宛字書きかた辞典  有澤 玲 編  柏書房

ateji.jpg (49513 バイト)難読漢字には何種類かのパターンがある。
古来から伝わる風習・行事。動植物の名前。地名・人名などの固有名詞。
行事関係は意味を考えると読めることもある。動植物もだ。「魚偏に弱」で「いわし」。なんとなく納得するではないか。
難しいのは固有名詞である。「十六島」など普通の人に読めるわけがない。
しかし世の中、もっととんでもない難読語が存在する。意味など何もない、ただ音を合わせただけ。そう、「当て字」である。いや、当て字といっても「夜露四苦」「仏恥義理」は別だ。
ここでいうのは「外来語の当て字」である。

米・英・伊・独・仏などはすでに人口に膾炙しているといってもよろしかろう。ちょっとシブいところでは越(ヴェトナム)・墨(メキシコ)・白(ベルギー)などというものがある。しかしながら米をアメリカと読ませるその省略しない書き方をご存知の方はグンと減るのではないだろうか?
1.亜米利加
2.亜米理加
どちらが正しいか?
さらにアメリカの全州にまで当て字があることをご存知だろうか。

人名、動植物、薬品、単位まで、この本は網羅している。あくまでも外来語に限って、だが。同社からは「宛字外来語辞典」という本も出ているのだが、いかんせん1979年刊行とやや古い。2000年刊行のこの本の方が楽しめるだろう。
ただしこの本、「ジャイアントパンダ」が掲載されていなかった。ここで補足しておく。「大熊猫」である。もちろんレッサーパンダは「小熊猫」。「大猫熊」ではないことにご留意いただきたい。かつてパンダはネコ目ジャイアントパンダ科とされていたのである。その名残りだ。もちろん現在では食肉目パンダ科である。