ウリコサン時代のできごと。
850円の買い物をお客様がした。1000円札を出された。
「1000円お預かりいたします。」
なんの不思議もない。
そのお客様は721円(消費税3%の時代)のお買い物をされ、721円を出した。接客をした女の子はなにげなく、というか普段どおり
「721円、お預かりします。」
と言ったのである。
するとそのお客様、
「ちょうど払ったのだから、お預かり、じゃないだろう。(お釣りを)返すのならお預かりだろうが、わたしはちょうど払ったのだから、頂戴します、じゃないのか。」
と、おっしゃった。
別に怒鳴ったわけではない。しかしカウンターの中にいた人間はみなポカンとした。次の瞬間、皆
「あっ」。
言われたとおりなのである。完全にこちらの間違いだ。その日からうちの売場は「頂戴します」と「お預かりします」の使い分けを始めた。その名残でいまだにわたくしは役所のレジで使い分けをしてしまうし、自分で買い物をするときも店員の言葉が気になる。しかし店員が「お預かり」と言っても、それを正す勇気はなかったりする。
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