T.フーズテクノエコノミーの工場管理に対するスタンス・役割
私は20年以上食品工場で、特に複雑系である冷凍食品の製造に携わり、且つ10年以上の期間200人近くの人を使い、40億近い生産高の工場の社長を経験しました。 その経験からすると、本来食品工場に限らずどんな製造工場でも工場に求められる要求は「納期を守る」・「コストの低減」・「品質の向上」です。どの項目を欠いても製造工場としては成立致しません。近年食品工場においてもISO9000S、及びHACCPが求められていますが、これらも品質管理の延長線上にある要素であり、品質向上の一環としての位置付けです。品質管理がベースとなる考え方は、その会社が顧客にどのような品質を保証するのかであります。従って顧客との信頼関係をどう維持するのかに繋がります。当然自主的にその品質を常に向上することであり、それにより多くの顧客の獲得に努めることが企業としては求められます。 私の工場コンサルタントの手法は、まず「品質管理」からスタートし、「品質管理」から「品質向上」へ、そして「コスト低減」、又「納期を守る」ことから「納期の短縮」を目指します。これら一連の活動のスタートである「品質を如何に管理するのか」が一番工場のベーシックな事となると考えています。 工場の「品質管理」を向上させる為には、先ず工場の5S「整理」・「整頓」・ 「清潔」・「清掃」・「躾」の実行、そして次に社員自らが作ったルールを本人達が守る「自主管理」が求められます。これらの「5S」・「自主管理」が出来て初めて、「品質管理」が出来、「品質管理」の完成を待ってHACCP・ISO9000S・PL法と進んでくると私は考えており、そのステップを決して飛ばして進むことは意味がないと確信しております。(*注1参照)U. フーズテクノエコノミーの工場建設に関するスキーム・手法
私は今まで自分の会社,及びコンサルトとして数多くの工場建設に携わってきました。工場建設には多くのスタッフの方達が携われることとなります。 例えば「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」,「機械メーカー・設備会社」等があります。私は個人会社なので、これらの仕事全てを自分一人で抱え込むことは出来ません。上記の方々とタイアップし、工場経営者の立場で施主側に立ち、施主様をサポートし、建設に携われる方々へ工場完成後の運営を考え、アドバイスする立場にあります。それは決して私が「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」,「機械メーカー・設備会社」に取って代わるのではなく、工場完成後の工場を如何にスムーズに運営できるかを考え、私の今まで経験してきた事を参考にして頂ければ幸いと考えております (*注2参照)
一般的に申し上げて、大手ゼネコン・エンジニアリング会社は組織的に動いておられ、高い技術を持っているところが多いですが、一方で大手ゼネコンと 言えども、食品HACCP担当者で実際工場建設のスキルのある人材は2〜3人に限られることも多いのです。貴社の工場現場にそのような経験のある方が担当し現場監督して頂ける事は望ましい事ですが、大手の組織になればなるほど組織の理論で難しいと思われますし、保証もありません。又これらのスキルを持った技術集団は技術部門に所属し、実際工事が始まると営業部門が表に出てきますので、それら技術者の方の意見が中々反映されません。エンジニアリング会社,設計事務所でも同じ事が言えます。私の考えは大手の会社と付き合うには、その会社の誰を全面に出して頂けるか、現在は会社の規模ではなく個人を指名する時代だと思っています。とは申し上げても私は個人会社なので一人では何も出来ませんし、ギャランティーする事も難しい面が多いのです。従って、今までしてきた事例では数多くの「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」,「機械メーカー・設備会社」と協力し、施主である社長のアドバイザー≠ニしてこれらの会社との交渉役を担い、且つ仕事をさせて来て頂いております。従って、私の会社は施主様より僅かですがコンサルタントフィーを頂き、施主側に立って仕事を致します。このようなスタイルの会社は欧米では一般化しており、先日ご紹介致しました「セールコンエンジニアリンググループ」は正にそのような主旨で作られたグループであり、私の長年の考え方に合致していた為、私も参加させて頂いております。
