★日本海新聞2014年11月21日掲載
「ハンナ・アーレント」紹介文


 誰からも敬愛される高名な哲学者から一転、世界中から激しいバッシングを浴びた女性がいる。
彼女の名はハンナ・アーレント、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所から脱出し、アメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人。
 1960年代初頭、何百万ものユダヤ人を収容所へ移送したナチス戦犯アドルフ・アイヒマンが、逃亡先で逮捕された。
アーレントは、イスラエルで行われた歴史的裁判に立ち会い、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表、その衝撃的な内容に世論は揺れる…。
 「考えることで、人間は強くなる」という信念のもと、世間から激しい非難を浴びて思い悩みながらも、アイヒマンの<悪の凡庸さ>を主張し続けたアーレント。
歴史にその名を刻み、波乱に満ちた人生を実話に基づいて映画化、半世紀を超えてアーレントが本当に伝えたかった<真実>が、今明かされる─。
 すべての答えが凝縮した魂を揺さぶる8分間のスピーチが、感動を呼ぶ。

(米子シネマクラブ会員 吉田明広) 



   
感 想 集

★私し的には今まで観た中でベスト1です。20〜21世紀に生きていて、良かったと思っていますが、世界、日本の過去にも人間性を否定する時代があったのは事実ですね。平和は何で守ればいいんでしょうか。(しょうちゃん 67歳)

★アーレントは客観的に物語を見つめている。そのアーレントがアイヒマンについて書き残そうと思った。それはアーレントの感情だと思う。自らが自らに課した仕事として、その思いは自らの感情の発露だ。(宇田川靖)

★自分が圧倒的多数の意見と異なることを認識しつつ、それでも自分の意見が正しいと思うのであればそれを言わなければならない。多衆の空気に流されてしまうと、戦前の出来事を繰り返してしまう。(映画ファン・迷える74歳 男性)

★考え抜くことの大切さを若者に説く姿が素晴らしいと思った。改めて戦争による被害がいつまでも残ることを知らなければならないと思う。(後期高齢者)

★“命令に従っただけ”というセリフが驚きだった。“民族を愛したことはない”、“友人を愛している”という考えはアイヒマンの言葉への回答になるように思った。私たちが1人1人の人間に目を向けないと国と国、民族と民族などの対立をあおるばかりだと思った。(前川仁三夫)

★じっくり考える作品でした。面白いとは違い、心に重さがあり、みごたえがありました。(匿名)

★実に難しいテーマ。平凡な考えない人間が悪を為すのは、後の心理学の実験で科学的に証明されている(ミルグラム監獄実験)が、こうまで善悪のはっきりしたケースで、しかもこの時代に言うのは、かなり勇気のあることだと思う。しかしナチスを絶対的な悪と見なすことが、現在に至るまでナチス的な全体主義・権利の抑圧などへの拒絶反応へと繋がっていると考えることもできるわけで、善悪に相対化するキッカケになるのではないかという危惧がないでもない。同様の映画で「コンプライアンス 服従の心理」という作品もあるので、こちらも是非参照して頂きたい。(匿名)

★久しぶりに映画を観ました。力作だったと思うし、良く出来ていると思いました。また力作がみたい。(女性)

★根源的な悪って何だろう。ハンナに教えてほしい。(70代 女性)

★“悪の陳腐さ”について問いかけることは、全体主義の駒に自らがなりかねないことへの警鐘。統治されることに親和性のある国民の一人として、自らの在り様を問い直し続けなければならないと感じた。(匿名)

★あまりにも根源的なテーマのため、安易な意見は出しにくい。唯、はっきりしているのは誰かが問題を提起しなければ、誰もが分かったような顔をして毎日が過ぎて行くだけ。今回の資料は、できれば事前に欲しかった。(匿名)

★重いテーマなので見る前は気が重かったのですが、見終って、深くて考えさせられました。比較的分かりやすい演出で主演女優の熱演もあり惹きこまれました。(匿名)

★ユダヤ民族は何の罪で家屋敷、財産を奪われて殺されなければならなかったのか?今も私にはどうしてもわからないでいる。だがこれは国家の名で行う大規模な強盗殺人であったと思う。当時のヒットラー統治のドイツは財政的に大きく潤ったはずであろう。数百万人のユダヤ人を強制収容所に移送した責任者「アイヒマン」は単に自らの職務を忠実に行った歯車に過ぎなかったとは、どのようなことか?自らの役割の意味を考え、自らに問わずにいることが出来たのか?それが出来たとすれば信じられない怠慢さである。他に対する想像力の欠如、これこそ悪と云うべきであろう。我々は全てのことについて自らの頭で考え、自らの心に問うべきであると思う。かつての日本もドイツと似たようなことを行ったのである。(都田悠子)

★最後の講義のテーマが、この映画の最初にあったらドラマとして成立しないかも。でも講義の内容は今聞かせてやりたい人間がまわりに沢山出てきたように思う。最近特に!(相沢雄二)

★ハンナ・アーレントはユダヤ人であるが、ユダヤ教の文化的影響を子供の頃に受けていなかったので、客観的にあの裁判をレポートすることが出来たのではないだろうか。日本も思考停止状態にあったのだろう。もしかしたら今も‥‥。(もっさん)

★「任務を遂行しただけ」「組織の命令に従っただけ」という主張をどうとらえたらよいか。アイヒマンの行為は許されるものでなく、死刑は当然と思うが、アイヒマンの弁明にも応える必要があろう。アイヒマンの犯した根源的悪とはなにか。(S M)

★本当(?)の善とか、本物の悪とか、何が本当か考えさせられた。(S H 74歳 男)

★受けた傷は大変重いものがあったので受け入れなかったのかもしれません(匿名)

★人間とは何か?悪の根源は思考停止なのか?ホロコーストに到った人の精神等、又、加害者も被害者も場面により、どちらの対場にもなりうるということ等考えさせられる映画、映像でした。(匿名)

★映画としておもしろかったかは何ともいえませんが、ハンナ・アーレントという人がいたという事と彼女が批判して立ち向かい自分の考えを通した事、知った事が良かったかもです。この事を知った事がこの映画の一番いい部分だったかもしれません。いい映画でした。(匿名)

★考えないことは罪であり、人間らしくないことだと思った(34歳 男)

★むずかしかった。

★むずかしすぎてよくわからなかった。いろんな考えをする人がいるんですね(匿名)

★むつかしかったです。(匿名)

★話題になった映画でしたが、アイヒマンに対する印象が変わっていくところがもう少し説得力があれば良かったですが‥。ハンナはただの皮肉家のように思えてしまった。(匿名)

★よくわからなかった(70歳)



      
[戻る]