前に見た映画を、時を経て再び見たら印象が変わったという経験をよくする。この文章を読まれている皆さんも経験があるかと思う。 映画に限らず、小説、音楽、子どものころに遊んだ川や野山、そして故郷でさえも。映画『スタンド・バイ・ミー』の中で、少年たちが冒険をし、町に帰ると、「町が小さく見えた」というセリフがあった。なぜか?少年たちは、その冒険で成長したからだ。 そう、映画は不変であるのに対し、私たちは時の流れとともに成長する。前例会の『プレイス・イン・ザ・ハート』は、一人の女性の人生を描くすてきな映画だった。 感想を語る会の時、若い男性会員が「以前はこんな映画は受け入れなかったが、今は受け入れられる」と語った。私は思う、それは君が成長したからだよ、と。 さて、『ひまわり』。舞台は第二次大戦中のイタリア。結婚してすぐにソ連戦線へ召集される夫。戦地から妻へ夫が行方不明になったと通知が届く。 それでも、けなげに夫の帰りを待つ妻。戦争が終わり、妻は夫を探しにソ連へと赴く。 そこで彼女が見たものは、美しいソビエト人の妻と子どもを持つ、かっての自分の夫であった!。 妻役にソフィア・ローレン。夫にマルチェロ・マストロヤンニ。監督はイタリアの名匠ビットリオ・デシーカ。 ヘンリー・マンシーニの主題曲が、美しいウクライナの大地と重なり合う。制作されたのは今から三十年前。映画雑誌のオールタイムベストテンでは、必ず上位にランクキングされ『ローマの休日』と並び称される恋愛映画の傑作だ。 観賞された方も多いかと思う。クラブの中でも、ほとんどの会員が観賞していた。私も観た。しかし、テレビで見たという人がほとんどで、『ひまわり』をスクリーンで見たという人は少ない。 映画は、どうしようもない人間の性(さが)や業を描くもので、テレビの小さい画面では表現し得ないものがある。 また、この映画のように地平線にまで広がるヒマワリ、ヒマワリ、ヒマワリ!。この映像は到底テレビでは収まらない。 映画は劇場の暗闇の中、スクリーンで見てこそ、映画たりうるのだ。 戦後六十年が経過し、戦争が風化して価値観が大きく変わってしまった現代。この米子という地で、戦争に傷つきながらも永遠の愛を描いた『ひまわり』を、三十年ぶりにスクリーンによみがえらせる意味は大きい。 二十代、リアルタイムで見た人は五十代に、三十代で見た人は六十になっているはずだ。 テレビで観賞された方も、経験を重ねられ、それからの人生をしっかり生きてこられたと思う。 この映画を観賞することで、自分の成長の軌跡を感じてほしい。 そしてと問うてほしい。変わってしまったもの、変らないものとは一体何かと。 (米子シネマクラブ 添谷泰一) ★映画「ひまわり」が教えていること:国防論議において「平和ボケ」などということばを弄する者がいる。多少でも戦争の惨事を知るものとしては実に腹立たしい。国防力充実を否定するものではないが、平和の尊さを大切にしたい(OK 68歳) ★21世紀を生きる私達に大切なメッセージをもたらせてくれる不朽の名作。戦争背景の作品が数ある中、非戦(否戦)に対してこれほど強い感情を抱くのは、「ひまわり」のテーマの中の戦争によって引き裂かれた男女の悲恋が観る側に強く訴えかけるからと同時に、恒久的平和を望むには、やはり武力による国際貢献ではなく平和協力だ。守れ憲法9条。憲法9条が改悪されればいつでも戦争GOになることを、せめて今日「ひまわり」を観た人は考えて欲しい。ゆくゆくは徴兵制度で大切な息子が連れて行かれないことを願いつつ、マルチェロ・マストロヤンニが名作に残してくれたことに感謝したい。(井上ばなな) ★戦争の悲惨さ。憲法9条を大切に守ろうと改めて感じた。(ピースピーマン) ★戦争が引き裂いた愛の映画。何十年ぶりに観ました。昔の思いでは何と言ってもあの名曲とひまわりの映像。ロシアに会いに行って家族が出来たことを知った。ロシアの妻とところの切なさを思い出しました。その後あっという別れだったのを、今回の映画で再感激しました。(米子市 56歳) ★「ひまわり」をゆっくり見たのは初めてです。激しい戦闘シーンは無くとも戦争のむごさは十分伝わりました。ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリーエワの若さが際立っていました。 ★何回か観ているのに最初の明るい場面の記憶が飛んでいるのです。それだけ2人の心の場面が印象に強いという事なのでしょう。それにしても切ないです。(眠り姫) ★戦争は愛する者達を引き裂く。二人の心の葛藤がなんともいえない。 ★切ない映画でした。でも感動しました。こんな感動する映画をまた見たいです。(月) ★若い時に観ましたが、今回観て以前とは違う印象でした。やっぱり素敵な映画でした。