★日本海新聞2011年8月掲載「フェアウェル-さらば哀しみのスパイ-」紹介文


 今回の映画は、2010年公開のフランス映画です。
 ソ連崩壊の大きなきっかけとなったといわれる20世紀最大級のスパイ事件『フェアウェル事件』を描いたサスペンス作品。
 1981年のモスクワ。セルゲイ・グリゴリエフ大佐はKGB(ソ連国家保安委員会)の幹部で、家族と共に裕福な暮らしを送っていた。
 だがそんな彼は祖国が衰退の一途を辿り、西側諸国に引き離されていることに危機感を持っていた。
 そこで彼は、フランス人家電メーカー技師のピエールを通じてフランスのスパイに接触を図り、情報を流して現体制打破を目指す。  行き詰ったソ連の未来に失望し、自分は無理でも、息子には希望のある新しい世界で生きて欲しいと願い、祖国と家族のために死のリスクをいとわなかった実在のスパイ役を、2度のカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝くエミール・クストリッツァ監督が熱演する。  

(米子シネマクラブ会員 吉田明広) 



   
感 想 集

★共産主義は理想だと大佐は言った。信頼を失えば民主主義は終わりだとNATOの彼は言った。その頃日本は浮かれていた(高度経済成長、'70の万博から)。ソ連解体は自由主義社会にとってプラスだったのだろうか。(宇田川靖)

★社会主義、共産主義は理想、夢だった。しかし、私たちの幸せ、平和な国は容易ではない。"フェアウェル"彼は魅力的だった。(60代 女)

★最初は2人の男のスパイごっこみたいにゆるゆる進んでいたので最後の30分緊張感はすごかった。びっくりした。

★スパイ映画は、いつバレるかといつもハラハラさせられる。最後になって大佐の上司も西側のスパイだったと分り、何を信じていいのか分らない世界だと思った。スパイ一人一人は家族を思い、胃潰瘍まで患って必死だが、大きな国家権力等からみると小さな存在でしかない。でもそういう小さな力が国を動かす原動力になっていく事がある。歴史の裏にあるものに目を向けていく事が大切だと思いました。(高松知恵子)

★戦争が無くても国同志のあらそいは、いつ迄も続くのでしょうか?今の日本の政治に失望していますが、まだ良いと思うべきでしょうか?(二岡)

★事実を基にしたスパイ映画とすると国家機密(西側)が恐ろしいほど盗まれていることに驚いた。また、アメリカ、フランス等の大統領のソックリさんの演技はおそまつだった(もっとも本物も事実はあのレベルかもしれないかも?)。 (青い蝶)

★グレゴリー大佐のしぶい演技には、ほれぼれした。ピエールほか、他の登場人物達も抑制された演技で素敵でした。体制が崩壊するきざしは説明されていなかったが、逆にそれを意識しながら鑑賞できたのもよかったかもしれない。(女性 60代)

★ソ連のペレストイカの裏にこういうこともあったのだろうなと興味深く見せて頂きました。(70代 女性)

★これが、実話とは、何と世の中には複雑になっているのか!!

★国家権力の横暴さ、そして使い捨てされるスパイの悲しさ、いつの世にも残っていくのでしょうか。(60代 女)

★ドキドキしました。

★ソ連の歴史に無理解なので、難しかったけど、品格のある作品だと思った。(バラスキ 59歳 女)

★最初たいくつで、字幕を読むのがえらく、眠っていたが、最後は面白かった。(KK)

★なにか、一人よがりの言い分を押し付けられたような気持。社会が大きく変動する時には様々な矛盾が生まれる。それを伝えたかったのか。それとも「民主主義」の名の下に、都合の悪いことをおおいかくす社会か、死をかけて変化を期待した人に期待通りのものは生まれないことを変化することは悪いと云っているみたいでもある。



      
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