよ」と「石油の省資源という問題は特に取り組まなくてもいいんじゃないか」と、いうような意味合いで、たしか発言があったんではないかと思いますけども、その先生のブログを見ておりましたら、こんなことがありました。どういうふうに皆さん解釈されるかわかりませんけども。

「温暖化すると、南極の氷が解ける、というとんでもない嘘があります。非常に簡単なトリックなので、説明しておきます。南極の気温はマイナス40度、この40度の氷が温暖化で5度上がって、マイナス35度になると氷は解けるでしょうか。水は零度で氷り、マイナス30度でも、マイナス20度でも、氷の状態だ、と。零度以下の氷はどこまで氷、その体積も変化しない。南極の気温がマイナス40度からマイナス35度になっても、氷は解けない。」という論法です。これを素直に考えられる人もおられると思いますけども、非常に、ここは、短絡的といいますか、狭い視点でしか、ものを考えていない、というふうに思います。

40度になるまでに、赤道から南極の40度のところまでに、温度分布がいろいろあります。そうしますと、周辺には今、現在零度程度の温度のエリアがあるわけですね、それがマイナス5度下がる(正しくは5度上がる)と、たぶん、その零度程度のところは、南極の周辺部、氷が海に落ちるようなところ、というようなイメージかと思います。そんなことであれば、その部分が5度上がればその部分の氷が解けていく。ですから南極の中心地だけで、議論するわけにはならないということを、私はこの言葉から感じたところです。

 

 

で、石油がなくなる・なくなる、といっているんですけどと、いうことなんですが、ま、たしかにそうなんです、石油は可採年数という言葉で表すと、40年ということです。現在わかっている石油の埋蔵量を、消費量で割ると40年、ということです。ま、このことについての、所感をされておるんですけども、当然可採年数ですから、年が経って技術が、いろんな技術が進歩すれば、石油を掘るということもできますし、石油を探すといいうことも非常に高まってくる、とおもうんですが、そういうことによって、40年が50年になるか100年になるか、その辺はわかりません。しかしながら、石油をそういうことでどんどん使っていいか、ということとはまた別だ、というふうに思います、石油というのはあるところから行きますと、だいたい地球が300万年かかって作ってきた石油、それを、だいたい一年で消費しておると、いうような言葉をどこかで見つけました。

 

ですからそういった300万対1というような貴重な資源・財産を簡単に使っていいのかという、僕は、考えに立っております。そんな石油の問題もありますけども、いま、先般、再生エネルギーによる電気料の買い取り価格の委員会が動いておりまして、ソーラーで42円とか、いろいろ出ておりました。7月にはそれを決定して、買い取り価格というものが出てくるわけですけども、いま、ちょっと翻ってみると、発電コストという面でみると、ソーラー・太陽光が49円、その他、風力・水力が19円前後、火力、これがいちばんだいたい安い、ということで10円を切るような、これは、KWHあたりです。地熱発電ということであります。原子力が5円・6円といった数字になっていますけども、これは当然事故がなかったことが前提で、ありますので、これはちょっと論外ではないかなというふうに思います。こんなことで、一番高いのは太陽光。発電する電気量に比例させて考えるとソーラーが一番高い。それはそうですね、一日のうちの半分、基本的には半分しか発電能力がないわけですから。そんなこともあって、これは高い、ですから、この前の新聞に出ていました、買い取り価格は当然太陽光のほうが高くなるということです。

それで、この太陽光をどんどん広げていけばよいのかということは、これからの皆さんの考えになろうかと思います。ただ問題は、やはり資源は、先ほど40年といいましたけども、石油の40年、天然ガス、ウランということです。ウランの85年というのはありますけども、これのどうなのかわかりません、石炭は155年ありますが、なかなか、いま、日本では使い切ってないというようなところです。

同じような表ですけども、別の角度から見たものも大体そういうような傾向にあります。

小水力とかそういったものは、やはり、これまで培ってきた技術もありますし、安定的な発電量が確保できるということではないかと思います。

 

    

もう一つは、資源です、エネルギー需要の供給源というものがありましたんで、いろいろ見てみますと、年代を経て、石油が落ちてきております。全体的に落ちてきております。石炭についてはおおむね、あれですけども、若干増えつつある、というようなこと、天然ガスも若干増えつつあるというようなことです。バイオマス、木質も含めてバイオマス。一定量が使われておるという状況が

あります。

 

    

それから、電力需要の供給源。そのうちの電力に使うものはどういうものが、どの程度かというところなんですけども、石油は減ってきております。それから、石炭、石炭は若干増えつつある、これはたぶん中国当たりの火力がたぶん、だいぶ影響しているのかなという気はします。天然ガスは最近の動きとして天然ガスに移行しておるというのは全体として見られるということです。バイオマスは、まだまだこれからというものであります。原子力はちょっと別に置いといて、こんな感じでおりまして、まだまだ太陽光についてはこれからの話ということではあります。

    

日本のエネルギー事情、すみません、いろんなところからインターネットで拾ってきてお話しさせていただいておりますけども、こういうふうなバランスになっております。最初は、電力というのは水力が中心、そのあと、石油が、そのあとはいろんな資源によって発電をしてきておると、原子力が全体として増えてきていると、いう状況がみられます。

 

    

日本は資源のない国です。この資源のない国がどうやって、これから経済活動を維持していくかというあたりがこれから問題になると思うんですけども、おおむね、石油については中東から、入いるというような状況でありまして、ホルムズ海峡封鎖がどういう影響するかと、いうようなところにも我々としては常に気を配っておく必要があるというところです。

やはり、中東・サウジまでから、入るとうことですから、日本がどういう外交をするか、どういう経済政策をとるかということは、本当に、いま、責任を持って考えていかなければならない、ということだと思います。

    

石炭についてはオーストラリアが多いんですけども、埋蔵量としては中国が非常にたぶん多いと思います。これは、中国との外交関係をどうするかということも、いろいろ考えていくことが必要かというふうに思います。

 

    

天然ガスについては、若干の国内生産もあるんですけども、全体としてはやはり他国からいただい   

ておるという、資源のない日本がどう生きていくのかという、ま、日南町でこんなことを考えてもどうなのかなという風に思いますけども、考えていかんといかんじゃないか。

 

2 再生可能エネルギーと資源

    

再生可能エネルギーというのがいろいろあります、それぞれの特性と課題ということで、整理されたものがありましたんで見ますと、太陽光をもとにしたものについては、「発電コストの低下が期待」とありますけども、ま、量が出ていくとそういうことだと思います。「発電原価が、他の発電方式に比べて高い」「倍以上」というような現実があります。それと、「産業のすそ野は広い」、「あらたな雇用の創出経済効果が偏在」。この偏在というところがわからないんですけど。

こんなことで、簡単に整理されています。あとは、熱、昔からやっています太陽光利用の熱化というのはあっていますんで、これはいいとして、あと風力は「相対的に発電コストは低い」、「事業採算性は高い」、とありますけども、気ままな風力というところがあります。あと、立地の制約とか、それから、ほとんどが、日本でいえば、この風力の機械は外国からヨーロッパを中心とした外国から入れていますんで、事故があった時等についてはしばらく止まるというのは現実に今まであっております。

 

    

バイオマスというのが、いま着目されてきておりますけども、これから利用が可能である一方でコストの削減というものをどうしていくかというのが、大きな課題であります。

それから、原料の安定調達が課題ということです。山にはたくさんありますけども、量的にもしくはコスト的に調達のできる、スタイル・仕組みというものを作っていかないといけない。ということであります。この前、紙を、古紙をバイオマスに、バイオマスである古紙を処理してエタノールを作るというのが出ておりました、京都の方でしたかね、非常に面白いなとは思いながら、これでいいのかなという疑問も一つ持ったところです。バイオ燃料ということで、エタノールがガソリンの代替えになる、それから消毒用にもなる、それから飲めば焼酎だと、いうような非常に使い道のあるようでなかなか難しいというのもあります。

