「安全」へ万全の体制を

遊園地やプールの悲劇繰り返すな
いよいよ夏本番


梅雨もようやく全国的に明け、いよいよ夏本番である。この土曜・日曜は各
地の遊園地やプール、行楽地などは本格的な賑わいを見せることだろう。
そんな折に、「遊園地の遊具59基で不具合が見つかる」「170カ所の都市
公園プールで安全面の不備が判明」との点検・調査結果を報じるニュースが
相次いだ。悲惨な事故が起きてからでは遅い。各施設とも絶対無事故、安
全第一の体制づくりに万全を期してほしい。

 遊園地の遊具については、今年5月の「エキスポランド」(大阪府吹田市)
でのジェットコースター死亡事故を受け、国土交通省がコースター以外のメリ
ーゴーラウンドや観覧車などにも対象を広げて緊急点検を実施。その結果、
点検報告があった遊具2175基のうち59基(47施設)で車輪軸の亀裂など、
建築基準法や日本工業規格(JIS)に適合しない安全上の問題が見つかった。

 また同省は、エキスポランドの事故直後、緊急点検した斜度5度以上の高速
コースター(全国307基)についても、新たに8基で車輪軸などの損傷が確認
されたと発表。いずれも1年以内の探傷検査はしていなかったという。それ以
前に7基で問題が見つかっており、不具合のある高速コースターは計15基に。
これで遊具全体では重複を除き、不具合は計73基に上った。各遊具とも修
理や部品交換、運休などの措置が取られているが、放置すれば大きな事故
につながる危険性があったといえよう。

 一方、都市公園のプールでは、全国943あるうちの約18%に当たる170
カ所の施設で、排水口のフタが固定されていないなど安全管理上の問題が
あった。昨年7月、埼玉県ふじみ野市の流水プールで起きた女児の死亡事故
を受け、今年3月に政府が策定した安全標準指針をもとに国交省が適合状況
を調べたもので、排水口が二重構造になっていない施設が51カ所、排水口
の取り付け方が不十分な施設が32カ所あったほか、流れるプールなどで水
を流し込む口にフタが取り付けられていないなどの事例も32施設であったと
いう。

 また、公園の管理責任者がプールの安全講習を受講していない施設が51
カ所あるなど、プールの安全管理が行き届いていない現状が明らかになった。

 昨年の死亡事故の際、プールを管轄する省によって管理基準がばらばらで、
民間プールについては、どの省庁も基準を設けていない問題が判明した。
これを機にプール事故防止のための安全標準指針が初めて作成されたわ
けだが、都市公園プールを見る限り、まだ1年前の教訓が生かされていない。
管理基準がなかった民間プールをはじめ、すべてのプールで安全指針に基
づく調査を早急に行い、安全管理上の不備があるところは使用を即刻中止す
べきだろう。

「ずさんの連鎖」


ふじみ野市の事故調査委員会は昨年9月、事故原因を「ずさんの連鎖」と結
論づけた。市はプール管理を業者に委託し、業者は無断で下請けに丸投げす
るなど、誰も安全管理の当事者意識がない状況が浮かび上がった。これまで
詳細な施設の管理方法が規定されていなかった遊具については、省令改正
により、秋ごろをメドに運行管理規定が定められる方針というが、この夏休み
に事故が起こっては意味がない。何よりも「安全」を最優先にした、各施設管
理・運営者の自覚を促したい。

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