工場建設は施主様にとって、多くの場合一生の間そんなに数多く発注される機会はなく、30年の間に精々2〜3回の事と思います。現在世の中はローコストオペレーションが謳われています。正に如何にローコストで内容的に高品質な工場を新築,改築するかが重要な事となります。往々にして工場は安く完成できたが、外観は素晴らしくとも5年も使用すると天井裏でスチーム漏れをする,エアコンの修理がしにくい,床が剥がれる等々、多くの問題が発生している工場も現にあります。今一般住宅でも10年保証の時代です。
我々グループの営業スタンスは工場完成後に工場のアフターフォローとしてのコンサルをする事により、お客様に満足して頂き、ひいては施主様より同業者,知人に宣伝して頂ければ幸いに存じ、そのような考えで仕事をしてきています。
V. 「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」
とのコンセプトの違い
@ 我々はお客様である施主が、会社経営の上で工場をどんな戦力的位置に置いて居られるのかのヒアリングから始めます。失礼な言い方とは思いますが、偶にお客様は工場を建てる事が目的となり、夢ばかり追われるケースも見受けられます。工場建設は食品会社の経営の一つの手段です。問題は工場が完成し工場が実際に稼動した時、当初の目的通り工場が操業されているかにかかっています。従って工場建設前のコンセプト・目的・完成後の姿・そしてそうなる為の手段までブレークダウンした計画をしっかり作るお手伝いを致します。
A 工場運営の要は人事管理です。特に食品工場の運営は会社経営というより、「人事経営」と言っても過言ではありません。
工場建屋は35年,建築設備(空調・ガス・水道・電気)は15年,生産機械は9年と償却は決まっていますが、機械一つとっても耐用年数まではとても持ちませんし、又製造する商品も時代と共に変って来ます。
本来工場は生産設備ですから、如何にローコストに建築し早く償却するかが問われています。我々はお客様の立場で将来の商売を考慮したローコストの工場作りのアドバイスを致します。C 工場を生産拠点作りから営業戦略に活用する
最近のバイヤーの品質管理担当者は相当レベルが高い傾向にあります。品質にも重点を置いているユーザーは価格のみを言うユーザーよりも伸びています。ユーザーに気に入って頂く工場を如何にローコストで建設するかが問題とされています。従って、工場も営業として大いに活用すべきです。どんな工場を作ったらより安くなり、且つユーザーのバイヤーに如何に気に入って頂けるかが大きな視点となります。D 「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」共、 出来上がった工事高で収入,利益が異なります。我々は仕事の内容・深さ・期間でコンサルタントフィーを頂きます。我々はあくまでも施主様にとって如何にトータル的なコストダウンが出来るかにより収入が異なると言っても 過言ではありません。施主様に代わり、コストカッターとしての仕事も致します。
W. 「設計事務所」,「建設工事会社・ゼネコン」,「エンジニアリング会社」
との協力体制
@ 設計事務所
できるだけ地元の設計事務所の方を起用して頂いた方が施主様に対しても我々とも接触しやすく、何時でも(週に2回位)打合せできます。我々の持っている食品工場特有のノウハウを設計事務所に提案出来ます。
A 建設会社・ゼネコン
建設会社は地元業者と全国的なゼネコンとのJVが望ましいと思います。
アフターフォローでは地元の業者、コスト的にはゼネコンが有利と思われます。食品工場特有の細かい施工図に関しては我々がゼネコンにアドバイスもできますし、特に床等の施工管理・給排気の施工方法についてアドバイスできます。我々にとって一番近いところで仕事して頂ける最大のパートナーですが、エンジニアリング会社は其々得意分野があります。食品会社は味噌・醤油から、水産会社の中でも例えばイクラ工場等、又惣菜工場でもコンビニベンダーから事業所弁当にまで広く、エンジニアリング会社の得意分野以外の所で私共は専門チームを紹介し、サポートさせて頂きます。
我々はそのエンジニアリング会社が施主に対し、具体的にどんな内容の
エンジニアリングをされるのか、どんなスキルを持って当たられるのか、