で、いま、あとで出てきますけども、いま、エタノールというのは、大体、食糧・食物、食べるものから取っておるというのが実態です。これを転換させる必要があるということは課題として残っています。

    

水力ですけども、これまでの歴史がありますんで、非常に安定的にありますけども、どこかの鉄道会社が、黙って、水を使っていたという課題、法的な課題なのか、どうなのか、モラル的な課題なのかわかりませんけども、あるんじゃないかというふうに思います。それから、地熱というのが、非常に安定的に供給できる資源ということのようでして、これらについては、おそらく、国からこれからいろんな形で、支援策といいますか、技術的な面も含めて、出て来るんじゃないかなという風に思います。

 

    

先ほど言いました、買い取り価格。これは新聞記事からですけども、25日の朝の新聞をインターネットから引いたんですけども、太陽光42円、風力23円、地熱27円、そういったような今の方向を持っておられる。委員長、実はこれは京都大学の先生の植田和弘先生なんですけれども、実は個人的ではあるんですけども、この植田先生と3月に別な会で一緒になったことがありまして、バイオマスの関係で、どれくらいの金を出せば、バイオマスを出せれるかという、宿題をいただいていました。ですけども、それができないので、この前、返したのは、バイオマスで、例えば、木質のチップを火力発電所に持っていくと、いうことにしたとしても、運送だけで、大変です、と、チップを、例えば、ここでいえば、おそらく三隅の火力発電所にもって行って混焼するという形になるんですけども、その、持っていくだけでも料金が大変なことになるので、なかなかその議論はできないのではないかと、それよりは、資源のあるところに小規模・中規模であっても、火力発電所、木質バイオマスによる火力発電所をつくっていって、それらを総合的に電力供給するような体制を仕組みを作っていくというのがいいんじゃないでしょうか、ということをメールで返したことがあります。ま、ちょっと、木質バイオマスがいきなり、再生エネルギーの買い取り価格に直接リンクするということはなかなか難しいと思って、そんな言葉を書いたところです。そんなことで、いろいろと、お話ししてきた中で、我々、今住んでおります、日南町をもう一度立ち返って、見てみたいと思います。

 

3 中山間地そして日南町

    

ご存知のとおり、日南町は中国山地の真ん中です。中国山地の森林資源のど真ん中にいるという、ということです。このまえ、その植田先生とお話ししたのは、実は、日本環境会議というのが、松江市の島根大学でありまして、その島根大学で、私も喋っていいよと、喋らせるよということで、30分ほど時間をいただいて喋りました。「木質バイオマスと地域づくり」、というテーマで話をしたんですけども、一通り私が話をした後、実は、島根原発から3キロのところに住んでいるという人が手をあげられて発言されました。

島根原発をなんとか運転をやめさせたいという、たぶんお気持ちだと思います。三隅の発電所まで、島根県の山の皆さんと、鳥取県の日南町を中心とした山の皆さんが、チップをどんどん、一日に3千トンぐらいを運べば、三隅の発電所で、原発分を補うことができるんではないかというようなお話がありました。

一日、3千トンをどうやって運ぶのかな、という、まあ、気持ちはよくわかるんですけども、そういうような、発想としてはあると思うんですが、一カ所に、いままで、発電所がなんで海辺にあるのかということですが、実は、資源が外から入っているんだということ、そういうのが大きな要素の一つだと思います。

ですので、そういうことではなくて、もっともっと、森林の資源のある、近いところにそういったものを何箇所か点々と作っておけば、非常に効率も良くなるし、CO2排出量も減るということもあるんですが、いわゆる、全国で30何機の原発がある、その大きな弊害が今出ておるわけなんで、そこらへんの考え方を変えたらどうなんかなと、いうようなところもあります。日南町は、そういうことで、資源に恵まれた国という自負を持って、私はいろんなところで話をしております。

    

日南町はご存じのとおおり、350平方キロ、鳥取県の1/10、人口は5500人、が県の出している数字と町の出している数字は、200人ほど違うんですけども、とにかく減っているという状況です。高齢化率は45%からもう実態的には50%を超える状況。去年生まれた子供が20何人でそのうち、里帰り出産が・・・、(18人という声)結局18人ですか。ということで、あとで訂正しますけども、18人だそうです。だいたい一年に130人の減少。これは、どうしようもない、お年寄りは減っていく、これはあたりまえですけども、生まれた子供が育って、育った子供も、外に出ていかざるを得ないという、この実態をずーっと、続いてきています。ですから、昭和30年前後1万6千人、もう、今は6千人を切った状況です。

6千人を切った状況を皆さんどういう評価されているかわかりませんけども、例えば、消防体制で見ますと、70代の自衛消防の皆さんが一生懸命、訓練をされている実態があります。

高齢化している、地元にいて、いざ、緊急に出動するという、そういう立場になられる人は、すべて高齢化された人がほとんどだということです。じゃあ、どういう人をどういうようにすればよいのかというと、やはり、商店のみなさんがこの地域に居っていただく、と、だいたい24時間この地域に商店の皆さんはおられます。ですから、こういったひとの消防体制になれば、非常に安心できるわけですけども、商店とかそういった、町内雇用の人が少ないということで、消防体制が弱まっているというところの実態があります。ですから、地域としては、そういったところまで、経済が回るような仕組みを、将来考えていかざるを得ない、いくべきだというものだと思います。いわゆるこれは、地域力の減退だと思います。

 

    

生産年齢人口そのものが減っておる、ましてや、そのなかで、経済活動が、最後の商店というところまで行かないという、ま、ジャスコに行って買い物をしすぎということがあるかもしれませんけども、これは、ちょっと別な論点だと思います。

常に経済が地域内で広い範囲で回るような社会を作っていかない限りは、地域力はどんどん落ちていく、いうことであります。

こんなことをNPOの立場でいうことではないんですけども、先ほど言いましたように、思いをもっておりますのでしゃべらせていただきます。

さきほどの生産年齢人口なんですが、これは、何回も30年後の日南町ということで、表が出てますし、日南町の総合計画の中の資料としても入っております。ですから、おそらく、日南町5500人いれば5500人の皆さんが、この現実は認識していらっしゃる、もしくは認識していただいていると思っております。

これが、是とするのか、ま、このままでいいと思うのかどうか、ということです。

 

    

人口流出、私どもNPOのほうで、ある情報発信をしております。

これは、山林所有者で町外に出られた方、米子とか大阪とか東京とかを含めてです、230人に情報発信のお手紙を出しております。簡単なものではあるんですけども、いろいろ反応があります。昨年11月集計いたしましたけども、79通が帰ってきております。先般、思いついたように、昨日、一昨日一通帰ってきまして、80通がかえってきたと、34%の回収率ですから、傾向としては出てきているのかなと、いうことです。いろんなことを訪ねております。

 

    

日南町を離れた理由、これは、個人的なところで、というところで欄外の話なんですけども、結局は仕事がなかった、生活の不便、これはどっかに就職して、あちこち転勤したんで、結果的に都市部のほうに行ったと、いうこと。それから、ま、先代おそらく、一代ぐらい前のおじいさんおばあさんが、そこに移ったんで、引き続いておる、いうような感じです。

