★日本海新聞18年1月15日掲載「プレイス・イン・ザ・ハート」 紹介文


 段階の世代の人たちが定年を迎えるという。ちなみに私は「新人類」と呼ばれた世代で子供のころ、羨望(せんぼう)のまなざしで彼らをみつめていた。
学生運動、アングラ、歌声喫茶、ビートルズ、フォークゲリラ、グループサウンズ、長髪のヒッピー、ラブ&ピース…。 何だか楽しそうだった。ベトナム戦争や、ハイジャックで北朝鮮へ行ったり、山荘で籠城(ろうじょう)したりという暗い出来事もあったが、良くも悪くも常に時代をリードしていたことは確かだ。
 さて、映画である。団塊の世代の映画といえば、フランスのヌーベルバーグであろう。 ゴダールに代表される斬新な映像表現。そして、なんといってもアメリカンニューシネマ。『俺たちに明日はない』『イージー・ライダー』『明日に向かって撃て』。 今回、作品を決めるにあたってクラブ内でアンケートをとった。題して「今。よみがえるアメリカンニューシネマの名作」。 そして、『プレイス・イン・ザ・ハート』が選ばれた。この作品は隠れた名作である。内容を紹介しよう。
 大恐慌時代のテキサス。夫を殺されたエドナは、農場の経営を余儀なくされる。彼女に残されたものは、二人の子ども、盲目の青年。 そして、膨大な借金。自然の猛威、不況、飢饉(ききん)が容赦なく彼女を襲う。彼女は「良心」を武器に、ひたむきに闘う。激動の時代を生き抜いた、一人の女のヒューマンな物語。  主演は「ノーマ・レイ」でオスカーを受賞した、サリー・フィールド。監督は『クレイマー・クレイマー』の名匠、ロバート・ベントン。 現代社会を見渡しても、人の命より利益を優先させたマンションが建てられ、子どもたちが殺されるという悲惨なニュースが続いている。 「良心」はどこにいってしまったのだろうと、ふと思う。この映画はそんな現代を生きている人たちの心に「良心」を吹き込むことだろう。
 シネマクラブは団塊の世代の人たちに見てもらいたく、この映画の企画をした。 そして二十代、三十代の団塊ジュニアといわれる人たちにもぜひ見ていただきたい。 父母が青春を共にした映画を。最後に団塊の世代の人たちに一言添えたい。「もうひと花咲かせてよ」、と。

(米子シネマクラブ 添谷泰一) 



感 想 集

★映画なんて見たことがなかったが、久しぶりにいい映画を見せていただき有難うございました。やらせの美談物語が多い中、シンプルな物語で素直に感動できました。又いいものをみせて下さい。(中村栄嗣郎)

★アメリカの良心をみた思いだ。最後のシーンは印象的でした。せちがらい世相に特に貴重な映画だ。(米子市 50歳代)

★静かでやさしい画面の中に深い人種差別、貧困が厳しくひそむ。親子愛、人類愛に心うたれた。(米子市 65歳)

★年の始めの大ヒットです。感動しました。淡々とした映画のはこびですが、決して希望を失わない強さがあり、私はみならうべきものがあり、とても良い映画でした。

★ラストシーンがよかった。すがすがしい気持ちになれた。(米子市 75歳)

★途中から入りましたが、最初のほうは少し期待はずれかなと思いました。でも、主人公の女性がだんだん強くなって、最後に綿花の摘み取りを自分で決めるあたりから、とてもおもしろくなって最後はすごくよかったなぁと思いました。(米子市 32歳)

★正直、期待していなかったので、思った以上に感動しました。主人公が強く変わっていく過程が自然に描かれていて良かった。(米子市 30代)

★全体に心地よい緊張感がただよっていて素晴らしかった。自然の音が印象的にとり入れられていたのがよかった。

★今夜は聖書を読みたい気持ちになりました。(60代)

★「ああ 無情」「風と共に去りぬ」と似た所もありましたが、りんとして強い女性がえがかれていました。まわりの人もよい方がおられてよかったです。(米子市)

★普通の、夫を亡くして“けなげにがんばって生きる“という様なテーマの映画だと思っていましたが、現代(昭和30〜40年代)の日本の社会にも通じる色々なストーリーがもりこまれていて楽しく、かなしく、考えさせられる映画でした。(塚田謙介)

