紛争の傷跡と人生 米子シネマクラブの映画は、暗い重い内容が多いと思っていた。 だが、見終わった後に深い感動や味わいを覚える作品が多いのも事実だ。 この作品も見終わった後、どんな感想が出てくるのか楽しみでもある。 映画は、ボスニア紛争をバックに、そこで起こったこととその結果生まれたきた娘と母のドラマである。 紛争や戦争の陰には多くの人々の苦しみや犠牲がある。 死者二十万人、避難民二百万人ともいわれたボスニア紛争も、その一つである。 この母には、どんな日々があったのか。 作品の女性監督は、十代を紛争のさなかのサラエボに生き、多感な心の身体で受け止めた事実の中から何を表現し、訴えようとしているのか。 予告映画や資料の中からは、この娘の父親は顔が出てこない。 シャヒード(殉教者)の遺児の証明書をなぜ母は出せないのか。 そこに母の深い傷跡を見る思いがする。 出生について知りたいのは誰しも同じだろう。 母が隠せば隠すほど、娘の不信感は募りぶつかりあっていく。 作品の山といえる。だが、この山を乗り越えて真実が明らかになった時、再生への光が見えてくる。 この娘の存在そのものが母の傷跡を癒やし、未来へ向けて生きていく力になっているのではないか。 何があの紛争の時代にあって、それがどう一人の女性の人生にかかわっていったのか。 「サラエボの花」とは何を指しているのか。この映画から読み取りたい。 (高松知恵子) ★大変重いテーマでしたが、娘役の子の演技?素?がとてもすばらしくひきつけられました。最後の母の独白の場面では涙が止まりませんでした。(能海良治 37歳) ★「サラエボの花」は良かったが、母子の関係が今一であった。(坂本義文 68歳) ★サラエボの戦争のキズアトの話でしたが、戦争は様々な面でキズアトを残す。罪のない子供まで生まれる。戦争は悲惨だ。戦争は無くさないといけない。あの親子はでも幸せになってほしい。 ★最後に笑顔がみられてホッとしました。戦争が残した傷跡を受け入れ、のりこえていかなくてはいけない。その人生のつらさ、大変さを思うと、私もつらい気持ちになります。そうやって誰かに届くことで、この後がよくなればいいのに……(米子市 37歳女) ★戦争の犠牲者はいつも女や子どもなど弱者。愚かな人間のなせる罪。 ★戦争の悲惨さと母親、母性の強さを感じた。どんな時も、母は強いですね。(米子市) ★エスマが自身の辛い体験を超えて娘を育てていくのは、母性愛による所が大きいと思える。自身の出生の秘密を知った娘はこれからの人生をどう生きていくのだろうか。最後に母親の方に手をさし伸ばしたので、いい方向にいくのではないかと希望が持てた。苦しい生活の中で、修学旅行のお金を出し合ってくれた友人達に暖かいものがあった。(高松知恵子) ★観終わってからじわりとくる作品。最後はハッピーエンドではあるけれどハッピーすぎないところがいい。内戦が終わっても人々のもたらした苦難は終わっていないというメッセージが伝わってきました。(田中英治) ★いつも思うのですが、強い者は何をしても良く、弱い者は泣き寝入りする世の中をどうしたら変えられるのか、私たちの身近なところから考えています。戦争はどんな理由があってもいけません、(米子市 70歳) ★本来お正月早々の例会で深く重いとも思いましたが、感想を書けば色々な角度から長くなりますのでパス!最後の音楽がとてもステキでした。(MI 59歳) ★社会勉強になった。平和でありたい。(渡辺千代作) ★胸にしみる映画を観ると登場人物の“その後”が知りたいと思わせるものですが、今回の作品もまさにそうした映画でした。主人公の深味のある表情(特に眼)が印象的でした。(米子市 すずき) ★実際のサラエボは今ももっともっときびしいものだと思う。サラエボがオリンピックの時代には中世の景観をそのままの世界で最も美しい街と言われていたと思いながら観た。 ★母親の娘役の女優さんがとても巧いし、魅力があって、映画のテーマをシンプルに描いた脚本で力強さが感じられて心に残りました。 ★民族とはなんだろうか?同じようなことが今もガザ地区やアフリカの諸国には起こっている。人類みな兄弟、こんな夢のような話は難しいことだろうか。 ★喫煙のシーンが多かったのを除けば当時の戦いの傷を残す現在がよく描かれている。いつの時代にもイスラエルとパレスチナの今にも同じことが……(米子市 50代) ★初めて参加しました。普通、レンタル、映画館でこういう作品を見に行くことがないので新鮮でした。(米子市 46歳) ★戦争の災いをかくした複雑な母子の関係がよく現れていた。(米子市の青い蝶) ★重いテーマが日常の生活の中でさらっと、しかし逃げることなく表現されていて心を打たれました。娘サラが髪を落とす意味は女であることを拒否したかったのか、よくわからなかった。 ★「謎」の部分は何となく初めから予想し得る展開ではあった。毎回思うのですが、映画がきっかけとなって、その国の置かれている状況、歴史的な背景を知ることはとても貴重なことであると思います。娘の旅行の金を協力して集めて、助け合う女性達の姿に感動しました。今の日本ではあり得ないから。 ★重いテーマですが、前向きに描かれていました。(皆生新田 50歳) ★悲しい歴史の中の女性の物語。しかし母の愛の強さを感じた。どんな子でも受け入れる母の愛。ずい分重い映画だった。(米子市 59歳) ★よく分からなかったですが、母親と娘の気持ちは伝わってきました。年齢と共に暗いものから逃げていますが、時には知ることも必要ですね。(米子市 59歳) ★母親が娘を置いて夜の仕事に出る。ふれあう機会が少なくなり、衝突が増える。そのくだりが自分の生活とかぶって、見ていて苦しかった。最後、エスマとサラが今後どうなっていくのか、どんな親子関係を築いていくのかが気になった。(20代) ★歴史的な背景がわからないと、理解できない映画だなと思いました。終わり方が「これでいいの?」という内容の終わり方でしたね。(米子市 38歳) ★ユーゴの現状がよく分かりました。 ★戦争ではよい事はないですね。 |