要するにここですよね。生活の不便、仕事、そこをどう押さえるかということじゃないかなと思います。

コメントで見ますと、面白いのがいろいろありまして、ま、火事があったんでこの際というのもあります。嫁姑の問題、これは、日南町に限らないわけですけども、これが一つの原因というのも頷かざるを得ないかなと、思ったりします。家庭の事情というのはどこにあるかわかりません。結婚のときに町外へ嫁いだ。同じことですね。仕事、町内にない仕事に就いた、

勤務地が米子で、米子に住まざるをえなかった。いうことで、あとは昔であれば、たぶん出稼ぎ等に行かれて、結局はそこに住みつかれたということ。大学、要するに高等教育の段階で、東京に出ていった。具体的なものもありますけども、お父さんが亡くなって、お母さんが病気で、面倒を見に行かれたというのもあろうかと思います。進学・高校入学、老後のことを考え息子に呼ばれて出ていった。そんなことがあります。

ですからそういったことをどう解消するか、それが、人口減少に歯止めをかけるというふうに思います。そこをきちっととらえていかねばいかんじゃないかと思います。

合わせて聞いております。外に出られて、日南町、故郷としての日南町にどういう感じを持っておられますか、ということを問いました。

 

    

過疎化が進んでおる。親しみを感じ、今、おってもらっている町民には感謝しているというお気持ちを持っておられます。やはり、産業というものに着目され、雇用を作っていく必要があるのではないかと、おっしゃっています。

どんどん進んでいる、と、高齢化・人口減少。何とかされないといかんじゃないですかと、いう話です。コミュニティ自身がもう崩壊していきょうるんではないかと、これはもう、ある意味、達観されていますけども、ふるさとは遠きにありて思うものと、このような感じですね。

日南町を出てよかったとまで言っておられる、人もあります。

スーパーも病院もない。病院もあることはあるんですけども、周縁部からすると、無い、そういう気持ちになられる、人もおられます。

なつかしいとか、先ほどの故郷は遠きにありて思う、ものという範囲、そこまでの範囲。生まれた町なんでという思いはありますけども何年後はどうなっているのか、と思うと心配をしていただいております。で、やっぱり、働くところ、若者、というところのキーワードが出てきております。

これもある意味、達観されているのかもわかりませんけども、たまに訪れると、やはり故郷であるというふうに思っていただいています。

自然が多くてゆったりできる。日南町の情報がないので税金を払っているだけの感じ、ここらへんも一つのポイントだと思います。

私どもが、毎月一回お手紙を出していますけども、ときどき、電話がかかってきます。山にもよういかんようになったんで、だれぞ、面倒見てもらえる人をおらんだろうか、面倒見てもらうというのは要するに買って欲しいという意味ですね。おらんかったら、大阪におるんだけども、近くのもんに売ってしまおうじゃないかと思っとる。そんなお話しの電話が来ました。いや、それだけは待ってごしない。なんとか、地域の人に面倒を見てもらえるような形をせにゃいけんと思っておると、そんな話をしてます。

昨年の12月に日南町の地下水保全条例ができました。土地は拘わらず地下水を一つの資源として我々の財産としてこれから使わなければいかんというようなそういう意味合いで作られたものと思いますけども、山の、土地の売られてしまったら正直言って、次の手というのはなかなか難しいと思います。また、あと、その話をさせていただきます。

 

    

その二としてありますが、暮らしとなるとやはり日南町では無理だと、地域の活力が低下しておると、あとは政治的解決しかないと。このへんがポイントですね、ま、地域的な政治解決もあるし、国家的な政治的解決もあろうかと思います。ま、県レベルでの解決というものもないことはない、あるべきだと思っています。

    

とにかくいいところだとは思うけど、とにかく住むことにはならない、と、いうようなところ、生山駅付近にもう一回役場を戻したら、というようなお話もあります。あります、とにかく。外に出られた方でも、ほんとにたくさん書いていただきました、80通の回答がありましたけども、コメントだけ並べると非常に多くのモノを書いていただいています。(コメントは)80人がほとんど全員が書いていただいたのではないかと思っています。もう一つありますのは、墓地をどうするか、出られた人は、山だけを持っておられるということは、あまりなくて、農地、墓地、これについては大体持っておられます。それと、家はあるけども、空き家にしているとか廃屋というパターンもあります。そんな現実を改めて情報発信の中で確認したところでして。

 

    

じゃ、先ほど出ました、産業とか雇用ということで、日南町はこれまでどういうふうに来たのかなと、いうふうに見ますと、昔はたたら製鉄、それに合わせた木炭産業、農業は当然続いてきておりますけども、一時、クローム鉱山、外貨が入ってきた、金が入ってきた、あとは、縫製業とか弱電関係。このあと公共工事が入ってきましたけど、公共工事は平成3年、4年をピークにどんどん落ちてきております、当時の4割、3割というような状況ですので、公共工事で地域外から金が入ってきて地域で金が回ったという時代はもう終わりました。そのあと、言葉でどういうふうに言えばよいのかわかりませんけど、年金を消費に回していただいて、それによって地域の経済が回っておる、もう一つは、あかねの郷、福祉会の、産業という面で見れば雇用があり、それなりに消費もここから生まれている、という状況があろうかと思います。で、あらためてここまで、域内の経済が落ちている中で我々が、何ができるかというと、地域にある、手の届く、我々が始末できる資源だと思います。先ほどの地下水保全条例ではありませんけども、水もあります。水もありますけども、水はやはり森林というものが原点です。で森林は木材、木質バイオマスを生み出します。これも持続させれば常に一定量は出てきます。

 

    

それが一つのパターン、この地域が生きていくうえでのパターンかなというふうに思っております。先ほどまで言いましたところを整理すると、こういうことでありまして、人口減少・過疎化・高齢化・少子化、これにあわせて、人口流出による不在地主の増加、家屋・墓・農地・山林、これは地域に住む人にとっては、言葉は悪いですけども、迷惑。廃屋は隣の家に倒れかかって、どうしようかと、勝手に取り壊すわけにはならないという、山は、あそこの部分だけ荒れてしまっている、 農地はあそこの部分だけ手がつかなくって、虫は発生する病気は発生する、そんなことで、地域に住む人にとっては迷惑な存在です。これについて、実は山林についてですけども、林地集約という意味合いから、県の金を貰ってNPOが林地集約化研究会というものを動かしております。何らかの形で、地域の人間がその土地、その資源を使えるようにしておきたい、という意味合いで、それに向けた動きのひとつです。いろいろ、とにかく課題が大きすぎます。憲法で、個人財産権の保証があります。民法でもそれに準じてやってあります。ですから基本的に、手を付けてしまったら悪者になるのはこちらです。そういうこと、実務も、先ほどの国家的政治的解決、課題、そういった解決方策を持っていかなければだめだろうな、と思っております。そういうようなこともありますんで我々が今研究しておりますのは、所有権ではなくて、地上権。立木というところに着目しているところです。せめて、その辺から入らない限りは前に全く進まない。ですから議論の中ではもう町条例で、そんなのは無いものとして、管理されていない町外在住のものについては、管理されていないから勝手にしてもいいのだという条例を作ってしまったらどうか、というような議論をしております。逆に言えば、そういうことひとつ、花火をあげない限り、国は動きません。で、これはなんでか、というと、国の、国土を保全していることなんですね、国土保全の義務は国にあります。ですから、やはりそこは、もっと本気になって考えるべきだと思います。まったくそこが手を付けられていない。一方では、この前新聞に出ていましたけども、全国で何10所か外国資本のところが山を抑えていると、そんな話になります。

