ウルトラこぼれ話
ウルトラに関するお話をいくつかご紹介いたします。

1.なぜウルトラハット?

 一番早くボタンを押した人がかぶっているハットのクエッションマークが立ち上がる・・・・この画期的なシステムは、ウルトラらしい事情から生まれたそうです。ウルトラクイズは外でのロケがほとんどです。普通のクイズ番組のように早押しランプだと日光の影響でランプが見えなかったりして、認識するのに手間取ることが十分あります。そこでマークが立ち上がる方式を採用したとのことです。ちなみに第1回は電磁石でマークを立ち上げているので解答者が自分でマークを戻さないといけませんが、第2回以降はモーターを採用しているので自分で戻す必要はありません。2003年にUFOキャッチャーの商品にもなったミニウルトラハットはそういう意味では第1回のハットを再現したものと言えるかも。



2.企画段階の名前は「ジャンボクイズ大会」?

 そうだったそうです。なぜウルトラクイズになったかと言うと、スポンサーへの配慮とのことです。当時スポンサーの全日空がまだジャンボ機を導入していませんでした(ライバルのJALは導入済み)。ですので「ジャンボ」はやめたそうです。そういえば高校生クイズで福澤さんが「ジャストミート」を使おうとしたらスポンサーのライオンさんのライバル会社の商品名「ジャスト」とかぶるので急遽「ファイヤー」にしたといっておられました。



3.ドロンコクイズの秘密

 ドロンコクイズは第4回から行われていますが、実は第3回でも企画されていたようです。内容は海岸で行い、正解ならゴムボート、不正解なら海にドボン!結局それをおこなうのに適した場所が見つからず幻になりました。
 また、初期のドロンコはドロプールが浅く、何度か首を痛めるなど事故もあったそうです。
 ドロンコクイズは「40人中24人通過」という場合、通過者が不足していた場合はカルタクイズなどやって敗者復活戦をおこないます。ではその逆の場合は・・・・実は○×の札あげクイズなどで勝者決定戦をやっているそうです。カルタクイズは放送されている場合もありますが(していないこともある)、勝者決定戦はTVで流れたことはありません。



4.第1回の参加者404名

 まだ一度も放送されていない段階での企画だったため、実際参加者が来てくれるかどうか不安だったそうです。さて、第2次予選に進んだのは80名でしたが、2名辞退されたそうです。では2名どうしたのか・・・これは分かりません。ただ、長戸さんの本によると第1次予選で最後の方で失格になった人に補欠の権利があるようなことがかいてあります。ひょっとしたらそうなのかも?ちなみにその本によると12回のチャンピオン瀬間さんは補欠合格だったそうです。



5.他局との微妙な関係

 当時からライバル関係だったフジテレビ。意識してなのか、徳光さんのシュプレヒコールにも「これからはフジテレビを見るゾー」など何度かでてきます。11回では挑戦者にフジテレビ関係者がいて大きく扱われていました。15回ではドームでリリーフカーを運転していたのがアナウンサーになる前の木佐彩子アナウンサーでした。結構つながりありますね。TBSとは・・・企画段階でTBSはヨーロッパ周りでクイズを行い、日テレ、TBSのチャンピオンが対決し、その模様は両局同時放送・・・という案もあったそうです。これ、すごい面白そうなのでやってみてはどうかなあ。



6.弱いチャンピオン?

 留さんは本の中で「第9回の金子さんはチャンピオンの中で一番弱かった」と書いておられます。事実第9回は準決勝はリレークイズ&1問の○×クイズで決定という異例の関門、そして決勝戦はスルー連発でもの凄く時間がかかったそうです(事実決勝戦の様子をみると太陽の様子からその感じは見て取れます)。でもそれはそれでいいのがウルトラクイズ。知力・体力・時の運、1つが悪くても他でカバーすればいいのです。誰でもクイズ王になれる可能性がある、これこそウルトラクイズなのだ!



