<裏切られる事にタフになれ!
   難易度の高い監督?デビット・リンチの描く「マルホランド・ドライブ」>

 前回の「プレッジ」の例会の後、シネマクラブの会員さんに「松崎さん、是非マルホランド・ドライブを観て下さい。」
と、ニコニコッと妖しい笑みで紹介された今回の映画は、「ブルー・ベルベッド」、「ツイン・ピークス」等の鬼才で知られる、デビット・リンチ監督の最新作である。
 この作品は、あらゆるところで賞を獲っていて、改めてデビット・リンチの異才振りを世間に知らしめた作品だ。
 真夜中のマルホランドドライブを、走っている一台の車。
車を突然停車させ運転手の男が、後部席のブルネットの女リタに銃を突きつける。
そこへ、猛スピードで前からやって来た車がリタの車に激突。
運転席の男も、ぶつかった車の乗客達も即死の中、無傷だったリタは、意識を朦朧とさせながら市街へ逃走し、ある一軒の留守の家に倒れこむ。
 女優になることを夢見て田舎から出て来たブロンドの女ベティは、叔母のルースを訪ねてハリウッドにやって来る。
そして、その叔母の留守の家で、ベティとリタが出会う。
 事件の混乱の中で、記憶を無くしているリタに同情したベティは、リタと一緒になってリタの記憶を取り戻そうと事件に関わっていく。
だが、それは2人にとって奇妙な出来事の幕開けであった。
 前回のシネマクラブの作品「プレッジ」が、主人公の妄想と現実が交錯し、物語が進行していくというタイプの作品であったが、この「マルホ」もそういうタイプの作品である。
 普通こう言うところで文章を書くと、これはこう言うふうな解釈で映像の演出がされているとか、テーマはこういうところにあって、こういうことを監督は言いたいからこの作品は素晴らしいです、
とか書かなきゃいけないんでしょうが、この作品に関しては、そういうのは何の意味も持たないので、監督がこの作品のインタビューで語っている事を、最後にひとつ付け加えておきましょう。
「様々な謎とか意味とかは、観客がそれぞれに感じ取ってくれればいいので、私がこの作品で感じて欲しいのは、マルホランドドライブを巡る旅を楽しんでくれればいいと思っている。」
 リンチ先生はこう言っているが、その謎を巡る旅の中で、何がしかのテーマを見出せる価値のある作品なのか、
演出の力量の無さを指摘出来る駄作になっているのか、それとも観る人の映画の観方考え方の勉強のスキルを試される作品なのか、
映画「マルホランド・ドライブ」は、そうした映画魂を鍛える意味でも、格好の教材であると言える。

      
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