廃棄物減量に一層の努力を

自治体間でコストに大きな差
初の総合的政策評価

 総務省が行ったリサイクル対策に関する初の総合的な政策評価によって、
天然資源の消費抑制、廃棄物の最終処分量(埋め立て量)減少などマクロ
な部分では、おおむね計画に沿った成果を上げているものの、廃棄物の排
出総量が一向に減らないなど、個々の分野では課題も多いことが明らかに
なった。

 特に、市区町村が実施主体となる一般廃棄物については、分別収集の対
象や分け方、その後の処理の方法、さらには処理・リサイクルにかかるコスト
など、自治体によってバラツキが大きい。収集の有料化だけではなく、地道
な住民への広報・教育活動を通して、減量・コスト減少に成功している自治
体がある一方で、手をこまぬいているところも多い。ごみの総量がなかなか
減らないことに、こうしたバラツキが影響していることは否めないだろう。なお
一層の努力を強く望みたい。

 この政策評価は、すべての中央省庁と規模別に抽出した565市区町村、
関連団体を対象に、2006年4月から7月にかけて調査が行われた。それに
よると、現状では(1)天然資源の資源生産性は目標値(2000年度の1トン
あたり28.1万円→10年度に約39万円)に向けて、2004年度33.6万円
と向上(2)廃棄物の埋め立て量は10年度の目標約2800万トンに向けて
2006年度2662万トンとすでに目標を達成――するなど順調に進展してい
る部分もある。

 一方で、(1)石油など化石燃料系や金属系資源の使用量が増加(2)廃棄
物の処理に起因する温室効果ガス排出量は1990年に比べ約30%増加
(3)家庭や事務所などから排出され市区町村が収集・処理する一般廃棄物
の排出総量は05年度5273万トンと、目標値を上回ったままほぼ横ばい―
―と課題も多いことを指摘している。

 また、市町村のごみ処理とリサイクルのコストが、最大で9倍近い差がある
(調査136市町村中最高が1トンあたり7万5390円、最低が8602円=
2004年度)ことも明らかになった。これを人口規模別の平均で見ると、人口
5万人未満の自治体が3万2000円台なのに対し、10万〜30万人の自治
体は2万5159円。しかし、3万〜5万人の市町村でも周辺自治体と一部事
務組合を設立し共同で行っている市町村は2万1285円と、単独で行ってい
るところの半分以下で済んでいる。

 ただ、規模が大きいほどコストが低いとも限らない。処理費用では人口10
万〜30万人、リサイクルコストでは30万〜50万人が最も低いことを考え合
わせると、ごみ処理の効率化には適正な規模があることをうかがわせる。

 全国の市区町村が一般廃棄物処理に要した経費は、2005年度2兆2243
億円に達し、微増傾向にある。コストにこれだけの差があることを考慮すれば、
効率化は可能であり、意欲を持って取り組むことが求められよう。

年度内に新基本計画

 循環型社会形成推進計画の今年度中の改訂に向け、中央環境審議会では
7月から、見直し作業が開始されている。リサイクルは、自治体だけではなく、
関連する家電、食品、建設、自動車、小売など幅広い業界の、積極的な取り
組みがあってこそ、目標達成が可能になる。こうした関連業界が製造・販売
した者としての責任を自覚して役割を十分に果たすこともまた、強く求めたい。

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