昔気質の活動屋魂が勝つか、最新SFXが勝つか?深作版VS平山版 起死回生の「魔界転生」は、前作を超える娯楽活劇になるか? 死んだはずの剣豪達が、地獄から蘇って幕府の転覆を狙うという、山田風太郎原作の「魔界転生」。 ホラーっぽいチャンバラアクション映画なので、ここで紹介するような作品ではないのだが、この映画が、20年の歳月を経てリメイクされるとなれば、今年の邦画界の要チェック作品ではないだろうか。 「魔界転生」の、初映画化は、81年、東映と角川プロデュースで製作され、監督に深作欣二、主演に沢田研二(天草四郎)と千葉真一(柳生十兵衛)という顔合わせで映画化された。 さて、リメイクというと評判が良かったから、今一度となるわけだが、この映画は評論家諸氏からすこぶる評価が悪かったので、今回のリメイクの企画がまるで嘘のような気がする。 前半部の魔界衆の復活の説明が長すぎてテンポが悪いとか、復活した魔界衆が自分の好き勝手に動いて、ひとつも幕府転覆に動き出さないとか、終わりが中途半端とかいったような悪評ばかりで、旧作のオススメ映画とは、程遠い映画評である。 でも、僕自身はこの作品はとても気に入っていて、特にラストの城内の炎上シーンは圧巻。 撮影裏話として、猛暑の中、京都中の薪を集めてきて火をつけ、火の回りが早かった事から出演者の立位置の前後にセットの燃えた木がボンボン落ちてきたり、衣装に火が回ったりで、一発撮りの真剣勝負、身を危険にさらしての撮影だったらしい。 その作り手達の熱気は、画面を観ていてもズッシリ伝わってくる。 さて、そのヘンな映画を監督作に駄作のない平山秀行監督が、初のチャンバラエンターティメントに臨む。 天草四郎役には、人気上昇中の窪塚洋介。 今どきの若者を演らせたら、イケてる役者として定評のある彼だが、初の時代劇で群衆劇の感じの本作で、彼の役者としての力量が問われる一作になるであろう。 天草に対する柳生十兵衛には、役者として確固たるポジションを獲得した感のある佐藤浩市。 我々世代の柳生十兵衛といえば、千葉真一の当たり役というイメージが強いので、佐藤浩市に対してもかなり高いハードルが要求されるのではないだろうか。 平山組の「魔界転生」は、4月下旬からロードショー公開。 最近、邦画界でも久しぶりに時代劇が多く作られるようになってきている。 ひと言で時代劇と言っても、いろいろなタイプの映画がある。 全てをひとまとめには出来ないのだが、エンターティメントであれ、日本人の心や日本の歴史を描くものであれ、日本の映画館で定期的に日本の伝統的な風景や風物のものが上映されるのは、とても重要な事なのではないかと思う。 映画館でチャンバラを観るたび、なぜか僕はほっとするのである。
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