生活直結の政策推進を

政治資金のさらなる透明化も
自公連立の維持確認

 参院選の結果、自民、公明の連立与党は参院で過半数を割り込み、民主
党など野党が過半数を確保することになった。

 与党にとって非常に厳しい結果だ。しかし、年金記録問題、「政治とカネ」の
問題、閣僚の失言などが相次ぎ、有権者の投票行動に大きな影響を与えた
のは間違いない。与党は、選挙で国民が下した審判を真摯に受け止め、反
省すべき点は改める必要がある。

 7月30日に選挙結果を受けて初の自公党首会談が行われた。自公両党は、
改めて結束して政権運営に当たることを確認した。参院で与野党の勢力が逆
転したとはいえ、衆院で多数を占める自公両党が引き続き政権運営の重責を
担うことには変わりない。政権与党の態勢をしっかりと立て直し、心を引き締め
て新たなスタートを切る必要がある。

 党首会談の席上、太田昭宏代表は安倍晋三首相に対して、「憲法論議も大
事だが、国民生活に直結する身近な課題に、もう一歩焦点を当て、強い政策
を示すことが大事だ」と指摘した。一方、安倍首相も党首会談後の記者会見で
「地方では改革の痛みが現れた。改革の陰の部分に光を当てなければならな
い」と述べた。

 今回の参院選で与党が敗退したとはいうものの、小泉、安倍の両政権によ
る改革への基本的な方向性が否定されたわけではない。しかし、これまでの
改革路線を推し進めながらも、さらに国民に生活面で安心を実感してもらえる
政策を丁寧に分かりやすく提示していく努力が欠かせないことは明らかだ。

 景気・経済の回復では、「都市から地方へ」「大企業から中小企業へ」「企業
から家計」への流れをつくる具体策を早急に講じていくべきだろう。公明党が参
院選の“命のマニフェスト”で提案した医師不足対策やドクターヘリの全国配備、
がん対策の強化なども国民生活に目に見えて安心をもたらす政策であり、早
期実現を望みたい。

 一方、太田代表は、「政治とカネ」についても透明化に向けて、もう一段の改
革を断行すべきとの認識を示した。参院選の最中にも、閣僚の事務所費問題
が浮上し、有権者から政治資金のさらなる透明化を求める声が上がったことを
考えれば当然と言える。

 先の通常国会で与党は、相次ぐ事務所費の問題を受けて、資金管理団体の
5万円以上の経常経費支出(人件費を除く)について領収書添付を義務付ける
政治資金規正法の改正を行ったが、さらに対象範囲や領収書添付の支出額引
き下げなど透明度を高める見直しができないか。法律の再改正も視野に早急
に議論を詰める必要がある。

 連立政権が今後、諸改革を進める上で“衆参のねじれ”が大きなカベとして立
ちはだかる。参院で野党が過半数を占める政治状況下では、民主党との一定
の協力関係も課題となる。

国民のために協力

 30日のNHK討論で公明党の北側一雄幹事長は、「民主党をはじめ野党の
意見に耳を傾けて、われわれが良しとするところは採用していくとの協力関係
でやっていく」との考えを示した。

 一方、参院で第1党となった民主党も国民生活に重大な責任を持つ立場に
なった。「参院で何でも反対という態度を取るべきではない」(民主党の鳩山由
紀夫幹事長)と明言した通り、「責任政党」と言うのであれば、現実的な参院対
応を貫いてもらいたい。

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