カットヤサイ

研究のいきさつ
厨房のHACCPを推進していくにあたり、従来の厨房施設をそのまま用いるとどうしても野菜等原料が汚れたまま厨房に搬入される。しかしながら、汚染区域を作りその中で原料を洗うということは、新しいスペースを作ることになるため難しい。
病院,学校の給食における多くの施設で、このような矛盾が見受けられる。
その解決策としてカットヤサイを購入することにより、よい衛生的な厨房にすることができる。平成10年秋に北ヨーロッパ―北欧の病院を視察した際、多くの施設がカットヤサイを購入して用いていた。日本でも今後こうなると思い、研究テーマとして取り上げることとした。
研究テーマ
イ) 現状の日本のカットヤサイ事情
コンシューマーは別として、日本では多くの場合、業務用カットヤサイを中小の企業が行っており、少量多品種で工業化されていない。
コスト的に余り付加価値のつかない仕事を如何にコマーシャルベースに乗せるかが問題である。
ロ) カットヤサイの日持、殺菌方法
平成11年春にアメリカフロリダのタンパで行われた、全米カットヤサイ展を見る機会があり、アメリカにおけるカットヤサイの技術の高さが解った。
しかし、殺菌においてはコバルト60や二酸化塩素を用いるなど、日本では許可されていない方法があり、日本なりの日持ち方法,殺菌方法を考える必要がある。
ハ) 殺菌剤としてはオゾン,発生期次亜塩素酸ナトリウム,酸性水等が考えられるが、これらの有効性を比較した。又、ヤサイ表面にこれらの殺菌剤を湿潤させるための界面活性剤の利用方法について関心がある。
ニ) カットヤサイに用いられる加工機械に関し、アメリカのように多量ではなく少量多品種を機械で如何に加工していくかが問題である。
ホ) カットヤサイ工場におけるヤサイクズの処理方法についての問題
ヘ) カットヤサイの変色防止と、処理水のFeイオンについて
業務用カットヤサイの流通について
業務用カットヤサイの流通はカットヤサイ単独で商売にすることは大変難しい。
その理由としては、
イ) 加工付加価値がつきにくい
ロ) ヤサイ相場は大きく変化するが、カットヤサイは一般的に生ヤサイほど変動相場性が低く、価値が固定化されやすい。その割に付加価値がつかず、販売価格を決めにくい
ということがある。
そのため、生鮮ヤサイとのセット販売をするなど、一考を必要とする。
これはカットフルーツについても同じことが言える。一つの方法として青果市場がカットヤサイを青果の直売ツールとして用いる方法が考えられる。
今後の業務用消費地型のカットヤサイの流通をスムースにする方法として
1) 農家・生産地農協・消費地市場・カットヤサイ工場がそれぞれ価格リスクに対してリスク分担を行う。
2) コンシューマカットヤサイ工場(例としてJA浅間のカットレタス)よりカットヤサイを仕入れて、それをベースに組み合わせる。リパックをする。
少量で仕入できないもののみ製造する。消費地カット工場はリパックをメインにする。