厳しい残暑、熱中症に注意
水分に加え塩分補給に努めよう
ピークは過ぎたが
猛暑が日本列島を包み込んでしまったかのようだ。16日には埼玉県熊
谷市と岐阜県多治見市で、40.9度と、74年ぶりに国内最高気温の記録
を塗り替えたのをはじめ、関東、東海地方を中心に25カ所で最高気温を
観測した。その後も、西日本を中心に猛暑は続き、一服していた東日本で
も暑さがぶり返している。
暑さのピークは過ぎたと思われるが、今後も厳しい残暑が続くことが予想
される。熱中症にならないよう十分に注意したい。熱中症は、暑い環境にさ
らされることで起こる体のさまざまな不調の総称。暑い中で仕事や運動を続
けていると、周りの温度に体が対応することができず、体温調節機能のバラ
ンスが崩れたり、全身の臓器の機能不全が起こったりする。
環境省の「熱中症保健指導マニュアル」では、熱中症の症状を重症度に応
じて3分類している。最初は、脳への血流が瞬間的に不十分になったことを
示すめまいや失神、こむら返り、ふいてもふいても汗が出てくるなどの症状と
して現れる。症状が進むと、頭痛や吐き気がしてきたり、体がだるくなってくる。
だが、多くの人は熱中症に気づかず「ちょっと気持ちが悪い」程度にしか思わ
ない。このため症状がさらに進み、意識障害、運動障害、高体温の最悪の事
態へと至ってしまう。
熱中症の発生は年々増加の傾向にあるが、猛暑が続く今年(2007年)は
突出している。東京消防庁によれば、昨年(2006年)の7、8月の2カ月間で
494人が熱中症で救急搬送されたが、今年(2007年)は既に1000人を超
えている。熱中症というと真っ先に高齢者を心配するが、患者は10、20歳代
の若者をはじめとして全年齢層で発生しているという。
暑い環境の中で、めまいや頭痛、吐き気などがした場合は、まず自身が熱
中症であることを疑うべきだろう。すぐに休んで、体を冷やし、水分や塩分を
補給することが大切になる。スポーツドリンクを飲むことも効果的だ。「ちょっ
と気持ちが悪い」は熱中症の危険信号であると理解したい。
私たちの体は、血管を広げて体外に熱を放射したり、汗をかくことで体温を
調節している。だが、暑さが体温を超えると体外に熱を放射することができな
くなるばかりか、湿度が高くなると汗も蒸発しなくなり、熱中症になりやすくな
る。この条件がそろうと、屋内外や運動の有無に関係なく、だれもが発症する。
半面、熱中症は、ちょっとした心掛けと工夫で防ぐことができる。外出する際
は、日陰を選んで歩いたり、帽子をかぶって直射日光を避けることがまず大切
だ。また、休憩と水分をこまめに取る必要もある。とりわけ予防にはのどが乾く
前の水分補給が大切で、汗をたくさんかいた時は、塩分(0.2%程度の食塩
水かスポーツドリンクなど)の補給に努めたい。当然のことだがビールなどの
アルコールは水分補給とはならず、前の晩に深酒をした人や朝食を抜いた人
も熱中症を起こしやすい。
高齢者に気配りを
暑さの原因として、日本付近の非常に強い太平洋高気圧の存在が指摘され
てきたが、地球温暖化の影響や、都市で進行するヒートアイランド現象も一因
になっていると思われる。自身の体調管理はもとより、体温調節がまだ十分に
できない子どもや、体力が落ち、暑さに弱くなっている高齢者には一層、気を
配っていきたい。
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