I‐Vコンバーター・ヘッドアンプ試聴記


 09年5月に、ゴルフ13さんの手によるI−Vコンバーター・ヘッドアンプをお借りする機会に恵まれました。
 このアンプは、ゴルフ13さんの製作された反発磁気回路カートリッジとベストマッチとなるものです。
 次の方へお貸しするまで間、しばらく試聴してよろしいとのお言葉に甘えて、2ヶ月近くも試聴させて頂きました。


アンプの構成

 内部を見ますと、130mm×90mm×30mmの小さな個体の中心部にオペアンプ(LME49710)が2個組み込まれ、左右に電源回路、前後に入力と出力端子と、大変合理的な配置になっています。
 電源は006Pの9V電池2個で動作する仕様です。
 電源スイッチは無く、電池からのコネクターの抜き差しでON・OFFします。

 上が入力側で、下が出力側
 上中央にアース端子、下中央に電源コネクター
 左が入力側で、右が出力側
 中央の赤いベークライトの中に2個のOPアンプが納まっている
 増幅回路のLME49710はベークライトに覆われて見えない
 帰還抵抗は100Ω
 熱的安定と振動対策のため、ベークライトをくり貫いてサンドイッチ構造にしてOPアンプが装着されている
 こちらは電源回路  出力端子と電源コネクター


 ゴルフ13さんのメモには、DCオフセット(出力ドリフト)がL側が0.18mv、R側が0.09mvとありました。
 シャントレギュレーター回路も組み込んであるそうですが、シャントレギュレーターに変更すると電池の消耗が激しいということです。


音の印象

 我が家には、ステレオタイプの反発磁気回路カートリッジが手元になく、モノラルの反発磁気回路カートリッジもリード線の断線で長期入院中のため、オルトフォンのMC10MK2をいつもの軽量型アームに装着して、試聴を開始しました。

 軽量型アームと回転シェルで試聴開始  メイン装置のイコライザーアンプに接続中
 電池の位置によってハムが発生することが判明した
 サブ装置で試聴中
 左はプリアンプ本体
 パイオニアSA−40(プリメイン)での試聴
 アース線と上蓋が無くてもOK


 メイン装置、サブ装置とも、切れ味が良く軽やかで繊細、しかも色彩感に優れた素晴らしい音に変わりました。
 音楽の微細な抑揚や余韻がよく聴き取れます。
 我が家の装置は、後方の奥行きや広がりを重視したSP配置ではありませんので厳密な比較ではありませんが、音場の広がりも向上しているように感じます。


 手持ちのMCトランスに戻しますと、全体的に重くなり、微細な表情が後退して平板になってしまいました。
 これらの違いは、古い録音のレコードで顕著に現れます。

 我が家のメイン装置とサブ装置のフォノイコライザー・アンプは、長谷川さんによるオリジナル・アンプですが、ハイゲイン回路のため、通常のヴォリューム位置ですとSN比が気になります。
 ヘッドアンプのアース端子は開放してもノイズの変化はありませんでした。


試聴を終えて

 ゴルフ13さん作のヘッドアンプは評判どおりの素晴らしさでした。
 このヘッドアンプの試聴中に、サブ装置の45シングル・パワーアンプの細かい不調を発見したり、P−610MBを装着して天井に吊るしていた平面バッフルの音に我慢がならなくなるなど、我が家の装置にも少なからぬ影響を与えています。
 また、最近購入した古いパイオニア製の真空管アンプでも試聴しましたが、このヘッドアンプとトランスとの違いを明確に示してくれたので驚きました。

 さて、この後、このヘッドアンプは海を渡ってイタリアへ行く予定です。
 

(09年7月)



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