終戦記念日 不戦への誓い深める日に

日本は平和、非核に積極貢献を
薄れゆく戦争体験

 終戦記念日を迎えた。先の大戦では、国家間の争いによって多くの尊い命
が失われた。終戦から62年、すべての戦争犠牲者の方々に祈りを捧げるとと
もに、「不戦への誓い」を新たにする日にしたい。

 戦後60年以上が過ぎ、戦争の記憶が薄れつつある。いまや戦争を体験した
戦前生まれの世代の割合は約4分の1にまで減り、広島、長崎の被爆者の
平均年齢は75歳になろうとしている。戦争や被爆体験を直接聞くことができ
る機会は今後、ますます減っていく。

 しかし、だからこそ国民一人一人が戦争体験の風化に立ち向かおうとの決
意と行動が大切になる。歳月が過ぎ去ろうとも、戦争の残酷さ原爆の悲惨さ
を次世代に語り継ぎ、世界に発信していく努力をさらに強めていかねばなる
まい。

 同時に、世界の平和構築に日本が積極的な貢献を果たしていくことが求め
られる。

 今、国際社会に目を向ければ、冷戦終結後の地域紛争が多発している。
自動小銃など小型武器は世界に約6億4000万も存在し、毎年50万人の人
命が犠牲になっている。この“事実上の大量破壊兵器”による犠牲者は、ほと
んどが女性と子どもなど民間人という。

 こうした小型武器の規制には国際的な枠組みづくりが肝心だ。昨年(2006年)
12月に国連は、総会で武器貿易条約(ATT)に向けた議論を開始するとの決
議を採択した。

 同条約の狙いは、小型武器も含めた通常兵器全般の不正輸出を阻止し、武
力紛争を抑え込むことにある。日本は早期実現に向け、また条約が抜け道の
ない厳格な内容となるよう、国際社会で積極的にリーダーシップをとるべきだ。

 一方、核をめぐる国際社会の環境も厳しい現実に直面している。その象徴が、
核戦争による地球破滅の日までの残り時間を示す「終末時計」だ。米科学誌
「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が毎年、発表しているもので、
今年は一気に針が2分進み「残り5分」となった。針が進んだ理由として、北朝鮮
の核実験、イランの核開発疑惑、核拡散への懸念などが指摘された。

 核保有国による軍縮を進め、核兵器開発能力の拡散を防ぐカギの一つは、言う
までもなく、弱体化が懸念される核拡散防止条約(NPT)体制をいかに強化して
いくかにある。

 NPTは、米ロ英仏中を核保有国として規定し核軍縮交渉を義務付ける一方、
非核保有国には核兵器の保有を禁止している。しかし、ここ数年は保有国の核
軍縮は全く進まず、現在も2万7000発を超す核兵器が存在したままだ。

 しかも、NPTは、未加盟のインド、パキスタン、イスラエルなど核保有国ないし
疑惑国に対しては効力を持たない。核をこれ以上、拡散させないためには、「核
兵器は安全保障の確保に有効だとする“神話”を崩し、核兵器の必要性を除去
する措置」(IAEAのエルバラダイ事務局長)を確立する必要がある。

軍縮、核廃絶に責任

 公明党の太田昭宏代表は、今月9日に長崎の原爆資料館を訪れた際、「公明
党は核廃絶に向けて、これまで以上に力を注いでいかなければならない」と語っ
た。先の参院選で、公明党は軍縮と核廃絶に向けて、ATTの早期締結など具体
的な政策を掲げた。「平和の党」の果たすべき責任と使命を自覚し、一つ一つ結
果を出していきたい。
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