★日本海新聞19年1月11日掲載「ホテル・ルワンダ」紹介文

男の行動が1200人もの命を救う

  ルワンダと聞いて、どれほどの人が地図上でその位置を思い浮かべることができるだろうか。
首都は? 言葉は? 日本にいると遠く感じる国かもしれない。
  アフリカ中部、コンゴとタンザニアに挟まれた国ルワンダ。十五世紀に遊牧民のツチ族が先住民であるフツ族を支配し、王国を建設したともいわれているが、フツ族・ツチ族がどのように分けられたか起源は不明である。
ルワンダは、十九世紀末にはドイツの植民地の一部となり、第一次世界大戦後のベルギーによる統治を経て一九六二年に独立を果たした。
  かつてはさまざまな民族が共存していた地域であったが、ベルギー支配のもとですべてのルワンダ人を容姿によってフツ族・ツチ族・トゥワ族に分類する。ヨーロッパ人に容姿が近いといわれていたツチ族が、ベルギーに優遇された。
それぞれにIDカードが発行され、独立後もルワンダでは見た目にもほとんど違いのない人々が対立を続けてきた。
  一九九四年、多数派フツ族が少数派ツチ族を大量虐殺するという事件が起こる。この作品の主人公は、ホテルの支配人であるツチ族のポール。虐殺が続く中、外国人は退去、国連も救援できず、手の施しようのない状況の中、ポールはホテルに助けを求めて集まった人々をかくまう。
彼の行動が、後に約千二百人ものツチ族の命を救うことになる。
  ニュースで知ることのできない現実。決して心躍るストーリーではなく、むしろ目を背けたくなるような人間の醜さ、ずるさがつきつけられる。
見捨てられる途上国。もし、植民地支配がなかったら、国際社会の無関心がなかったら、と思わずにはいられない。
  この作品は、国内配給会社の買い手がなかなか見つからず、当初は日本での上映が危ぶまれていたが、二〇〇六年一月に日本で公開された。
これも、遠い国ルワンダだからか。作品では、虐殺事件に直面しているルワンダの人々と、他国の温度差が冷酷に描かれている。
エンドロールに流れる曲の歌詞まで、じっくりと味わっていただきたい。

(米子シネマクラブ会員 小林真紀子) 



感 想 集

★50回例会にふさわしい作品でした。遠いアフリカの事で、私には関係ない事と思っていた。映像は現実を超えられない。とても現実を描ききることは不可能でしょうが、これを事実という事をもっと重く受け止め、考えてみたい。(59歳 女)

★見ていて、ハラハラ、ドキドキの連続でした。人は人種と時代を選んで産まれてくることはできないのに、何故、民族や宗教の違いで殺し合わなければならないのか。永遠にこういう殺し合いは無くならないのだと思うと、悲しくなりました。でもエンディングに希望が持てたのが、良かったです。(米子市 48歳 女)

★とても感動しました。途中外国人のみ救出されるときの子供の悲しそうな歌声のシーン、ラスト、フツ族達も救出されるシーンのタマシイがうったえるような歌声も印象に残った。見終わって今のルワンダがどうなっているか大変気になった。(米子市 伊沢 純)

★観終わってから、どーと涙が出て来ました。平和を守り続けたいものです。今、頭がいっぱいです。(54歳)

★1994年にルワンダで現実に起こったこと。この映像にして、ニュースと違う真実に近いことを知ったこと。世界と人間と戦争とにくしみと解決する気持ちと、たくさんのことを考え、生かしていかねばならない。(51歳代)

★平和な日本にいると、ルワンダで起こった虐殺が信じられないのですが、現実は映画以上にひどいのではないかと想像します。無力ですが、多くの人がこの映画を見て国際的に戦争を抑止するシステムができればいいなと思いますし、その手助けができればいいなと思います。(松江市 32歳)

★黒人(男性)と黒人(女性)の物語。白人(男性)と白人(女性)が愛情を持ちながらの感情は良かった。(坂本義文 66歳)

★久しぶりに本格的社会派映画を観られて良かった。とても期待していたので、期待を裏切らない内容でした。“人間は何故人を殺すのでしょうか”永遠のテーマじゃないかと思います。エンディングの曲もとても良かったです。(M.I.)

★どんなに文明が発展しても戦いはなくならないのですね。愚かなことだと思う反面、現場に居合わせて、果たしてポールのように行動できるか自信はありません。(T.O)

★残酷すぎた。(米子市)

★とても重いテーマ。つくられた…… 誰?……部族差別の中、悲劇。でもこんなことは日本にもあるのでは。格差社会は、ひょっとしたら、こんなことを生み出して行くのでは………

★ニュースしか分からない事で、映画で見る事ができて良かった。(境港市 61歳)

★人間が集団で理性を失い、動き出し、勢いを増してきたら恐ろしい。ニュースでルワンダのことは、大虐殺が行われていたことは知っていたが、映像で見せられると、少しは真実の一部を理解できた。このようなことはどこの国であれ、おこってはならない。日本も過去に似たような歴史を経験したはず。十分心していけていかなければならない。(66歳)

★三つ星ホテルの誇り、品格を保とうと困難に毅然と戦った姿が印象的だった。混乱の中で家族を守り得たのは奇跡と言えようが、高官にワイロを贈れる金があったのも幸運だったと思う。彼の公平な人柄が多くの人に受け入れられていた事も大きな要因ではないか。(56歳)