ですから、今のうちに地域におる誰かが、そういった、もう手放すよと、手放したいという人のをどんどん、集めていかないと、もう遅きに失する時期になっています。そんなことで、ちょっと、いったんは研究会の報告書をまとめましたけども、これは、ホームページに乗っけてますんで、また、見ていただければと思いますが、引き続いてこの話は進めていきたいと思っています。

ちょっと余分になりましたけども、結局は迷惑のところから、一つは地域産業振興の妨げにもなっている、というところがあります。もう一方から見ますと、森林については昭和30年代、木材の自由化で、国家的な政策、誤りとは言いませんが、大きな判断がされて、木材が非常に、木材価格、国内の木材価格が低迷してしまっている。経営が、そのものがやっていけれない状況が、ずっと続いているという環境があります。先ほど言いました、こういった課題を処理し、こういった経営をもっとしやすい形にするというときには、山林の経営意欲をもっともっとあげてもらう必要がある、要するに儲けさせることです。儲けてもらうことです。儲けてもらわん限りはやはり次に進みません。で、実は儲けるということに対して、日南町をはじめとして、中山間地域では、おおむね、そういうことだと思うんですけども、儲けた人に対して、僻みではないですけども、妬みではないと思うんですが、なにかネガティブに考えられる。これがやっぱり一番足を引っ張っているのではないか。儲けた人を「よう儲けなったな」「どんどん使ってごしないや」そう言ってもらえばいいんですが、「なんだあいつが儲けたらしいで」というような話を後ろのほうでやられてですね、儲けることが罪悪だとかそんなイメージで。もう、どんどん儲けりゃいいと思うんです。儲けて地域で金を使っていくと、で、経済を回すということが大事だと思います。わたし、公務員をやっていて、年金をもって、退職金を持って帰りましたけども、どうやって地域におとしていこうかなと、いろんな形の落とし方が、いろんな形でやっていこうかなと思っていますけども、やはり、使い切ってしまう、というのが大事だと思うんですね。ま、それは、個人的なところもあるんで。

そんなことで、国家的な見地からいっても、災害を誘発させないというようなこと、作業して儲けるためにはやっぱり、効率が悪い施業になってしまいますので、やっぱりそういった課題を解決していく必要があると、やはり森林資源は後で申し上げますけども、大変な量のモノがありますので、この活用することによって、地域産業が戻り、また地域経済がまた戻り、で地域力が増えていくものだと、いうふうに僕は一つの流れをこういうふうに整理しております。

 

 

ご存知ですけども、上勝町の「いろどり」、これは、私は行ったこともないし、あれなんですけども、「彩」のやったことをどうのこうのではないんです。やはりブランド力というものを上勝町はうまく造られた、いうふうに思っています。ここも儲けることをやっておられるんですね、儲けてこそこうやって生き生きした地域ができているということです。儲けずにこんなことにはならないはず。で、あの葉っぱビジネスということで、葉っぱを着目されていましたですよね、それの、やり方も良かったと思うし、このはっぱに着目されたというのは、外からの視点だと思います。中におられると「なんだいや、あそこの道端の葉っぱかいな」になるんですけども、外から来たら、これは使えるんじゃないかと、これはモノになるんじゃないかと、いうような、その直感的なものも出てくる。いうようなこともあります。そういった意味で、いろんなところのいろんな情報を集める。一番最初にお話ししましたけども、一点だけを見るのではなくていろんな角度から情報を集めて自分なりに、判断をしていくという、そういった、私の言葉でいえば地域の「文化」、これからまだつくっていかねばならないんじゃないかと、こういうふうに思います。もう一つ、脱線気味に話をしますと、私、今まで、都市計画の仕事などしながら、やってきたのですけども、いろんなワークショップをする中で、まず、最初にすることは、良いもの探し、いいもの探し、自慢できるものを探そうというところから入ります。中山間地とか日南町でもそういう傾向があるんですけども、ネガティブに考えて、「あげなもんがどげんなるだかいや」というような、そこから物事に入っていかれるという、ところがあります。絶対これをやったらいけません。いいものを、一つでもいいからいいものを探してこようと、ですからワークショップをするときに鳥取市の中で、中心市街地の活性化というテーマでやったんですが、鳥取市の若桜街道なんてのは、ほんとに、学生さんが帰ったらあとは、だれも若桜街道を歩いておるものは居らんという状況だったんですけども、そんななかで、ワークショップをしまして、これから、みんな最低三つは散らばっていいものを探してこようと、いうことで、探してもらいました。それを集めて、ワークショップの中で、これはどういうふうに加工していけばいいんだ、これをどういうふうに組み合わせしていけば、いうような議論をしていったところです。で、そういったなかで、やはり、ああそうなんかと、わからなかった部分が見えてきますし、着目点が出てくると思います。ですから、日南町にはいいものがあります。農業で、いい野菜、いいコメ、おいしいコメがたくさんできます。これも自慢でもあります。そういった意味合いで、もっともっと文化とか、人とか生活とか、そういったところで、いいものを探していくことが、大事じゃないかなと思います。

で、上勝町の葉っぱビジネスが成功したということで、似たようなことをあちこちで初めてもおそらくダメだと思いますね、二番煎じというのはやぱりダメだと思います。独創的なオリジナリティのあるそういったものをやはり考えていく必要がある。ということは、地域の自分たちの足元だけ見ればいいと思うんです。足元を見ればその部分が見えてくる。という風に思います。

 

4 森林資源への着目

    

私どもの目に見えるところにあるこの山、これは霞の写真ですけども、森林面積は340平方キロの日南町域の約9割、302平方キロ、民有林はそのうち289平方キロ、人工林があって、人工林率は60%、で、驚くなかれ、今、日南町にある立木の材積とすれば500万立方メートルぐらいあるよと、桁が全く分かりません、500万立方メートルという数字が、一応、たぶん仮の数字だと思いますが、正確に国勢調査みたいに測るものではないので、500万立方メートルがあって、実は大体3パーセントぐらいが年間成長するということなんで、12万立方メートルから15万立方メートルが毎日放っておいてもCO2を吸収しながら、太っておるという状況があります。

    

それとあわせて、もう一つ言えば、今ある山の木の年齢ということで行くと、50年、40年、60年、こういったところにピークがあります。

トータルで見れば、これがトータルなんですけども、50年、60年、40年といったところにピークがあります。戦中戦後、一生懸命先輩方が、山のてっぺんまで植えていただいた資源であります。この資源、ここにもあります、あとで、ということもあるんですけども、この資源を今使っていかないといかん、使わないと山が死んでしまう、この10年経てばこの山がこっちへ移行します。また更に10年経つと80年100年のこういう山があっても、こういう山はもうおそらく、手が入らなくなるんではないかなと、大きくなりすぎる、逆に言えば、大きくなるまでに山が荒れるということもありうるかもしれません。そういうことなんで、いま、どんどんここの部分を切っていって新しく植えていくという、新しい若い木を作っていく、日南町の人口構成と全く同じです、この努力をしない限りはダメなんです。ここをどうやって切っていくかということだと思います。いま、オロチができたことで、木が大変よく動いていますけども、まだまだここには足りません。で、一方の見方をすれば、日南町の皆さんは林業だけが儲けておって、というような見方を、さっきまで言いましたけども、同じような一つのスタンスなんですけども、林業ばっかりが儲けておると、一時期は公共工事だけが、建設業者だけが儲けておってと、思いを持っておられましたけども、そうじゃないんですよね。儲けてもらったら、よう、「儲けなった」「よう頑張りなった」、といえばいいことなんですけども、ま、そういった意味合いで、この部分を増やしていく、さらに林業に力を入れていく必要があると思います。町有林でいえば、とにかく皆伐をして、新植をしようという一つの方向性を出してもらっています。ですけども町有林で皆伐できるのは、そんなにはまだ量は出てこないと思いますので、全体的に新しく植えるための、全伐皆伐、新しく植えるという、そういったところにもいろんな政策的な手当というものが、まだまだ、ほとんどされていない、ていう状況がありますんで、していってもらう必要があると思います。