★この映画、2回目です。「とてもよい」のは知っていましたが、やはり「とてもよい」。記憶の結晶作用とでも云うんでしょうか。美しき哉人生。(井山宣和)

★平凡なようで、今失われつつある女性の強さ、優しさの本物を観させて頂いたと思う。(60代)

★人の愛によって人を目覚めさせる事のすごさ、本当にそうだと思います。人としての愛を人間である以上持てる様、日々考えておきたく思います。(日吉津 女 62歳)

★映画の冒頭ほど大切で、意味のあるものはないと思った。まるで現代の急展開な作品を観ているようでした(特に冒頭の銃殺)。また、宗教観、道徳観、差別、偏見などが、見事に織り交ぜられており、かえって新鮮な映画でした。(田村悟朗)

★男たちの戦争、女たちの平和、又は古き良きアメリカ。またはバカでアホなアメリカ人のお話。(宇田川靖)

★何十年前の映画だったでしょうか、ところどころテレビなどでみた記憶があります(タツマキのシーンetc)。エド・ハリス、サリー・フィールド、そして盲人役の人(名前を忘れた)とても若かったですね。黒人差別のところも出ている中、サリー・フィールドが黒人を勇気づける(ほめているところ)が感動的でした。人権を尊重する映画でしたね。(米子市 56歳)

★役の人、よい人たちが多くてよかったです。

★とてもよかった。ありがとうございました。

★いい映画でした。古くてもこういう映画が観られたらシネマクラブはやっていける。新作だけじゃなくても全然OKだ。サリー・フィールドは最高だった。

★物語らしい盛り上がりにわくわくしました。ちょっと無鉄砲な未亡人がいて他の方たちがいて、いろんな人たちがいるから生きていけるんだなあと思いました。(米子市 34歳)

★サリー・フィールド、エド・ハリス、ジョン・マルコヴィッチ、なつかしい顔が出ていて嬉しかった。昔のアメリカの農業の様子がよく分かった。トルネードの破壊力にはビックリ。又40エーカーの綿花畑には、本当に広大だなあと感心しました。ある意味古き良き時代のアメリカを感じました(黒人差別は別ですが)。(MI)

★アメリカらしい映画でした。人のよい人達があれだけ揃っていると、一番が取れるんですよね、音楽がとてもなつかしく聴けました。

★叙情的な良い映画でした。サリー・フィールドがけなげでかわいかった。「天は自ら助くる者を助く」ですね。(伯耆町 46歳)

★その地方の気候の変り方とか、とても良かった。(米子市 77歳)

★テキサス州で、父が死に、母、息子、長女の3人暮らし。竜巻もすんで、綿花とりをはじめ、黒人、白人との5人になったという話。おみごとでした。(坂本義文 65歳)

★“他者への敬意”というものによって救われるというところが、心に響く話であった。ただそれが「神への畏敬の」と結びついているところが、我々日本人には少し分かりにくいかも…。(坪倉 岳)

★淡々とした映画であったが、何故か泣けた。キュートな主人公がしだいにたくましく変貌する様を好もしく思えた。全く異なる他人どうしが、強い信頼とコミュニケーションを形成していく様がごく自然に運ばれていた。(女性)

★種を買うシーンで「見たことがある」と思った。子供の頃なので、うろおぼえですが…。でも、今改めてみると思ったより内容は深くてびっくりしました。

★いつか、どこかで見たフイルムでした。しかし、忘れていて二度見るのもよい。

★あらためて、家族愛を考えさせられた映画でした。心あえあわれる気がしました。(米子市 51歳)

★1935年当時のアメリカの時代の様子がうかがえた。貧しくても、黒人の浮浪者や盲目の青年と心を通わせあい助けあっていく経過がほのぼのとしたものを感じました。KKKの恐怖、竜巻のものすごさもあったけど、綿花が高く売れたけれども、モーゼスがいなくなってからがどんなになっていくのか続きが知りたいです。

★南部の一見のどかな暮らしがえがかれていたが、実はきびしい面があるんだなと思った。最後、KKK団におそわれてやめていく人が残念に思った。(米子市 40歳)

★1回では良く判らない映画です。かんたんなようで、ふかいとか?(いとうひでみ)


      
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