こういう言い回しをする人がいる。
「税金についてのお尋ねなんですが。」
訊かれてわからず、取り次いだ人が言うのではない。質問者がこう言ってくるのだ。「お尋ね」とは、尋ねるという動作を名詞化したものに「お」をつけてていねいにしたものである。すなわちこの人、尋ねるという自分の動作に敬語を使っているわけだ。ニホン語の難しいのはこの敬語というヤツで、これが「お尋ねしますが」となると謙譲の意味を突然持ち始める。そこから誕生した混同が「お尋ねですが」だろう、と思うのだが、いずれにせよ心地悪い言葉なのは間違いない。
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