★日本海新聞2009年6月掲載「画家と庭師とカンパーニュ」紹介文


  百年に一度の大不況、いや 八十年に一度の大恐慌。
新型インフルエンザに、食品偽装、無能な政治家。夢も希望も持てないこんな時代に
さして若くもない主人公の画家。彼はパリで名を成したが、妻とは別居中。仕事への情熱も失いかけていた。そこで、自らのルーツに立ち返ろうと、郷里に戻った。
  そこには、小学校の同級生で悪童コンビだった、庭師がいた。庭師は高校には行かず、国鉄職員となって過酷な作業に長年従事した。
しかし労使間の闘争を機に退職し、今では念願の庭師をしている。画家とは対照的に、庭師は、なぜか「奥さん」と呼んでいる妻一筋。
毎年、夫婦でニースへ旅行するのを楽しみに平穏に暮らしている。
そんな二人だが、子供の頃の屈託のない友情を取り戻すのに時間はかからなかった。
  庭師との会話は、少年時代の思い出から村の住民たちのこと、家族の話、野菜の生育、天候、そして将来のことまで多岐にわたります。
緑に囲まれた庭でゆったりと過ぎる時間、童心に戻れるよろこび。
  画家のささくれ立った気持ちはいつしかなごみ、その心の変化によって、離婚の危機にある妻や、娘との関係にも希望を見出せるようになります。
  フランスの田舎(カンパーニュ)の美しい自然を背景に、「クリクリのいた夏」「ピエロの赤い鼻」の名匠ジャン・ベッケル監督がふたりの名優を迎えて描く人生賛歌です。

(宇田川靖) 



感 想 集

★自然体で、とてもいい映画でした。楽しくて、哀しくて、温かい。会話が良かった。フランス映画はいいですね。(鈴木)

★アンケートで自分の投票した作品でなかったので、あまり期待していなかったのですが、まさに「こういうのが見たかった」と思わせられた作品でした。派手さは無くても、流行りのハリウッド作品とは違って心に強く残るのはヨーロッパ作品だと思いました。(女性)

★フランス映画(フランスに限らず外国映画)は良く分からない所が有るけど、この映画はスーと入ってきました。シミジミとした友情に心打たれました。(60代 女性)

★何度も見たい映画です。台詞の量が多くて字幕スーパーが読みきれませんでした。もう一度みたいです。

★とりたてて特別なことが起こるわけではない。だからこそ人生なのだ。愛情も、死さえも素直に受け入れていこう。二人の会話はそれだけで素晴らしかった。(米子市 51歳 男)

★久しぶりのフランス映画でした。ゆったりとした、なつかしい思いがしました。光と音楽があふれた良い映画でした。(62歳)

★思ったより楽しい映画だった(最後は悲しかったけど)。 (あっこちゃん)

★久しぶりに濃密な人と人との結びつきをしっかりと、淡々とえがかれた物語りを見せて貰った。人がいとおしくなる映画だ。(68歳)

★派手なアクションやCGなどがなく、音楽も少なめ。ハリウッド映画とは対極の作品。かえって新鮮な感じがしました。非常に味わい深かったです。(田中英治)

★「見たものしか分からない」庭師と「心にあるものを表現する」画家。考え方も生きてきた道も違った二人が語らいを重ねながら友情を暖めあっていく過程がゆったりとした時の流れの中で感じられた。庭師の作った菜園の野菜と、それらを描いて個展を開き妻とこれから人生を生きていく画家。これは庭師の贈り物だったかもしれない。しみじみしたいい作品でした。(高松知恵子)

★庭師役のジャルダンが素敵でした。いきなり鉄道員と主人公との階級差の話が出てきて、びっくり。フランスでは今尚こうなのだと改めて気付いた。しかし、その二人の男性独特の優しい結びつきに心がなごんだ。(60歳代 女性)

★効果を出すための音楽を極力使わず、盛り上がりそうなエピソードもけずり、あくまでも淡々と二人の日々の関わりをつむいでゆく。その演出がつぼにはまりました。このような良質な映画を配給してくれていたワイズポリシーがなくなったのはとても残念です。(銀山は2周年)

★静かな中に充実感の残るおもしろい映画でした。(青い蝶)

★あのような友人がいたら最高ですね。(57歳 女)

★平凡に平凡に、静かに静かに、あまり欲張らず自分の人生をいきて行く…… チョット悲しいけど、そんな人生があっても……(70歳)

★フランス映画を観るのは本当に久しぶりでした。あまり期待してなかったけど、ユーモアもあふれていて面白かったです。生と死とか、人にとって幸せと何かとか。結構人生の本質について描いてあるかなと思いました。あの二人の友情も良かったです。(ローラ)

★号泣もないし、お勉強になりました。でも、ないけれど、最後まで画面に魅入られました。生活のすべてが美しく、憧れます。フランだからでしょうか。 ★中高年向きで若い人には物足らないかも……



      
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