最近の栄養士の仕事 ―臨床栄養士―
病院の給食においてのキーマンは栄養士である。
栄養士の仕事は大きく分けて栄養管理と給食管理となる。
その2つの仕事をつなぎ合わせたアウトプットが献立表となって表される。
しかし、現実の多くの栄養士はアウトプットである献立を如何に立てるかをダイレクトに着手してしまい、迷路に入り込んでいるきらいがある。
栄養管理は臨床栄養に基づき行われ、栄養士は医師の書いたカルテを読み、検査センターが出した検査データを解析しなくてはならず、最近いわれている管理栄養士の上に臨床栄養士の資格が必要ではないかと言われている。
しかし、日本の栄養士制度は戦後の栄養不足を補うためからスタートしたもので、各種学校が主体となり文部省もそのカリキュラムの変更に着手していない。
栄養学の多くの先生は農学部出身の生化学者が多く、医学部も栄養学をあまり重要視していなかった経緯があり、医学部で栄養学専門コースを設けている大学機関は数少ない。
最近は免疫学の進化により栄養学も変って来ており、医師は病気を治すことはできるが、健康体になるのは人間の持っている自己免疫力によるところが大きく、そのためには口から摂取する食事が如何に大切かが言われ出した。
どんなにうまく配合した点滴液でも口から入る栄養には負けるということだ。
そんな意味で病院の栄養士がドクター・薬剤師・検査技師・看護婦とチーム医療者の一メンバーとなるには、栄養から見た治療の方法についてもっと専門的知識が必要ではないだろうか。
自分なりの栄養に対する考え方やポリシーを持つこと、又、患者が今何を望んでいるのか何を食したら元気になるのか個人個人への対応を考える能力を持つことも必要である。
個人個人への対応はスポーツ医学の栄養士が一番最たるもので、一番高給取りである。
臨床栄養士の資格も含め、今後の栄養士像を考えるにあたり、ただ栄養があるので献立を立てたというようなレベルの栄養士では、チーム医療の一員として参加できないのではないか。
医者に一目置かれるような臨床栄養士の出現を待ちたい。