十思九徳

十思
・欲しいと思うものを見たら、足ることを知って自戒することを思い、
・大事業をしようとするときは、止まることを知って民の安楽を思い、
・高ころびしそうな危ないことを思うときには謙虚に自制することを思い、
・満ち溢れるような状態になりたいという願望が起これば、老子の『江海のよく百谷の王たる所以は、其の善く下るを以ってなり』で、満ち溢れる海はすべての川より低いことを思い、
・盤遊したいと思うときは、必ず限度をわきまえ、狩りのとき『三駆以って度となす』すなわち一方に逃げ道を用意してやるのを限度とすることを思い、
・怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして終わりをつつしむことを思い、
・自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、虚心、部下の言葉を聞くことを思い、
・中傷や讒言を恐れるなら、まず自ら身を正して悪をしりぞけることを思い、
・恩恵を与えるときは喜びによって賞を誤ることがないように思い、
・罰を加えようとするときは怒りによって重すぎる罰にならないように思う。

九徳
・寛にして栗(寛大だが、しまりがある)
・柔にして立(柔和だが、事が処理できる)
・愿にして恭(まじめだが、ていねいで、つっけんどんでない)
・礼にして敬(事を治める能力があるが、慎み深い)
・擾にして毅(おとなしいが、内が強い)
・直にして温(正直・率直だが、温和)
・簡にして廉(大まかだが、しっかりしている)
・剛にして塞(剛健だが、内も充実)
・彊(きょう)にして義(強勇だが、ただしい)