断酒指導で再犯防止

来年度から飲酒運転の受刑者対象
公明も主張

 法務省は21日までに、刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)での断
酒指導を2008年度から強化する方針を固めた。飲酒運転による受刑者を
対象に、特別のプログラムを策定し、実施する。飲酒運転の厳罰化を求め
る世論を踏まえ、出所後の再犯を防ぐのが狙いだ。

 同省は06年5月から、全国75の刑事施設のうち20カ所で、交通事件の
受刑者向けに交通安全プログラムを実施。被害者に対する理解や対応、
「酒の害」などについて1回50分、計10回の講習を行っている。しかし、
飲酒運転による受刑者の中にはアルコール依存症が少なくないことなど
を考慮。2008年度から、依存症脱却のためのプログラムを追加して「酒の
害」に関する内容を充実させることにした。

 内容は今後詰めるが、8人程度の受刑者が飲酒の体験や悩みなどを打ち
明けながら互いに解決策を探るミーティングの実施や、アルコール依存症の
克服を支援している民間団体から講師を招くことなどを検討している。また、
現在は実施施設を限定しているため、交通安全プログラムを受けていない
受刑者もいるが、今年度中に対象施設を46カ所に増やし、交通事件による
新たな入所者は全員講習の対象にする。

 法務省によると、交通事件の受刑者は約3000人(2006年12月現在)で、
このうち飲酒運転は3分の1程度を占めている。

 公明党は、飲酒運転の再発防止のため刑務所や拘置所での指導強化を
強く求めてきた。2006年11月の参院内閣委員会では、風間昶氏が飲酒
運転に対する罰則強化だけでなく、再発防止のための指導・教育も充実さ
せるよう主張したのをはじめ、先の通常国会での刑法改正審議でも、参院
法務委員会で木庭健太郎氏らが飲酒運転の再発防止プログラムを徹底す
るよう求めた。

                            前のページに戻る