★第50回にふさわしい例会だった。人間の尊さを痛いほど感じた。

★「ホテル・ルワンダ」スバらしかったです。日本で受ける情報はホンの一部で、知らない事が多いんだなーと思いました。バグダッドもルワンダみたいな内戦にならないことを望みます。(境港市 60歳)

★これまで観た映画で一番感動しました。ルワンダ内戦のことが少しでも分かってよかった。(米子市 57歳)

★良い映画だった。ルワンダの内戦のことはある程度知っていました。その中で、個々人、家族のこととして、あのようなことが起こっていたことを改めて知りました。映画の中の支配人のような自分を犠牲にできる人道的な行動が私にできるかどうか?後ろめたい気持ちも伴う。(米子市 58歳)

★フィクションではない、このすさまじい現実。白人が車で出発するあたりからもう涙がにじみ出た。この言葉にならない世界で必死で家族を守るポールの姿、その他、死んでも行った人たちの姿に涙なしでは見られない。今、ルワンダは落ち着いた国となっているか、古い時代から歴史の重さもつらい。日本はいい国だと深く感謝しなければいけない。(竹内すみ)

★とても感動的と(言う表現がふさわしいのか?)だった。ツチとかフツとかわけの分からない国だ、と思い、ニュースも軽く聞いていたが、同じ人間で、平和ボケしてしまった今の日本と日本人に対し、これでよいのか、と思った。1つの民族を、ツチとフツに分けた。権力の責任はどうなるのか。(井田容子)

★すごい映画でした。ずっと見たいと思っていた映画でした。上映して下さってありがとうございます。(米子市 58歳)

★涙がとまらず観た。戦いのない日が一日も早くおとずれるようにと祈るばかりです。平和な日本ありがとう。毎日が感謝、感謝です。良かったです。(米子市 60歳)

★今になお、世界の何処かで血生臭い痛ましい紛争が続いているが、その犠牲にさせられているのは、女、子供をはじめとする民族の弱者であることに、昔も今も変わりはないだけに胸をえぐられるような気持ちにさえなる。“人民の人民による民主政治”などは程遠く、人種差別問題が如何に根深いもので、しかも貧富の格差は人間の尊厳をも踏みにじる迄の酷いものであると同時に決して目を背けてはならない問題でもあることを訴えているように思えてならない。(米子市 40歳 男性)

★映画を観て自らの卑小な心性を恥じいった。私はとてもあのような高貴な行動は取れない。この映画をいまだ民族間、宗派間そしてイデオロギーを巡った抗争を繰り返している全ての指導者に観て欲しい。平和で安穏な生活に埋没し、世の動きに鈍感になっている世界の人にも。あまたの作品の中からこのような秀品を掘り出したシネマクラブの幹事の皆様に心から敬意を表したい。

★とても重たい内容でしたが、世界にまだまだ戦いがあることが分かりました。21世紀は戦いがなくなるのか……。心配です。

★観たのは2度目ですが、楽しめました。また、良質の作品が今後も見られることを期待しています。

★たしかに良かった。ずるずると引き込む感じ久々である。Butラストが気にいらぬ。あの姪たちとの出会いが何故か気にいらぬ。(いとうひでみ)

★とても見るにたえない場面がおおい。民族間の争いとはこういうものなのか。

★何の前触れもなく(飛行機事故がきっかけとはいえ)紛争が起きた。100日間で100万の命が失われた。人類の歴史では珍しく無い事ではあるが、人は人を信じることができないのか、判り合う事はできないのか。国家間の問題解決に武力を用いない日本は特異なのか?考えさせられる事が多い作品でした。(宇田川靖)

★“「まあ、ひどい」といってディナーのテーブルにもどる”というセリフがとても心にひびきます。

★単なる歴史映画ではなく、平和を訴える作品だと感じました。非常に重たい内容でしたが、最後が悲惨な終わり方でなくて救われた感じです。署名運動によって配給が決まったとの事。配給会社に自分達の利益だけを考えないで、もっとどんどんいい作品を取り扱って欲しいです。(田中英治)

★いつもいい映画をありがとうございます。(M.I.57歳)

★民族間の争いが引き起こした悲劇……勇気を出して守り、救ったポール。今の世界にもつづく大きな問題と思った。重い課題を私達に与えられた話を考えながら見ました。大きな衝撃を受けました。(米子市 68歳)

★実際のルワンダの事件が起きた時のことを思い出した。テレビのニュースで流れた衝撃的な映像がその後、全く報道されなくなり、メディアの役割力というのは恐ろしいものだと思いました。何十万という人が虐殺されたというルワンダの報道の直後にジャクリーヌ・オナシスの訃報を伝える報道で、全てのメディアがルワンダの情報を流さなくなってしまったのです。今、この瞬間にも私たちの知らないところで何がおこっているのか、常に敏感でありたいと思う映画でした。

★100万人もの多くの人々の生命が犠牲になっていたなんて知らなかった。(米子市 41歳)

★(アンケート用紙に)○がつけられない気持ちです。いいようのないという気持ちになるのです。最後のルワンダの歌の子供の声を聞くと涙が出てしまうのです。






      
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