厨房における建設設備
特に給排気のコントロールについて |
一般にビルの厨房を見るとその作業環境が大変悪い。ヨーロッパのビル厨房と比べ日本の厨房が大変遅れている事情を見るにあたりなぜこうも大きな差があるのか一考してみる必要がある。もちろん文化・考え方も違うが、まず第一に日本は建築にあたり躯体工事と設備工事の重要性が逆転しているのではないか。躯体工事が主で設備工事が従であるような文化がある。その役割・割合は現在逆転しているにもかかわらず、である。又設備設計事務所は総合設計事務所の下請け的な位置付けとなっている。
一方厨房設計においても設備設計の一部として厨房機メーカーに下請け的に出されることが多い。
厨房は火を使用し、熱の発生源である。又厨房は本質的に製造工場・物作りの場である。このような条件の中、厨房をトータル的にエンジニアリングできる能力のある企業が日本では少ない。厨房メーカーは設備設計事務所より依頼されると機器の配置が主な仕事となる。しかし製造業である以上何をどの程度作るかがまず第一に考えるべき条件である。したがってその厨房で作られるメニューの頻度で厨房機器が決る。この場合厨房を使用するコック長等が厨房機メーカーに要望して図面に落し込むべきだが、設計図を書く仕事の手順としてコック長の意見を取り上げる場もなく、本来この人たちは技能者で技術者でないため作業動線・生産効率・作業環境を考察できないことが多い。情報の流れとしては、
コック長 施主 設計事務所 設備設計事務所
厨房メーカー
と、大変複雑で現場の意見がうまく伝えられない。ビルを建てる施主の予算とコック長が仕事をしやすい作業現場との間とどんなエンジニアリングが必要なのか解からなくなってしまっている。
その一つの例として、厨房の狭さ・夏場の暑さ・作業能率の低さ・衛生問題が発生する。
厨房で発生した蒸気1?捨てるのに周りの空気5?を一緒に捨て、ダクト内で結露しないようにする。そのため厨房は負圧となるので、ドア・窓よりフレッシュ空気が入ってくる。従ってその外気はホコリが多く、又夏場は35℃の大変暑い空気が入ってくる。厨房をいかにエアコンを効かせてもランニングコストばかりかかり大変なこととなる。
厨房をトータルエンジニアリングする事が私の研究テーマである。そのために私はオーナーとコック長からヒヤリングすることからスタートし、厨房で作られるメニューに合わせた設計を基に設計事務所・設備設計事務所が打合せを行うように努める必要がある。
一つの例として、厨房の床下排水と天井裏の配管・ダクトスペースを考えるとビルの一つの階が同一の高さでおさまらない事が多いが、その事を設計事務所に対していかに説得するかが私の仕事となる。 |
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