7.機内の採点秘話

 機内ペーパークイズは挑戦者にとっても大変ですが、スタッフも大変です。早く終わらせるため留さんも採点に加わるそうです。また前半後半に分かれているのも挑戦者が後半の問題を解いている間に前半の採点ができるという意味もあります。ところで番組の問題集を持っておられる方は確認されてみるといいと思いますが、第1回から第4回までは40問おきに答えの番号が同じです(1〜40までと41〜80、・・・)。おそらく採点を楽にしようとしたからでしょうが、第5回からはそのような法則はなくしてあります。第2回のチャンピオン北川さんがこの法則に気がついて第4回で高得点をとったからだそうですよ。(きっどさんより情報。サンクス!)言われてみれば北川さん第4回の機内で余裕をみせておられます!



8.同意のもとでルール変更!?

 第10回のモニュメントバレーでのことです。形式は空席待ちマラソンクイズでした。状況は3人残っていて、共にあと1Pで勝ち抜け。3人の内1人しか通過できません。3人は同じ条件ではなく、男性一人が左の解答ボタン、もう一人の男性が中央のボタン、右の列は全員通過していたので誰もいない。そして女性は中央の後列にいます。このまま問題を続けた場合、解答できるのは前にいる男性2人で、女性は中央の男性が間違えない限り解答することはできません。ここで留さんは「中央後列にいる女性を空いている右列に移動させてもいいか?」と他の男性2人に同意を求めました。男性達はこの提案を飲み、結局その女性が正解し、男性2人は敗者となりました。ここでこの提案について考えてみます。女性にとってはこの提案は大変嬉しいものです。左列の男性にとっては相手が1人増えてしまったので損です。中央の男性も相手が1人増えたのですが、メリットもあり、後ろが誰もいなくなったので、お手つきをしてもペナルティがなくなりました(お手つきをするとその列の後ろにまわりますが、自分しかいない場合はペナルティ無しでした)。でも総合的に考えると男性2人にとってはあまり得ではない提案でした。でもこの状況では断れないですよねえ。ちょっとルールがマズイと私は思いました。クイズ中にルール変更が行われたのはこの1回だけです。



9.問題間違い

 第4回の第1次予選の7問目「日本では太陽が頭の真上にくることはない。○か×か?」で「答えは○。地球の自転軸の傾きのため、北回帰線より北、南回帰線より南の地帯では太陽が真上にくることはない」となっています。でもこれは間違い!地図を見れば分かりますが、最南端の島「沖ノ鳥島」は北回帰線より南にあるためです。さて挑戦者への影響は・・・その問題が出たのは97人勝ち抜けが決定している時点で、残り3名を10人の挑戦者で争っていました(この問題で5対5に分かれました)。あまり影響がない時点だったのが救いだったかな?



10.途中で問題を読むのをやめる

 第6回の準決勝「通せんぼクイズ」でのこと。「問題。野球で」まで読んだところで銃声(FBIアカデミーの練習のため)が鳴り、問題を読むのをやめてこのことについて触れた後で「問題。ゲーテの・・・」と全く違う問題にすり替えています。一体どんな野球に関する問題だったのかは留さんと関係者しか知らない永遠の謎となってしまいました。途中で問題を読むのをやめたのはこれが最初で最後でした。



11.ウルトラクイズの司会は?

 司会=挑戦者に当落に関係ある問題を出題した人、と定義して答えてみました。まずはもちろんミスターウルトラの福留功男さんですね。第1回から第15回の1問目までと第17回の司会をされました。次は2代目司会の福澤朗さん。私は結構好きでしたよ。さてその次は第10回の南コース12〜14チェックポイントの司会をされた日高直人アナウンサーですね。どちらかと言えば地味な方でしたけど頼れる兄貴という感じでした。その次は2重音声クイズと言えばこの方、小倉淳アナウンサーですね。第14回では同行アナをさしおいて登場されています。アラスカ鉄道でも敗者決定戦で登場されました。海外は以上で、次は国内で考えてみるとまず敗者の味方の徳光和夫さん。敗者復活戦では変な問題も多かったけど出題されていますし、第10回では敗者機で機内ペーパークイズの司会もされています。続いて2代目敗者の味方の渡辺正行さん。第12回では敗者復活戦で出題もされています。最後にくるのは増田隆生アナウンサー。第11回の名古屋での敗者復活戦では徳光さんが出題から実況にまわられたあとに出題をされていますし、その復活者の飛行機でのペーパークイズも司会をされています。私が正式にウルトラの司会者と認めるのは以上の方ですね。



12.実際とTVで異なるルール

 放送時間が限られているため、当然編集は必要です。実際はもっとたくさんスルー(全員ボタンを押さない問題)があるそうですがその多くがカットされているそうです。中には第15回のように勝ち抜けポイントを編集で少なくしているところやお手つきが実際は−1Pだったのに計算を合わせるために1回休みにしているところもあります。これを「やらせ」と言う人もありますが、私はあくまで「編集」だと思います。何も全てをそのまま放送すればよいというものでもないでしょうからね。



13.今世紀最後!