 

    

平成17年日南町は思い切った政策を打たれました。私は県の立場におりましたので、びっくりしたんですけども、地域再生計画ということで、認定を受けられて、ほんとに、間伐材そのものを製品化して外貨を入れるという仕組みを、作られました。これによって、将来的には5(正しくは15)万立方メートルが原木を出させるようにしようという話でありますけども、この木材団地を皆さん全員、見ていただいていると思いますけども、いろいろ見学に来られた人に案内しますと、ほんとにびっくりされます。「これだけのものがこういうとこころにあるんか」と、びっくりされます。

丸和のチップについても新しい施設を作っておられます。木材市場の扱い量がものすごく増えています。こんな実態があります。

    

地域再生計画ができる前、4万立方メートル前後の原木の動きでした。丸和さんと市場さんでこれだけのものが確保できていた。ただ、市場さんには入れずに、おそらく、当時は岡山、島根の県外の市場に出されている部分も多かったんじゃないかというふうに思います。それが、オロチができまして、オロチは段階的に増えておりますけども、この、市場の部分が結構増えているんですね。いま、市場の取扱量のほうが多い、オロチよりはという状況になっておりまして、市場そのものの、なんて言いますか、活性化というものができてきております。

これまで低迷していたというのも、県外の市場に出しておった、というのも一つの実態だと思います。それが、オロチにつれられて、やはり間伐が促進されたことによって、市場に出せれる木も増えてきておる、ところです。これだけのボリュームが市場に出てくれば、県外の市場も一目置いてきます。ですから逆に言えば、こっちの市場が価格主導するような感じができてくるんではないか、もう少しすればそういうふうに、独りよがりをしているところです。

    

山では機械をどんどん入れていただいております。町のほうからのいろんな支援をいただきながら。平成24年度にはたくさんの機械が入ります。事業所では若い雇用もあちこちで、聞き始めました。「これだけ金を入れて安うできるだけ、金儲けとるではないか」というような、裏で、たぶん出て来るではないかと思うんですけども、そういう根拠のない話をあまりされないほうがいいんじゃないか、確かに儲かると思います。儲かるといっても、基本的には補助があってこそ、いま、山が動いております。間伐補助とか、いろんな補助があるからこそ、できるんであって、こういったものをできるだけ自立できるような、地域がこういうものを当てにしなくてもできるよ、という、そういった産業構造にしていくべきではないかなと、ま、それでこそ、国を引っ張っていくようなモデルになるような結果的には地球を動かすような地域になっていくんじゃないかと、いう風に思います。

 

5 森林資源の活用方法

    

このバイオマス、材木として使うというのもあるんですけども、それ以外にもいろんな使い方があります。

部分・部分にもあるんですけども、今までやっていますのは、製材品とかパーティクルでやるとか、これからの課題としては、分子素材、紛体にするとか、カーボンファイバーにするとか、いろいろあります。そんなことを含めて、生産ライン、産業体系として、いろいろあります、最終的にはチップの燃料というのもあります。途中でガス化というのもあります。よく御存じのペレットストーブ、ペレット燃料。リグニンとか、セルロースとか、そういう化学物質的なものまでおりていって新しい物質に換えていく、それから抽出。それから、むかしからの木炭、医療とかそういった壁材とか、そんな形も出てきます。いろんな使い方がありますのでこれらの使い方を、もっともっと前に進めていけば、日南町にもこういった、製品工場の立地の可能性がないとは言えないと思います。逆に言えば、可能性を作るためにも、みんなが進めていく、勉強していく、歩いて行くということではないかと思います。

具体的に言いますと、固形燃料として、燃焼、ガス、液体燃料といったエネルギーに使えるもの。それから分子的に、マテリアルとして使うもの。木材なんか当然そうなんですけども、材木なんかは、というようなことで、いろんな使い道があります。

積層材・集成材というのも当然あります。パーティクルボード等も出てきます。

 

    

実はこういった木質バイオマスを、活用するにあたって、中国経済産業省が経済連合会が整理したものがありまして、まず、量的なものとコスト的なもので安定的に調達が難しい、というのがあります。この一つの問題としては、不在村の地主も当然出てきます。

 

    

製品の収益性を高める必要があると、要するに山から持ち出す金とか製造に伴う金、そういったものをなんとか工面せんといかん、いうような課題がある。この地域で、もし動かそうとすれば、効率的な収集運搬システムを、もうちょっとつっこんで整理していかなければいかんじゃないかなということです。特に、一番大事なのはやはり、林地から出してくるときのコストということで。

これは、日南町バイオマス活用協議会という任意の団体がありますんで、ここで、県の予算をいただいて、いろんなデータ収集もしておるところです。林地残材、枝葉を含めて、束にしますと、だいたい、二割ぐらいの重さしか出てこないと、容積に対して二割ぐらいの重さしか出てこない。効率がそれだけ悪いんですけども。そんな状況もありますんで、そこらへんの縛り方というではないんですけども、その効率性のアップが必要となってきています。

あと、付加価値をあげていくという意味で、アロマオイルというものも面白いものだという風に考えております。それから、先ほどのバイオマスリファイナリーシステムの図面を出しましたけども、そういったなかで、いろんなものがある中で、付加価値を高めていくように取り組んでいくことも大事じゃないかと思います。

 

    

先ほど言いました、日南町バイオマス活用協議会で、林地残材・枝・葉、こういったものを、どのくらいのコストで外に出せれるかという、そういった検証もしております。県の林業試験場がきちっとデータを取って、うちにある機械を使って作業をやったデータであります。なかなか、いいコストにはなかなか、なってかないということではあるんですけども、やはりこういった、ある資源を最大限有効に使うということは、我々に課せられた課題だと、いう風に思います。

 

    

木質バイオマスというのは、結果的には燃焼という行為で一つの幕を終えるわけですけども、燃焼、いきなり山から出したものを燃やしたって、これは、意味がないですし、燃やすには水がぼたぼた落ちるようなものをボイラーに入れたって、ボイラーが壊れるだけです。ですんで、途中乾燥という過程もあるんで、その乾燥の過程を一つの別のラインでの、産業というものに動かすということも、大事なのかなと、いうことだと思います。いろんな形で、電気に変えたとしても、電気に変えたとしても、これを中国電力に売ります、では何にも残りません。やはり、電気はこの地域で、使う、最大限使って、まあ、余ったら、中電に売っていいかとは思いますが、最大限にいろんなところに使うべきだと、いう風に思います。それによって、産業も生まれ雇用も生まれ、税金も入るという、一つの仕組みができるんじゃないかというふうに思います。燃やして電気ができますけど、さらに熱が出ます。この熱を又、さらに使っていくということだと思います、先ほどのチップを乾燥させる、木を乾燥させるということも、当然そうですけども、やはり、熱エネルギーを農業利用とか、公共福祉施設の冷暖房というような形で作って使っていくことで、全体的に、この地域の資源が全体として、地域に全部落ちるんだという形を作っていかない限りは、この地域の、先ほどまで言いました、中山間地の悲哀をいつまでもなめにゃいかんということですね。

 

    

