開拓史兌換証券



明治初期、北海道開拓に必要な財源確保のため為替座三井組の名義で政府が発行した札です。金10円、5円、1円、50銭、20銭、10銭の六種が発行されています。これまで発行されていた太政官札や民部省札に対する不信もあり、当時信用のあった為替座三井組に紙幣発行を委託、通貨単位も円、銭に改められています。
 表には、「此証券ハ新貨幣出来次第書面之金高本位金貨にて引替可申尤至急入用候ハバ通用貳分判を以何時にても東京大阪為替座三井組にて引換相渡可申候成」
 裏には「此証券ハ開港塲輸出入税を除くの外當分之内都而公の上納にも相用ひ候儀を差許すもの也」と書かれています。
 印刷は銅板印刷、オーストリア製の小印紙を裏面に貼り、偽造防止策を強化しています。その印紙にはマイクロ文字で「IMPERIAL JAPANESE TREASURY」の文字が書かれています。
 印紙の色も当時の青感製感材で複写できないように薄く色をつけ偽造防止とし、形も角をなくしはがれないようにしていましたが、少額の紙幣から印紙をはぎ、高額の偽造券に貼って使うものが出たため印紙に額の印を押すようになりました。ここでは十銭と朱印で押されています。五十銭以下の少額券は明治6年まで、1円以上の高額券は明治8年まで使用されていました。


 額面 表  裏 
 拾銭