メラミンフォームによるレコードクリーニング


 
 以前に本屋で立ち読みした雑誌で、オーディオ評論家江川三郎氏の小さい記事が眼に止まりました。
 レコードクリーニングにメラミンフォームを使うというものです。
 記事には詳しい手法の記載がありませんでしたが、自分なりに追試して工夫した結果を紹介します。

 一部には、この方法はレコード面がかなり傷むとの報告もありますが、上手に行えば傷みは僅かに抑えられます。
 世の中にレコードクリーニング方法は数々ありますが、音質改善効果があり、クリーニング効果も高く、しかも安価な大変良い手法だと思います。

 
しかしながら、レコードのオリジナリティを重視される方や、僅かな傷みを気にされる方のお気持ちも分かりますので、全ての皆さんにお勧めするつもりはありません。
 実施については、自己責任で判断されるようお願いします。


用意するもの

 


 ゴム製のターンテーブルシート
  下敷き用に使います。

 メラミンフォーム
  発泡メラミン、メラミンスポンジともいう。一時期、ドイツ生まれの 便利商品として盛んにPRされていたものです。
  どんな製品でもOKという訳ではありません。
  製品によってレコードへのダメージに大差があります。
  私のお勧め製品以外を使われる場合は、「レコード表面の傷」について覚悟をされてくださいね。

  → メラミンフォームあれこれ


 クイックドライタオル
  洗髪後の水分吸い取り用として販売されている吸水力に優れたタオル。2枚以上

 ハイテククロス

  超極細繊維で出来た布のことで、各種の商品が出回っています。
  薄手の眼鏡拭きなどもありますが、私は厚手の毛羽立ちの良い楽器手入れ用を適当な大きさにカットして使っています。

 白熱灯照明スタンド
  盤面の状態を確認しやすいように斜め横から照らします。
  写真のように傘の上にハイテククロスを乗せて暖め、水分を飛ばすのにも使います。


手順1:メラミンフォームを使いやすい大きさにカット

 4センチ四方の6〜7ミリ厚程度が使いやすい。

手順2:水又はぬるま湯をたっぷり含ませる

 私の住む町の水道水はわりときれいなので、水道水を使用。たっぷり含ませます。
 店舗では業務用の大型浄水器を通した水道水を使っています。

手順3:汚れ落とし

 メラミンフォームから水が散らない程度の軽い圧力で、レコード表面をゆっくりと擦ってゆく。
 メラミンフォームの表裏を有効に使ってください。
 汚れたらケチらずに、新しいものと交換しましょう。

 レコード面に水分が乗りますと、汚れのある部分が浮き彫りになります。
 指紋の痕などが明確に現れますが、ここは我慢のしどころ。
 痕を取ろうとして力を入れて執拗に擦ってしまうと、レコード表面に擦り傷が残ります。注意しましょう。

汚れ落とし作業 左がきれいなメラミンフォーム、右が汚れたレコードを拭いたメラミンフォーム

 
手順4:拭き取り

 ある程度ていねいに擦ったら、水分をクイックドライタオルで拭き取っていく。
 特に汚れのひどいレコードについては、レコード表面の水分の散らばり具合、メラミンフォームの汚れ具合、タオルの汚れ具合等で判断しながら、手順3、4の工程を繰り返します。
 タオルでの拭き取りは、タオルをこまめにたたみ直しながら、常にきれいな面を使ってください。

 レコード表面で気になる汚れの部分の対応は、メラミンフォームで行わずに、この拭き取り作業の時に圧力をかけながら行います。

 
手順5:仕上げ

 汚れが取れてきたのが確認できたら、新しいメラミンフォームで手順3を行った後に、きれいなクイックドライタオルを使って水分を軽く吸い取り、若干水分が残っている状態のレコード面を、熱で暖めたハイテククロスで完全に水分を拭き取ります。
 レコード面に少し水分が残っている方が余分な静電気の発生を防ぎますし、暖めたハイテククロスは水分の拭き残しを防ぎます。

ハイテククロスでの拭き取り

 ハイテククロスやタオルでの拭き取りは、力を入れてていねいに行います。
 実はこの拭き取り作業が音質改善効果に大きく影響しているように思えてなりません。

 仕上げ後、すぐにレコード再生しても大丈夫です。我が家のシステムでは針先に妙な付着物は付きません。
 暖めたハイテククロスを使わない方は、レコードをよく乾燥させてから再生した方がよいでしょう。
 1回目の再生では少し「プチッ」「パチッ」というノイズが残りますが、2回目の再生からはノイズかなり減ります。


○こんな効果が

 プチパチノイズが減少する。(物理的な傷によるノイズの低減には効果はありません)
 音の抜けが良くなる。
 繰り返しレコードを再生しても針へのゴミ付着がほとんど無くなる。


○新品レコードの音質向上

 レコード表面を磨くと音が良くなることは、かなり以前から江川三郎氏が主張しておられ、湿らせた「おしぼり」による磨き作業を推奨しておられました。
 私も「おしぼり」の効果を確認していましたが、大変根気が必要な作業です。
 メラミンフォームを使うと、汗をかくような磨き作業が、いとも簡単に済んでしまいます。

 さて、江川氏は「レコード表面に含まれる帯電防止剤、離型剤を取り除くと音質向上する」と解説されていました。
 当然、新品レコードも磨くと音質が向上します。
 クリーニングに使ったメラミンフォームから水分を搾る時には、オイル成分の手触りがします。


○擦り傷について

 上手に磨いても、細かい擦り傷がどうしても付きます。
 そんなに目立ちませんが、内周の無音部分に少し見えます。
 サーフェイス・ノイズは発生しません。音楽情報へは影響無しと考えます。
 でもこれは我が家の装置での感覚ですので、心配な方は各自で確認してください。

クリーニング前 クリーニング後


○クリーニング雑感

 最近購入するLPは中古LPばかりです。
 丁寧に管理されていたLP、傷だらけのLP、カビがこびり付いているLP。
 レコード用スプレーが大量に使われていたり、タバコのヤニが目立ったり、細かい砂埃にまみれていたり・・・。
 界面活性剤による処理がしてあるLPもあります。

 レコード表面に水分を乗せると、多くの情報を得ることができます。
 水の様子で一枚一枚のLPがどのような経過を辿ってきたのか、ある程度の察しがつきます。

 クリーニングを行う際には、一枚一枚の状態を確認して加減をしながら作業を行います。
 LPジャケットの汚れも拭き取って、中袋も新品を使います。
 こうした手間をかけることによって、他人の手を経てきた中古LPが、ようやく自分の持ち物になるような気がしています。
 こんな感覚は、手軽なクリーニングマシンでは味わえないのかもしれませんね。


(05年5月)


擦り傷対策について

 なるべく擦り傷を少なくするには、メラミンフォームの選別をしっかり行うことが第一です。
 必ずお勧めの製品をお使いください。
 百円ショップで手に入るようなメラミンフォームを安易に使うのは止めましょう。
 どうしても擦り傷が気になる方は、次の方法も試してみてください。
 
その1

 手順5の「仕上げ」に使ったメラミンフォームをよく水洗いしてから保存しておき、次回のクリーニングの際に手順3の「汚れ落とし」に再利用します。
 使用済みのメラミンフォームは新品よりもレコードへの当りが柔らかく、擦り傷が少ないように思います。
 
その2

 手順5の「仕上げ」をメラミンフォームではなく、固く絞った布きん等で行うと更に擦り傷への不安が減ります。

布きんは木綿のものが良い 力を入れて擦ります


(12年4月)


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