★日本海新聞2007年3月掲載 「大いなる休暇」紹介文

心和み、大いに笑って

  見終わった後に、こんなにもすがすがしく、幸せな気持ちにさせてくれた作品は、久々である。
  カナダ、ケベック州の小さな島、サントマリ・ラモデルヌ島(実際には存在しない島)。壊れかけた漁船や小屋が冒頭に映し出される。
かつて漁業で活気あふれていた島も、今は仕事場もなく学校もない、そして医師もいない。島民は失業保険を頼りにする生活を余儀なくされていた。
  そこへ工場誘致の話が持ち上がった。また、島に活気が戻ってくると喜んだのもつかの間、それには一つの条件があった。
島に定住する医師が必要なこと。ここからストーリーが展開していく。ある時、一カ月の約束で一人の青年医師がやって来ることになった。
そこで島民は一致団結して、あの手この手で医師の定住作戦に乗り出すのだ。
  高齢化や失業、医師不足など日本でも社会問題になっているが、そんな深刻なテーマをこの映画は実にユーモラスに描いている。
監督はジャン=フランソワ・プリオ。初の長編映画作品である。脚本家のケン・スコットは数多くのコメディーを手掛けているという。
そして、この映画の偽医師役で登場している。
  そんな彼らが描くユーモアとは…。一見平和で穏やかな島の風景、失業という問題を抱えながらも、島のみんなの幸せのためにと大芝居を打つ彼らのいちずさがけなげで、それがまた、実に面白い。
ブラックユーモアでもなく、かといってドタバタ喜劇でもない。さりげなく描かれたユーモアが、この映画の大きな魅力となっている。
「クスッ」「プー」「ア、ハハハ」と思わず噴き出してしまうせりふが随所に登場する。そして、笑わせておいて、じわーっとさせる。
  しかし、彼らはこの問題を決して安易にとらえ、笑わせようと思っているのではない。実にまじめに、生きる希望を持ち続け、島の再起のために立ち上がる人々の姿がある。
この映画の本質は、そこにあることを忘れてはならない。
  ぜひこの映画を見てほしい。なぜか心和み、癒される。見る時はハンカチをお忘れなく、必要になるかもしれません(笑いすぎ、じわーっと)。
本国カナダではアカデミー賞(外国映画賞受賞)『みなさんさようなら』を抑え、堂々ナンバーワンヒットを記録した。二〇〇四年サンダンス映画祭観客賞受賞『大いなる休暇』を「大いに笑って」ください。

(米子シネマクラブ会員 新田敦子) 



感 想 集

★とてもいい映画だった。町長が嘘をついていることを罪悪感で正直にいったことが、いい結果になった。要は何も飾ることなくそのままをいえば、人間と人間は通じ合うということか‥‥。ほのぼのとしてホントに良い映画でした。(米子市 58歳)

★うーん、又々本日もステキな映画ありがとうございました。内容はシンプルですが、バンドネオンのステキな音色や風景、エスプリのきいた会話、豊かな表情、どれもこれも書き足りないほどの大々満足。メルシー!(米子市 57歳)

★久々に映画らしい映画を見たような気がします。入会したてですが、今後がとても楽しみです。(田島)

★とても楽しい映画でした。(米子市 S.M.65歳)

★やっぱり真実ですネ。(米子市 60歳)

★隠岐の島の産婦人科医の不足とか、少子化問題など、いろんな事を連想させられた。島の人々の涙ぐましい努力。笑いとペーソス。とてもステキな映画でした。(境港のおばちゃん)

★カナダ(フランス語圏)でも日本のように生活困窮者があのように多数いるのでしょうか?疑問!でも映画はほんとうに楽しかった。マシンて何?(ハナコ M)

★がんばってつくっているのは判るが少々うそっぽさが見える。残念。(いとうみでみ)

★できすぎだとは思うけど、そんなことがあってもいいのかなと思った。

★まじめに、一生懸命のウソ?‥‥ハラハラしながら観ました。でも、ハッピーエンドでホッとしました。(米子市 68歳)

★島の人達の涙ぐましい努力が笑わせてくれたし、ホロリともさせられてしまいました。生活保護から何とか抜け出したいという町長の熱い思いが伝わってきた。最後にハッピーエンドになってホッとしました。(高松知恵子)

★たまにはこんな映画もホッと出来ていいなぁーて感じです。こんな人達はまだまだ地球に沢山おられると思います。あたたかくていいですね!映画のようにうまくいかないだろうなぁ〜!!(54歳)

★島の住民達のどこかとぼけた感じがとても良かった。(米子市 49歳)

★良かった、良かった。ハッピーエンドでよかった。Drコトーでもあり、七人の侍であり、ブラスであり‥‥。アメリカ人に比べればカナダは悪くないと思うが、町では医者がマリファナを吸っています。沖縄に家を建てる人が増えてはいるが住民票は移動しない。たぶんあの医者は島にいるだろうと思う(宇田川靖)

★小さな島の人々が生活保護から働くことによって生きることを目指した涙ぐましい努力と、単に豊かになってではなく、誇りを持って生きる形で終わってほっとしました。(伊沢 純)

★気軽に観れて心が温まる作品。ただ我が山陰地方においても、各地で小児科や産婦人科他、医者不足という所もあり、他人事ではないなと感じました。医者不足以外にも高齢化、過疎化、失業といった社会問題についても考えさせられました。

★久々に明るい気楽に観れる映画で良かったです。(米子市)

★離島の医師不足は日本もカナダも同じですね。働ける幸福って人間にしかないものです。(米子市 49歳 女)

★ずっと社会派映画が続いたので単純に楽しかった。シネマクラブでは、映画が終わって明るくなるまで誰もバタバタ退席しないので、それがとてもいい感じ!(米子市 59歳 女)

★北の国のあたたかい、つもり。大海原の小さな島、か。(井山宣和)

★過疎化問題はどこの国でも同じ。共通した社会現象。(米子市 58歳)

★思ったより良かった。

★よくも悪くもない。年金生活者の島国の話。(坂本義文)

★どこにもある小さな町の話ですが、最近特に感じられる世の中になりました。働く事の大事さですね(61歳になったばかり)

★新聞記事で読みましたが、ちょっと期待し過ぎだったかな? 途中ドタバタ的に感じました。(菜の花 60代)

★うそのような真実のような話。(米子 50代)

★ほのぼのとしたコメディーであるが、いまいちギャグがわからなかった。(米子市 42歳)

★おとぎ話でしたネ。老人パワーさく裂っていう感じ。8年間島民の大半が生活保護を受給して生活しているという設定は産業が何もないからなのかな? (M.I.)






      
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