官製絵葉書

     



  



明治35(1902)618日、逓信省は初めて萬国郵便聯合加盟二十五季祝典紀念として615銭で官製の絵葉書を発行します。



日本が明治10年(1877)にアジア諸国で初めて参加し、この年が25周年にあたるため紀念として発行された日本最初の官製絵葉書です。これにはそれぞれに色は付いていましたが(赤、青、緑、灰、紫、オレンジ)単色の石版印刷でした。620日に東京帝国ホテルで祝典紀念会を開催し発売。会場では日本で最初の特印も押されました。

初めの絵葉書の図は東京郵便電信局舎です。屋上には時計が設置され、3階までの吹き抜け構造でステンドグラスなどがありました。明治25年に建てられましたが関東大震災で焼失しています。下には郵便発着口が載せられていて、当時は馬や自転車で配っていたことがわかります。

2枚目は万国郵便連合加盟当時の横浜郵便局(1877)と外国郵便袋、下には当時の横浜郵便局(1902)と同じく外国郵便袋の絵。

その頃横浜は外国との玄関口であったため絵葉書の題材になったのでしょう。

3枚目は皇居前の広場から富士山を望んでいる図と楠木正成銅像。この像は絵はがき発行の2年前、明治33年(1900)年に完成し現在も皇居外苑で見ることができます。

4枚目は初めて鉄道が官製絵葉書となった絵葉書。「山陽道汽車進行中の郵便物授受機械」と説明文にあります。またどの絵葉書にも文中に万国郵便連合加盟紀念日という意味のフランス語Jubile de l'entree dans l'union Postale Universelle が書かれています。

5枚目は1874年に初めてスイスのベルヌノで郵便連合大会議を開いた会場と1877年加盟した当時の建物の絵柄があります。

最後の絵葉書は日本とアジアやアメリカ大陸との間の鉄道や航路、海底電線の図を示しています。

この絵葉書はとても印象が強かったようで、30年あまり後にも逓信協会がこの図案をそのまま縮小して紹介する絵葉書を作っています。

逓信省とは現在の総務省(旧郵政省)で、当時葉書や切手の発行をおこなっていた役所です。

この絵葉書を初めて発行した後、国家的な行事や戦勝の度に紀念絵葉書を発行しています。