もう一点、着目したいのは、僕は木炭だと思います。火力としてもいろんな使い方があるんですけども、やはり、この、暖かさというか、木炭・炭を焼いた時の熱さがやっぱり、今はもう全く味わえんようになってしまったんですけども、電気ストーブやファンヒーターやこたつも全部電気こたつですから、その熱さという暖かさ、それから、火がおきてきたところでの、その、ほんわりとした暖かさ、そんなものが、やはり、僕らにとっては大事な、なんて言いますか、生活の一つの材料じゃないかと、いうふうに思っております。

炭焼きの、実は、技術・技能が、だんだんだんだん消えていっているんじゃないかなというふうに思います。

 

    

これは日南町でのではないんですけども、こういうイメージということでのせておりますけども、炭焼きという一つの産業が、また、できてこないものかと、いうふうに思います、備長炭とか菊炭というような高い金で売れるようなものであればそれなりにあるかもしれませんけども、今の段階ではなかなか、ないと、逆に言えば使うところを作っていかないといけない。炭でないといけないよというような、なんか、仕組みを作っていきたいものだなというふうに思います。

 

    

あとチップですね、いろんなチップの形があります。チップにすることで、使い道が広がっていくというのがあります。

 

    

じつは川崎バイオマス発電ということで、実証実験されておりますが、バイオマス発電がこういう規模の大きいものがあります。これは実用化されている分ですね。住友と、どこだったかな、◯◯  はち、そういったところが、共同で今やっておりまして、チップだけによるバイオマス発電をやっておる、ということですので、我々としてもこういた地域を、こういった事例を情報収集しておきたいと思っております。

 

    

軽易な部分で、チップボイラー、こういった風呂場、温泉街の風呂場に供給するためのチップボイラーとかそういったものも、各種いろんなものがありますので、こういったものが売れていくことによってもしくは、売ることによってチップの波及効果が出てくるということだと思います。

 

    

ペレットストーブ、日南町内ではペレットストーブはんかなか入っていないんですけども、正直言って安定的に、これなんかタイマーがつくやつなんですけども、それなりに暖かさが感じられる、ということです。強制排気もできますし、なんですけども、ペレットにするとどうしても単価が高い、ということになります。

岡山県の銘建産業がペレットを安く売っています。1キロ20円ぐらいの単価で、買いに行けばあります。ふつう市場に出ておるのは40円です。なんで岡山県の銘建が安いかというと、これは、銘建産業さんは、ヨーロッパから材を入れて製材加工し、集成材という形にもっていってまして、そこで、大量に鋸カスとか端切れとか、出ているということで、それを今までは産業廃棄物として処理しておったけども、なんかできないかということで、ペレット化して、結局、原料代はただ、もしくは産業廃棄物の処理代は差っ引いて結果的に安いペレットができております。

わたくし、このタイプのペレットストーブを入れていますけども、琴浦町にある赤碕清掃さんからペレットを買っていますけども、40円。どうしようもない、ただ、配達はしていただけますけども。

    

日南町バイオマス活用協議会で、岐阜のほうに視察に行きました。いび森林資源活用センターというのがありまして、大量にペレットを作っておられます。これは、やはり、現地材を使って乾燥させ、チップにして、チップから釜にいれて、それからペレットにするという、過程がありますんで、20円という単価は出てきません。

 

    

それから、これは最近耳にしたんですけども、バイオコークスというものがあります。近畿大学の先生が大阪の高槻森林組合と共同で、製造工場を作ったということのようです。固めて、練炭よりかなり固いものです。こういったものを炉に投げ込むと、火力が非常に強いということで、どうせやるなら、これくらいにして、火力発電所に持っていくというのも、一つの手としてあるのかなと、というふうに思ったりもしています。これなんかは扱いやすいんで、冬場の日南町のハウス栽培こういったところに、ほんとこの程度のボイラーなんかででもですね、このぐらいのボイラーなんで、扱いやすいんで、農業にも使えるんじゃないかというふうにも思ったりしています。まだまだこういったものは、始まったところでもあるんですけども、まだまだ、利用価値があるというふうに思っています。

    

あと、木質バイオマスを、こういう紛体にできます。粉、粉というよりは本当に紛体で、黄砂より少し大きいくらいかなという、感じで、吹きとばしたらなかなか落ちてこないという感じのところまで、できるというような機械もあります。こういったことで、また次の二次加工すればいろんなものができてくる、いうものもあります。

 

    

それからカーボンファイバー、線維化するというものもあります。現実にこれも実証実験されていまして、パソコンの炭素繊維的な扱いで、いろんな製品ができておるというものがあります。いろんな資源として使えるという木質バイオマス。

 

    

この実証実験は大分のほうでやっておられます。様子を見ておるというのが実態ですけども、さきほどの、パソコンの東芝さんあたりも力が入っておるということです。

技術的なものもありますんで、これからどうなっていくかわかりませんけども、着目しておかないといかんと思います。

 

    

また、今度はバイオオイル。というような形ですけども、未利用資源からバイオオイルということで、製造技術はある程度できておるようです。で、栃木県の森林組合連合会がそういった絡みをしながら動いておるということでして、オイルができるというものです。

 

    

製造プロセスが簡易で、環境にやさしい、という大きなメリットがある。このくらいの規模で、それなりのものができるようです。仕組みとしては、一連の流れが、こういう形になりますけども、いわゆる木質バイオマスの性格を、利用したものということです。

 

    

それから、バイオエタノールです。これは、いろいろ生産のやり方というのがありまして、いろんな形のものが、実証実験があちこちでやられておる、ということでありますが日本の場合には、非常に、国の動きが弱いと言えば語弊がありますが、法律・規制という面がまだまだ残っているということで、使うほうも含めて、難しいのかなということでもあります。

外国の事例では非常にあちこちでやっております。

 

    

アジアで、代替えガソリンとして使っておりますのが、原料として、バイオエタノールを作る原料としては、基本的に食糧です。ギャッサバというのは成長は早いけども、毒があるというものですね、もともと食糧にはなりえない。それぞれ、導入時の目標とか支援とかいろいろあります。なかなか、日本ではこういったところまである意味無いんじゃないかなというふうに思っております、それぞれ、努力しておられる。

 

    

エタノールというところだけ見れば、自給は日本ではほとんどしていない状況。実験段階ですというぐらいなイメージですね。

アメリカでは、アメリカで使っておられる、エタノールについてはほとんど自給している状況。ブラジルも当然そうですよね。サトウキビからトウモロコシからエタノールを作って、もう、どんどんガソリンとして使っておられるところです。

実は、米子のほうで電気自動車の話があります。で、どんどん普及していきたいということのようですけども、電気自動車が、例えば、今の自動車保有台数の半分ぐらいまで、電気自動車に代わったとしたらどれくらいの電気を使うんだろうかなとつくづく思います。それもほとんど、夜の夜中に充電することになると思うんですけども、その電力をどうやって供給するのかなと、いうのが、僕はよくわかりません。そこら辺を踏まえて、おそらく政策推進されているとは思うんですけども、一番単純なところで見えてこないというのが一つあります。

ですので、いきなり、電気自動車にグラッと変わるわけじゃないということも確かなんで、ていうと、先ほどいいました石油資源はよそに依存している、ホルムズ海峡が封鎖されればどうなるかわからないというときに、ガソリンの代替え燃料というものは、独自に、ある程度作っておかないといけない、というふうに思うんですよね。

で、当然、ガソリン代替えですから、今のエンジンで、当然基本的には使える。すくなくともE3、3%混合、E10、10%混合、は完全に十分できるわけなんで、それが20%、30%になろうとも、要するにガソリンの量を抑えれるわけです。ですからこういった代替えガソリンとしてのエタノールとしては、これから本当に日本の、資源のない日本にとっては、力を入れて作っていくべき燃料だと、資源だという風に思います。