あぁ…切ない……。 ★何回見ても涙が止まりません。20歳で未亡人となった母を想い、改めて戦争の悲惨さを感じました。 ★当時この「ひまわり」の映画をみた時には唯ひまわりの花が一面咲いていてソフィア・ローレンが美しかったと思いました。この度見て、大人の感情、年月を経ても、やはり元のように恋しても、今の生活を捨てる事の出来ないやるせなさ……。(ひまわりの花大好き) ★どうして今頃この作品なの?とは思いましたが、昔観た時の印象がいかにあやふやというか、片寄った見方しかしてなかったなあ……と感じました。戦争反対を改めて心に刻めたと思う。今も昔もあの広大なひまわりの畑は圧巻でした。(M.I.) ★30年以上も前の映画、何度観てもすばらしい感動! ありがとうございました。監督、音楽、俳優、すべてすばらしい。何度も何度もみたい映画のひとつです。 ★何度も観た映画ですが、とてもよかったです。 ★誰も悪い人はいない。ただ戦争が悪い。日本も改憲とあやしい風向きだが、改憲は絶対阻止しなくてはならないとこの映画を見てつくづく思いました。 ★37,8年前の映画だったけど、イタリア軍、ロシア軍などよりも「悲しい恋愛と」と「ひまわり」の残像が良かった。 ★ずいぶん昔、若い時に観たきりでしたが、多くの部分が記憶から消えていました。大きなオムレツは特に記憶にあり、ロシアでの洗濯物を干している、列車での別れなどなどその点々が今回つながりました。(女性) ★4回目です。何度観ても感動します。別れのシーンがロシアとミラノ、どちらも泣けてきます。 ★テーマ曲は良く知っていて、ずっと観たいと思っていた映画でした。最初にビデオでなくスクリーンで観られて良かったです。10年前だったら、そこまで登場人物の気持ちが理解できなかったかもしれないと思う。(米子市 32歳) ★愛を失うことは、時には死ぬことより辛い。余儀ない事情により愛を全うできない二人の哀しみが切ないほど伝わってきた。ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリーエワの迫真の演技に感服。(ふみえ 58歳) ★ラブストーリーとかメロドラマというより、戦争の悲惨さを別のかたちで伝える反戦映画という感じがしました。全編を通して音楽が非常に印象に残りました。(田中英治) ★イタリアなのに英語ってのはネー ★なつかしいシネマで感動が再び!(米子 55歳) ★映画をみたなあ、というかんじがしました。ロシアの風景の美しさ、テーマ曲、どれも美しいその世界にひたれました。(米子市 34歳 女) ★たしか3回目だと思うのですが、見る度に感動する。場面が違っているのが面白いですね。(米子市 30代) ★何回目かの「ひまわり」でした。71歳になるソフィア・ローレンは大女優だ。戦争の悲劇をロマンで示した映画だ。(米子市 50代) ★高校生のとき以来、30年ぶりに見て感動しました。(大林伸子) ★二度目の観賞でした。自然にみましたが、また異なるよい味わいをさせていただきました。 ★「シェルブールの雨傘」が好きですが、あれに匹敵する美しい作品だと思いました。 ★生きにくい世の中と思って日々すごすことが多くなってきましたが、美味しいものを食べ、主人の隣で一緒に映画を観ることに幸せを感じました。(米子市 主婦 29歳) ★兵士の雪中行軍の上に、夏のひまわりが咲き競っている姿が重なり、人間の愚かな業と自然の美しさが対比されて象徴的だった。戦後すぐの伊・露両国の社会が明暗差で描かれ、そこに交錯する愛と運命が複雑に絡まり、悲哀に満ちていた。 ★「とてもよかった」と評価すべきところですが……こうした悲惨な戦争による悲劇は決して珍しいことではなく、その形態は違っても、ことに敗戦国にあってはむごいものである。改めて戦争の罪の重さを教えられた気持ちです。自らの意思ではどうにもならない時代背景と大戦によってもたらされた惨劇を知らない世代の多くの人に是非観てほしかった。人の心の痛みを思いやることさえできず「子が親を」、「親が子を」殺傷するような時代にあって家族の絆とは如何にあるべきか考えたいものです。(米子市 男 69歳) ★アントニオが再度会いに行かずに、別の展開に話を持っていった方が良かったのではないだろうか。40年前ではこういうラストの展開が受けたのですね。(米子市 62歳) ★主役の二人が良かった。戦争に翻弄されることは、むごいことだと思う。(米子市 40歳) ★今回、私の映画史上2つの新しい出来事があった。@時間があっという間にすぎた。いつ後半になるのかなーと思っていると終わってしまった。Aあれほど涙もろい私が、全く泣けない。全く感動しない。全く不思議。B字幕が最初にあり、ラストの字幕の少ないのがよい。(いとうひでみ) |