小中の不登校5年ぶり増加

安心のサポートをさらに手厚く
中学では35人に1人


 子どもたちの夏休みも終わりに近づき、間もなく学校が始まる地域も多い。
しかし、今月(7月)、文部科学省がまとめた学校基本調査で、気掛かりな
結果が出た。学校に行かない「不登校」の小中学生が、5年ぶりに増加に転
じたという。

 不登校は、病気や経済的な理由ではない年間30日以上の欠席と規定され
ている。その不登校が、2006年度は、前年度に比べ3.7%増加した。実に
12万6764人(小学生=2万3824人、中学生=10万2940人)もの児童・
生徒が長期間、「学びの場」「生活の場」としての学校に通うことができなかった。

 なかでも中学生は、生徒全体に占める不登校の割合が2.86%と過去最
高を記録した。35人に1人、つまり1クラスに1人は不登校の生徒がいるとい
うのだから深刻だ。

 中学生の不登校率は、約1%だった1991年度以降一貫して上昇し、2001
年度に2.81%とピークを迎えた後、緩やかな下降局面に入っていた。それが
今回、そのピーク時を上回る形で上昇に転じた。15年前に不登校が100人
に1人だったことを思えば、いかに不登校の割合が高いかが分かる。

 不登校になったきっかけはさまざまだ。同基本調査によれば、「非行など本人
に関わる問題」(31%)、「いじめを除く友人関係」(16%)、「親子関係」(9%)、
「学業の不振」(8%)、「いじめ」(3%)などが要因とされる。不登校の状態が続
いている理由は、「不安など情緒的混乱」(32%)、「無気力」(25%)の割合が
高い。

 原因が多岐にわたるだけに、不登校への対処も、一人一人の児童・生徒によ
って異なる。多様な問題を抱えた児童・生徒に応じたきめ細かな支援が必要に
なる。

 これまでも、スクールカウンセラーなどの専門家による指導をはじめ、不登校
問題に関する全教師の共通理解や、保健室などへの登校などの措置が再登
校に効果を発揮してきた。

 新たにスクールソーシャルワーカー(SSW)を学校や地域に配置することで、
不登校問題で成功した例もある。SSWは、子どもと一緒に考えながら学校や
親、地域などとの関係を調整し、非行や不登校、いじめなどの解決をめざす専
門家のことを言う。欧米を中心に多くの国で導入され、国内でも、大阪府など
採用する自治体が増えつつある。公明党もSSWの普及を後押ししてきた。

 フリースクールなど学校以外の子どもたちの“居場所”を確保することも欠か
せない。公明党は、フリースクールなどを活用した子どもたちが安心できる「ほ
っとステーション」の設置を提案している。ここに通えば、「授業出席」と認定す
るというものだ。

 今回の調査では、不登校のきっかけとしての割合は低かったが、いじめ問題
への取り組みに力を入れなければならないことは、言うまでもない。

原因の詳細な分析を

 不登校への対策が進められてきた中で、なぜ再び不登校の数が上昇したの
か。いじめ問題などで「無理をして学校に行く必要はない」との風潮が影響した
という指摘もあるが、文科省は詳細に原因を分析してもらいたい。

 不登校が12万人を超す危機的状況を打開するためには、実態に合った安心
のサポート態勢を整える必要がある。

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