★日本海新聞2007年11月29日掲載 「クイーン」紹介文

ダイアナ事件を通し描く孤高の女王

  イギリスのダイアナ元皇太子妃が、あの不幸な交通事故で亡くなってから今年で十年となった。テレビの番組で特集されたり、本国イギリスでは追悼コンサートが開催されたりと、いまだに多くの人々から愛されているのだなと感じる。
  今年の五月に有楽町で、そのダイアナ事件を扱った映画「クイーン」を観に行った。お目当ては、主演のエリザベス女王役のヘレン・ミレンだ。
  今作品で彼女は、王室の伝統をかたくなに守ろうとし国民の批判に苦悩する、孤高の女王の役を見事に演じ、アカデミー賞とゴールデングローブ賞で、主演女優賞をダブル受賞している。
  物語は、1997年5月のブレア首相の就任式から始まる。そして、その三カ月後の八月に、パリでダイアナが交通事故に遭い亡くなるのだが、民間人となっていたダイアナの死は王室に関係ないことであったため、女王はコメントを避けた。
  しかし、ダイアナをたたえる国民の声は次第に高まっていき、やがては、ダイアナの死を無視し続ける女王に、国民の非難が寄せられるようになってしまう。国民の心が王室から離れていくことに危機を感じた若き日のブレア首相が、その和解に力を注いでいくという、イギリス王室の内幕ものだ。
  二十六歳で即位してから、生涯をささげてきたイギリス国民の裏切られる、女王の孤独。時代の流れで変わらなくてはいけないもの、変わってはいけないもの。それは、今の日本にも通じるものである。
  そして、女王が最後に下す決断に感動を覚えずにはいられなかった。

(米子シネマクラブ会長 吉田明広) 



感 想 集

★ヘレン・ミレン、さすがゴールデングローブ主演女優賞に輝いただけあって、女王の雰囲気がよく表現されていた。王室、首相の普段の顔が分かってよかった。女王はさすがここ一番という所は決めていかれる。素晴らしいと思いました。(高松知恵子)

★イギリスも日本も悼み、米子も悼んだ今日(こんにち)であった。健康で毎日頑張る皆は良いことだと思います。(坂本義文)

★主演のヘレン・ミレンがとても良かった。ダイアナと国民の思いの間の苦悩が良く分かった。(61歳 主婦))

★華やかの宮殿の中での女王のお苦しみ、嫁と姑との仲の心情がよくわかりました。そして国民との感情、そのお気持ちも察しられました。(米子市)

★ヘレン・ミレンはお見事でした。彼女が女王の威厳と苦悩、そして美を演じきったことに感嘆!

★女王様も人間ですね。あたりまえですけど。イギリスでは王室のことが映画になるなんてすごいですね。王室の人はこの映画を見られたでしょうか?ダイアナ妃の亡くなれた時のことを思い出しました。

★一般国民でさえ時代の流れ、世代交代と悩みは多いもの。国を代表する王室なれば想像できない程のものと思います。日々を考えて暮らしていきたく思います。(日吉津 64歳)

★今年一番の作品で期待を裏切らない作品でした。

★改めて映画を通して涙し、偉大さに心打たれました。(55歳 主婦)

★現代の歴史的なことを映画化したこと、王室内、宮廷内への事情を表現したことの力量は素晴らしい。Queenの孤独、草原の中で涙しているシーンはよく映れていた。(米子市 50代)

★心の動きと行動、姿勢、女王そのものの生活ぶり、とてもリアルで良かったです。やはり英王室、伝統、貫禄、威厳に感動しました。宮殿とか素晴らしいロケーション、私たちのまわりにはない素敵な気持ちになりました!(60歳くらい)

★嘘か本当か、とにかく驚きました。ええ、英国王室一家ってこんなの!という好奇心、ヤジウマ根性でみてしまいました。ヘレン・ミレンはやっぱりお見事でしたね、感心しました。

★プライベートで、少しおもしろくないことがあったのですが、この映画を観て、少し気が晴れました。(米子市 34歳)

★厳しい映画でした。

★王室に人間がどのようなことを考えているのか、悩みなんてあるのか、あるんだなあなど、割とリアルに描かれていたと思う。女王がプライベートで車を自ら運転して狩場に出かけるなど驚いた。日本でも皇后、皇太子妃共に心労が多いらしく大変だなと思った(私としては天皇制度は反対なのですが…)。(伊地知)

★一般人である私達はどうしてもダイアナの方に気持ちがいってしまいがちですが、エリザベス女王にも注目すべきです。若くして女王になり、やりたい事も充分にできず、選挙権や発言の自由もない。「お金があるからいい暮らしをしているのではないか」と言う人もいるかもしれませんが、王室の人達には、あの人達にしか分からない厳しさや華やかさや辛さがあるのだろうということを分からないといけないと思いました。(田中英治)

★とても興味深い内容で良かった。ヘレン・ミレンがすごい。他の共演者の人達も実際の人物の雰囲気を出していて異和感が少なかったが?ドキュメンタリー・フィルムの導入の仕方に無理な感じがあったと思う。(M I)

★伝統のある国の女王としての苦しみ、悲しみがよく表していた(人間味ある面が、優しさも含めて)。(米子市 28歳)

★非常に格好いいブレアさん、現状の彼からは考えられませんが‥‥ 日本とは権限も国民感情も大きく異なる英国ですが、異分子が入ったあの世界の動きは結構おもしろかった。この機会に王制のあり方を話し合ってみるのも‥‥  唯、シネマの例会としてふさわしかったのかは疑問あり(米子市 69歳)

★自分で観ようと思うタイプの映画ではなかったからこそ、観ようと思って来ました。国の象徴である女王が苦悩する姿。女優が抑えられた中にも深い意志を表現していた。その素晴らしさを感じました。(米子市 35歳 女)

★知らないところを知ることが出来た。(米子市 55歳)

★英国の王室とダイアナの対立がよく解った。(米子市)

★人物の個性がよく表現されていて、とてもおもしろかった。(米子市 42歳)

★映画というよりドキュメンタリーの感がありました。実際に起こったことを首相、女王、皇室に絞ってあり、心打たれるものがありました。最後の映像(キャスト)が消えるまで誰も席を立った人がなかったことが、この映画の感銘を物語っていると感じました。(米子市 60代)

★しきたりと格式について感心することばかりでした。柔軟さがおもしろく、現代を表現していて、頑張って生きるすばらしい気分になったようです。

★いいのか、わるいのか、わからず(いとうひでみ)

★「マスメディアの過大すぎる報道と、世間の噂による過激なパフォーマンスには、どれ程悩まされることか‥‥」とするエリザベス女王の言葉は、立場の違いはあっても、同じ人間であり苦悩に耐える心情も同じであることを強調すると同時に、王室・皇室は「どう在るべきか」をあらためて問いかける言葉であったような気がしてならない。考えさせられる映画でした。

★ヘレン・ミレンがすごい!

★皆同じ苦しみを持っているのですネ。何かを変えると言うことはとても力のいる事。(65歳)






      
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