ディスクフラッターによる音質改善


 輸入盤や中古レコードを買う場合、レコードの反りはつきものです。
 お椀状や波状の反りは、ターンテーブルにレコードを置くと、レコードの自重である程度修正されます。
 更にディスクスタビライザーで押さえつけますと、お椀状の底に置く時以外は大体納まります。

 私の場合、以前にはレコードをターンテーブル・シートから6点支持で浮かせていましたので、自重による修正効果がなく困っていました。
 また、ディスクスタビライザーを乗せた音も苦手なのです。


ディスクフラッター

 04年にORB社からアナログレコードの反り修正器「ディスクフラッターDF−01」(現在は「DF−01i」に変更されています)が発売されました。
 動作原理は温度管理をしながら、熱と圧力で反りを修正するものです。
 やや高価でしたが分割払いで購入。
 「修正による音質の変化は無い」というORB社の解説がありましたが・・・。

 04年11月のある日、反りを直したレコードを聴いていて音質が改善されているのに驚き、効果を発見しました。
 その後はディスクフラッターを音質改善器として認識し、愛聴盤から順に処理をしています。


こんな効果が

 パサパサ、カサカサとした耳障りな感じが減って、潤いのある音になります。
 低音が充実して重心が下がります。
 耳が疲れにくくなります。
 処理した直後は高音の抜けが少し悪いように感じるレコードもありますが、2〜3日すると改善されてきます。


下面しか効果なし?

 ディスクフラッターの熱源は上下両面にあるのですが、音質改善効果は何故かレコードの下面に顕著に現れます。
 レコード両面に効果を得たい場合は、裏返して同じ処理をする必要があります。
 冬場は熱処理時間が2時間+冷まし時間が2時間の合計4時間。
 両面を処理する場合は倍の8時間が必要です。


レコードによって効果に違いが

 効果の現れ方はレコード会社やレーベルによって違います。録音の傾向、録音時期などによっても現れ方が違うと思います。
 私の装置では60〜70年代の古いレコードの方が効果が現れやすいように感じます。
 また、ORB社の解説にもありますが、シェフィールド社のレコードには使用できませんので注意しましょう。


(05年5月)


 ディスクフラッター効果の要因については、その後も考察を続けています。

仮説1
 LPのプレス成型は高温高圧で行うが、LPが冷えていく際に周辺部と中心部では冷える速度が違うので、LP内部に応力が蓄積する。
 ディスクフラッターで熱を加えると、焼き鈍しに似た応力除去が行われる。
 この応力除去によってレコードの固有振動が変化し、音に変化が現れる。

仮説2
 「レコードはプレスされた直後は柔らかく、時間の経過によって徐々に硬化し、数年後には硬度が安定する」という考え方がある。
 硬度の安定したレコードをディスクフラッターの熱によって初期化すると仮定すれば、
 溝が柔らかくなる ⇒ 針がより深くレコード面にめり込む ⇒ 空振り感が減って音は穏やかな方向に変化

仮説3
 レコード内部にオイル性の潤滑成分が存在するという考え方がある。
 レコード表面の潤滑成分は経年により変質しているが、ディスクフラッターの熱によってレコード内部から新たな潤滑成分が滲みだす。
 この潤滑成分によって音に変化が現れる。


(11年12月)


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