エタノールの製造システムはあちこちでやられております。

 

 

これは北秋田のほうでの、実証実験ですけども。これぐらいのもので、高さ14メートルの四層構造のものでいま作られておるというような説明ができてきております。

 

    

チップ化して、それを予熱して、アルカリ溶解して脱水しながら洗浄して、糖化させてから、発酵させる、いうシステムです。これは単純なラインですけどもこれに一つ一ついろんな技術が出てくると思うんですけども、こういった木質バイオマスが、こんな形で使えていけれる、いうことです。冒頭ちょっと言いましたけども、紙からエタノールを作るという、京都市のほうで取り上げられておったというのがテレビにありました。古紙からできます、当然そうです、ですから木質の物からでもどんどんやっていけれると、そういうものです。

 

    

そうして、採算性に着目してみると、やはり、どうやって簡単に大きくなるものができないかなと、スギは30年から40年経ったもので、出すような形になるんでしょうけども、もうちょっと早く成長するものはないだろうかと、そういうところで、そういったものは結構あるみたいです。

ただ、外来種をどんどん入れるということにはならないでしょうからそういったところをチェックしながら、やはり、いずれにしろ植え替えて、植え替えてですね、常に一定量が出せれるような仕組みをつくっていく、この地域がやはり義務があると思います。そうすることによって、荒廃地についてもそういった植物を植えることで、活力が出て来るんではないかと思います。

コストの削減ということで、山から出す金をどうやって下げていくかということも当然そうです。一番最初に話をしましたけども、代替えと、消毒用、というのはインフルエンザ、鳥インフルなんかでは、ばらまくほどに、消毒しなければいけんわけですけども、こういったものも、まだまだ市場としては、あると思います。ま、飲んでおいしいかどうか、飲んだことはないんでわからないんですけども、

 

    

それからアロマオイルです。

これは実は多里のまち協のほうで、特産部会がいま、取り組んでいただいております。こういった機械を入れて、県の産業振興機構からの予算をもらって鳥大連携も含めて、何社かが入ってこういった、抽出の実験をやっております。いろんなやり方が、やりかたというか、加圧とか減圧とかいろんなやり方がありますけども、加圧するとやはり、いろんなものが出てきやすいということで、不純な部分が多いのかなと、ということで、ここでは、減圧で出しております。いろんなものがいろんな効果がありまして。一番気になる数字といいますと、スギでやりますと1365円ぐらいの、5mlぐらいの小さいビンですけども、

ヒノキでは、2100円ぐらいになってくる、で、一番着目しているのが、クロモジ7980円ということで、これが何とか出てこないかなという思いはあります。

 

6 山林を取りまく課題と対策・対応

    

いろいろ言いましたけども、木質バイオマスを使っていくことによって、どんどんこの地域にいろんな効果が出てくるということを言っております。山にだけ注目しているものですから、私のほうからこういう言い方しますけども、いろんなところに注目すれば、いろんなネタがあろうかと思います。ただ、これを持続させていくためには、どうするのかという、そのためにはいま課題がどんなことがあるのかと、いうことをちょっと整理してみますと。

 

    

まずは、昭和30年代の木材自由化による、経営のできなくなってきたという、経営、林業、山林所有者の経営意欲の減退、があります。もともと事業体も体力が弱まってきておった、ということです、取扱量が本当に減ってきております。これ、なんとか儲けさせてあげにゃいかんということ、儲けさせることによって山の管理ができ、また、いろんな形でつながっていく、ということです。もう一つは林業従事者の減少・高齢化から、あ、この字が違っていますけども、この大きな課題ですね。それから森林資源そのものの高齢化、さきほどグラフで見ていただきましたけども、高齢化、新しい若い人、若い木を入れていかにゃいかん、というところです。それから途中触れましたけども、所有者の不在村の問題。それから在村であっても、なかなか相続登記ができていないもの。これは、共有地が一番厄介でして、行方不明になった方とか僧俗がまったく手続きされてない方そういった問題があります。

当然境界が不明、一生けん命地籍調査やってもらっていますけども、すぐすぐにはできるものではない。実際にかかってみたら知っとるものはおらんようになった、というような状況も想定されるわけです。もともと、山林経営というものは80年100年、という長期資産なんで、今の時代にはなかなか難しい。いうようなことがあります。

そのほかにも、今の山が500万立方メートルといいましたけども、本当に山のてっぺんあたりまで、植えて頂いており、ほんとうに、無理なところまで植えていただいておるんで、全部が全部使えないだろうという、さきほどの林齢構成、ずらっと横にということも含めて、全部使いきれないだろうなという感じもしております。そういった問題もあります。

山があってこそ水がある、という、そこのところも意識していただきたいと思います。山がやはりきちっとした形で、地域の人の手の届くような形になっていない限りにおいては、水も結果的にはどこかに取られてしまう、いう問題になっていこうかと思います。ま、一連の物として、考えていく必要があるんではないかと思います。経営意欲という面で見ますと、昭和39年木材の完全自由化によって、がくっと木材自給率が落ちてきております。すべて、もう、輸入材がこの減少部分を補っていった、輸入材によって減少させられたという実態です。

 

    

価格変動から見ますと、これは役場のほうの資料からですけども、平成18年からずっと追ってきますと、わりと、全体としては、色合いでこう上がってきてほしいんですけども、まあまあ、何とかなっているのかなという感じはあります。

ある木材・・・、いや林業事業体の人が話をしておりましたけども、オロチができたことによって、いっとき、価格がぐっと下がりかけたということですけども、それを過ぎたら、みなさんが逆に、オロチというものが価格を安定させてくれておると、持ちこたえさせてくれておるというふうになってきたと、そういう表現をしていただいております。ですから一定量を一定の価格で、オロチが受け入れることによって、なんて言いますかね、木材価格全体がうまく下げ止まりしておるという、状況があったようです。ま、消費者側からすると、下がれば下がるほど、いいんでしょうけども、それでは地域の経済は成り立ちませんし、産業としても、やっていけれないという実態があります。

 

    

で、上は農業者、下は林業従事者ですけども、高齢化が進んできておりまして、昔はこういったピークにあったのが、どんどん年齢が上がってきていると、こういう状況です。

 

    

山林所有者が、今日のお話の中でお話ししましたけども、ポイントをお話しすると、だいたい70代の方で、まちを離れて50年ぐらいたった、所有山林の話は親からも聞いておると、山林以外にも家や農地や墓もある、今思うと山の管理は非常に負担だと、境界は行ってもあまりわからんだろうと。いうようなこととなかなか状況を見に行くようなこともない。だれか引き取ってもらう人があればよろしく、いうことになります。これを何かの対策をしておかない限りは、しかたないですから、どうぞどうぞ、外国資本へどうぞ、という話になっていく、形になっていく。いずれにしろ、外に出られた方には、山に関する情報がわからないということなので、私ども、NPOとしては、ここの情報発信はまだまだ、継続させていきたいという風に思っております。

    

共有地、これは事例が、簡単な事例ですけどもありまして、不在村率としては、だいたい30%ぐらいがあるんではないかと思います。小学校のところの砂防工事なんか見ていただければわかるんですけども、結果的に登記ができないという、共有地の登記ができないということで公共工事も止まらざるを得ないというような現実問題もあります。砂防工事ですから、これ、工事ができなかったら、山が荒れていくという

 

    