 今世紀最後のウルトラで第6回チャンピオンの高橋さんが親子で参加されているのが映し出されていました。実は高橋さんは第10回のあとぐらいに出たクイズ本の中に「娘と一緒にウルトラに出たい」と書いておられました。ウルトラが終了して叶わぬ夢になったと思われた時に復活!2人とも楽しそうでしたね。ちなみにこの今世紀最後のウルトラは留さんが日本テレビに開局45年記念の番組として提案したと留さんの本「ウルトラクイズ伝説」に書いてあります。



14.ウルトラの商品はろくなものがない?!

 ウルトラの優勝商品にはオチがついているものが多いです。今世紀最後ですと爆破されていますね。振り返ると第1回の松尾さんがもらった土地も何もないところでした。これは当時優勝商品の上限が100万までという決まりがあったため、安い土地を商品としたところからはじまったようです。現在、といっても比較的最近(2000年)ですが上限は1000万になりました。実を言うとウルトラが始まる7年前にフジテレビが優勝商品が1000万相当のマンションというクイズをやったため、翌年公正取引委員会が100万までにしたそうです。



15.ウルトラクイズについて考えてみた・・・。

 さて、ウルトラクイズは16回でレギュラーとしては終了してしまいます。その原因はいろいろ言われますが、よく「マンネリ」という言葉でかたづけられる事が多いです。しかしこの偉大な番組をカタカナ4文字で終わらせてしまうのはしのびないので私なりに理由を考えてみました。あくまで私の個人的な意見です。
 私が目をつけたのは第13回が視聴率ワースト3、第14回がワースト2ということです。特に13回は長戸さん、永田さんらが大熱戦を繰り広げたことでも有名な回です。しかしながら視聴率はかんばしくなかった・・・。ここにヒントがあるように思います。ウルトラはクイズ番組でありながら実はヒューマンドキュメントでした。広いアメリカの中でおこなうクイズ、途中失格してチャレンジャーたちとの別れなどがふんだんに映し出されていました。クイズに興味がない人もドキュメント番組として楽しめました。挑戦者も男女、年齢様々で、あの人に勝ってほしいなあ・・・と応援しながらみていました。13回あたりからはクイズ王ブームもあったせいかクイズに比重が置かれるようになりました。クイズ王を決める番組はTBSやフジテレビでも行われていました。ウルトラもその中のひとつという位置づけになったような気がします。挑戦者もクイズ研究会の人が多く占めるようになってきたのも関係あるかもしれません。こうなると一般の人がウルトラから離れていったため、13、14回の数字が落ちたのかもしれません。15回では留さん引退&新司会者ということで数字も持ち直しましたが16回でワースト1を記録して終わってしまった・・・と私は推測します。
 今世紀最後では事前番組で「今回は昔からクイズ番組でよく出されるような問題はやめて、時事問題や新しい問題を多く採用した」と問題チーフがおっしゃっていました。機内ペーパーをやめたり、決勝をドロンコで行うなどクイズマニアから見れば納得できないところもあったと思いますが、私はもう一度ウルトラをヒューマンドキュメントに帰そうという努力の表れだと思っています。
 同じ事が高校生クイズにも言えるのではないでしょうか。2003年の高校生クイズは賛否両論がかなりありました。私も決勝を途中カットするのはどうかと思っていましたが、あれもよく考えればクイズ好きな人間にとっては気になる部分ではありますが、一般の人たちにとっては大して気にならない部分であると思います。私も実際に番組を見て今の高校生はTVでいろいろ言われるけど1つのことに向かってがんばっている姿に感動しました。クイズ形式がどうのこうのではないんだなあ・・・と。ということでクイズ形式を研究するためにこのコンテンツを作ったのに結論はあまりクイズ形式にこだわってはいけない、ほかに大事なポイントがあることに気がついた・・・ということかな。


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