魚喰居
ジャンル:鮮魚料理 |
場所:東京都渋谷区道玄坂 |
「祭りばやし」という居酒屋チェーン店が都内に何軒かある。酎ハイブームの頃、金魚鉢でサワーを出して我々のどキモを抜いた。また同じく酎ハイブームの頃から多くの地酒を店に置いていた。常時30銘柄はあっただろう。 そんな店の1軒、道玄坂店が、98年春、突然、名前を変えた。 「魚喰居(うおくらい)」 場所は渋谷中央街(センター街ではない)。JR渋谷駅南口東急プラザ横から京王井の頭線渋谷駅西口までの一帯をこう呼ぶが、このあたりには実にいい店が多い。このページに出てくる渋谷の店はほとんどがこの地域にある。 魚喰居は井の頭線西口改札のすぐ横。小さなビルの2階である。正直言ってわかりにくい場所だが、店長の熱意は周りの店に負けていない。 祭りばやし時代から、地酒と魚料理にはこだわりがあった。毎朝、河岸に出かけ、いい魚を買って来ていた。しかし、刺身を出すだけでいいのだろうか、と。さらに世間から魚屋が消えていった。魚はパックに入って売られはじめ、1匹まるごとの姿を見たことのない人までいる。これでいいのだろうか、と。どんな商品でも顔が命、顔がお客様に見てもらえてこそ、魚屋である、と。そのため慣れ親しんだ屋号を捨て、「新鮮な魚の顔が実際に見えて、安く出せる店」を始めた。 店長は言う。「うちは居酒屋ではない。魚屋だ。」 近くには大きな魚屋が直接経営する店「魚河岸ふくちゃん」や「魚や一丁」などの行列のできる魚料理店がある。しかしうまい酒と魚を置く店はない。 行列までできなくてもいい。ただ「酒と魚がうまい店なら魚喰居だ」と言われる店になることを祈っている。 |