そういうのが目の前にあるということです。それから、何回か話をしました、外資による日本の山林買収、ということで、北海道で一番最初に話が上がりました。いま、1100へク、1へクタール以上が届け出が必要なんで、そういった正確な部分だけであるんでしょうけども、まだまだ奥の物が裏に隠れているんじゃないかと、いう風に思います。

 

 

私どもで、林地集約化研究会ということで、いろいろ議論しながら整理をしてきているのが、こういうような内容です。一方的に描いておりますが、行政介入による解決策というのは、やはり、大事なことではないかという風に思っております。極端な条例ということにはならないかもしれませんが、その仕組みの中で、やはり行政のバックアップというものが必要だと、いうふうに思います。いろんな、山に特有な課題もありますけども、それぞれの段階で、整理しておるところです。

 

    

もうひとつ、NPOとして、今やっておりますのは、先ほど言いました、平成17年の地域再生計画の検証効果測定を、話を鳥取環境大学地域イノベーションセンター、旧とっとり総研なんですけどもここに持ち込みましたら、自主事業としてやってやると、いう了解をいただいております。このために、我々としては地域にプロジェクトチームをいま、たちあげて、先般1回の勉強会情報交換会というような形でやっております。県の日野総合事務所を含め、行政サイドが、参加していただけないという状況がありましたので、我々だけで、細々とやるつもりではありますけども、とっとり総研のほうでは、たぶん経済効果、これは鳥取県域全体に及ぼす効果というまとめになると思いますが、ここで、何億円、何百億円という数字が出ると思うんですが、なかなかそれでは身近にわからないということで、我々のプロジェクトチームでは、それを、卑近な例を含めて、こんなことで、これくらいの、こんなことがあるよとか、そんな話をしていきたいと思っております。予定としては7月ごろにと思っておりましたが、若干時期がずれております。こういうものが出来上がりましたら、また、みなさんにお話しできるような場をつくっていきたいと思っております。

 

    

中山間地域、ひとつのまとめではありますけども、先ほどまで話をしました内容で、誇りある地域をつくろうではないかということで。

まとめという形になるかどうか解りません。

 

    

日南町に暮らす私たちの地域の再生に向けて、地球を動かすモデルとなりますというぐらいの自負を持って、前向きに、なんだい、あいつらがなんかやっとるわという感じじゃなくて、面白げなからやってみようか、暖かく見てやろうかという気持ちで見ていただければNPO活動としても、非常にありがたいなと思っております。これは、先般、5月6日以降に中海テレビが我々の活動の特集を組むということで15分の番組の中で、中海テレビの榧野アナウンサーですけども、植林作業体験事業をやった、日南町町有林のところで、こういうデモンストレーションをやっていただきました。理事長と榧野アナウンサーとで、記念植樹をやっていただいたということであります。ぜひご覧いただければと思います。2週間は否が応でも、目にせざるを得ないと思いますので、よろしくお願いします。

 

7 NPOフォレストアカデミージャパンの活動

    

若干時間がありませんけども、NPOとしてやってきておることをちょっとお話してご協力等を、いただければと思います、NPOというのは基本的に予算が乏しいところ、どこの団体もそうなんですけdも、でありますので、最終的に何年か経ったら、社会貢献という意味合いで、企業とか、いろんなところから、寄付金を頂けるぐらいの活動をして、その寄付金を運営資金にしていこうかなと、今は、がむしゃらにいろんなことをやっているところです。いままで、日南町では木を切ることはされていましたけども、そういったソフト面とか、そういったところができていない。川上川下交流というような、こともなかなか、手がはいっていないということで、そういった部分は当然我々も、力を入れていきたいと思っております。

かいつまんで申し上げますと、昨年度は、林業後継者支援事業ということで、これは、従来から、日南町林業協会というような中からやっておられました雇用対策を引き続きやっております。

それから森林の力体験事業ということで、助成金、これは7万円しかもらえなかったんですけども、山に入り、これは、日野川源流に入りましたけどもこんな体験事業をやっております。それから、森林作業体験事業が、後ろにパネルを用意しておりますけども、昨年は4回にわたって町有林を使わせていただいて、ヒノキ苗を、一般募集してきていただいております。天気が4日のうち3日間は悪い天気だったんですけども、一生懸命皆さん泥にまみれて、米子や境港からの参加の方が、汗をかいてやっていただきました。それが良かったのかどうかわかりませんけども、2回3回やられた方も数人おられます。なんで、米子・境港かというと、先ほど言いましたけども、やはり日南町に市民の山、分収造林、水道局の山を持っておられるという意味合いで、もうちょっと、きっかけにして、日南の森を、入ってほしい、そういう意識を持ってほしい、という意味合いでやっております。これは、国土緑化推進機構の緑の募金公募事業から金をいただいています。それから、一つのテーマとして、妖怪の杜構想推進事業というテーマを作っております。森の持つパワー、それから森のもつなんていいますかね、背筋がぞくっとするようないろんなものが感じられるわけですけども、こういったものを、皆さんに体験していただこうということも、皆さんにどんどん山に入いっていってもらおうという意味合いで、ワークショップをやったり、ツリーハウスセミナーをやったりしております、それから先ほど折に触れてお話ししましたけども。不在村の山林管理システムということで、林地集約研究と情報発信をしております。あとは、バイオマス活用協議会に参画していろんなことをやっているところです。源流に行きました、7万円の助成だったんですけども、源流に行って山で、森で遊ぶということをやっていただきました。最初の9月25日は非常に天気が良かったんですけども、あとの三回は非常に雨の中で合羽を着てやったということです、10月22日はコンビニのローソン、ローソンも緑の募金を独自にやっておられまして、その金も一部入っているということで、ローソンから20人近いメンバーが入っていただいて、郵便局関係も含め40人ぐらいの体制で植えたところです。ワークショップということで、これは実は水木しげるロードの妖怪工房ですけども、こういった、菅沢の清水山荘とか、イチイ荘とかでいろんなグループの皆さんと話をしてきております。ツリーハウスセミナーでは、一般参加で、将来近いうちに自分の山で作りたいという人もおられました。ツリーハウスを作りたいという方もおられましたし、年末には、こどもたちを集めて、そこの文化センター多目的ホールで、こんなおとで一日を過ごしたこともあります。

管理システムということで、まとめになりますけども、森林組合員で1500人ぐらいいらっしゃると聞いておりますがそのうち、230名が町外ということで、これらの情報発信をしておると。

書いておりますけども、法律を超えた施策、法律にこだわっておりましたら、憲法の個人財産所有権、ここで、全部ひっかかってしまいますんで、憲法を超えたとは書けれませんので、法律を超えた施策が必要じゃなかろうかというまとめとしております。

そんなことで、地域固有の資源を活かして、私たちの地域の再生、これに皆が努力していかにゃいかんじゃないかということであります、山を育てる守る、そこで人が働く、人が集う、山と共に森林と共に持続していけれる社会そういったものに目指して、森林関係者としての一方的な見方であるんですけども、こういうのが逆に言えば、農業サイドでも話をしてほしいし、商業サイドでも、建設業サイドでもそういった話をしてほしいと思います、こういった話をどんどん集める中で、この地域がやはり、自立していくんじゃないかと、新しい文化がそこにできて来るんじゃないかと思います。

私のキーワードはいま、文化という言葉です。耳を傾ける文化それからフリーにいろんな話ができる場をつくっていくという文化、そういったことが大事じゃないかと思っております。時間が3分ほど遅れましたけども、終わらせていただきます。

 

 

 

    

 

 

質問1

 山主が儲けるには、コストを下げるというあたりの話がなかったが、講師の考えは?

 

 

質問2

 TPPに対する考えは?