バカ漫画 其之四拾七
「牙戦(きばせん)
〔小学館・週刊少年サンデー〕
(1975年第2〜7号 遭遇編
作・滝沢解
画・あだち充
 実写版『タッチ』公開、おめでとうございます。
 …というわけで、あだち充先生、ならびにファンの方々には先に謝罪しておきます。
ホンマ申し訳ありませんm(_ _)m
                                                  (土下座)
いや、まさか…まさかですよ。 当時まだデビュー2年とちょっとはいえ、
あのあだち先生がこんなに凄まじくトンデモない漫画を描いているとは……読んで愕然としました。
はっきり言って、我が目を疑いました。気分はちょっとした松田優作でした。
…が、原作者を見てその謎も氷解。原作は、かの滝沢解先生です。
うちのバカ漫画第6回の『魔女料理(画・川崎三枝子)で採り上げましたが覚えてますかね。

 今回紹介しますバカ漫画『牙戦(きばせん)は、
週刊少年サンデー1975年(昭和50年)第2号から33号まで、計32回の長きにわたって
連載された熱血少年野球漫画です。自信ないけど、多分そうだと思います。え、違う?

内容について触れる前に、この作品が連載された当時の状況を説明しておきますと。
当時はオイルショック影響下。雑誌も薄くなり、確実に売上の見込める作品しか単行本化されなくなりました。
現在発売されているの質の良い本と異なり、当時の本のカバーにはビニールコーティングすらされておりません。
良く言えばデリケート、悪く言えば非常に脆く、異様に破れ易いカバーの単行本が出回った時期です。
この作品も、連載にして32回、最低4巻以上になるだけの分量がありながら、当時は単行本化されておりません。
その打ち切りっぽい終わり方から推察するに、単行本化するメリットはないと小学館サイドが考えたのでしょう。

 しかし現在、あだち充先生といえば、炎尾燃のアシスタントも涙するビッグネーム(『燃えよペン』第8話参照)。
氏の作品が次々とアニメ化され、更には『H2』『タッチ』と映画化され、初期作品が続々と復刻・単行本化されている中、
何故かこの
あだち充初期最大の長期連載作品だけは復刻もされず、話題にすら一切上っておりません。
 やはり、本人が嫌がっているのだと思われます。推測ですが。 間違っていたら、あだち先生ホントごめんなさい
 ただ…気持ちは良ぉく分かります。 誰しも抹殺したい過去はありますから。
こんなトンデモ作品なんて、記憶の片隅に永久に封殺しておきたい。その気持ちはよく分かります。
                                   よく分かりますが…………そうはいかん。


 さて、前置きが長くなりまして申し訳ありません。では、一発レビューかましてみましょう。
  『牙戦(きばせん)(熱血編)の開幕でございます。
    

          主人公   〔きば〕林太郎
特徴 眉毛…太し 目つき・口調・頭…共に悪し 反抗心…強し 金銭欲…強し(訳あり)
    才能…抜群らしい 野性味…強し(元・石井いさみ先生のアシ 行動…身勝手、支離滅裂

週刊少年サンデー1975年
第2号 3/4合併号 第5号
第6号 第7号 第8号以降
熱血編

1975年第2号

アオリ
空をおおうスモッグ、ひしめく家並み
……東京―下町!!
そこに、野球に青春をかけた男がいた!!
東京――下町。舞台はゴミゴミした建物が立ち並ぶ中。悪ガキたちの囃す声が聞こえる
 「いいぞォ、ーっ!!」「やれやれ、やっちまえーっ!!」「コラッ工員!! 打てるもんなら打ってみろい!!」

この漫画の主人公・牙林太郎の全力投球に空を切る工員のバット。
工員相手に、空振り一回百円、逆にバットに当たれば五百円バックの賭けをしているのだ。
野球をギャンブルの道具として利用する牙くん。なかなかの外道です。こんな外道が主人公。
そんな威勢のよいを凝視する 
いかにも悪役面の男がいた。 
それが、こいつ→
「野球はバクチとは違うんだ!! 
牙とやら……」
 
男は工員からバットをもぎとり、宣言する。 
「一万円だ!!」 

桁違いの金額に唖然・呆然とする一同。 
「ただし、ヒヨッコの使うお手玉じゃない!!」 
と、男が取り出したのは、……硬球!!
 「よかろう、一万だ!!  
さっさと構えやがれ!!」
 
左打席に立ち、構える謎の男。その構えには、風格さえみなぎる。
 「いくぜっ!!」  ビッ!!  カキーン!!            ………ガシャン 
牙の渾身のストレートを、男はジャストミート!!。 遥か遠くの工場の窓ガラスが割れる。
男 「これでヤメとこうか? それとも…… どうする? ただし、今度は五万だ!!」
 「よ――し、やったろうじゃねえか!!」  絶対にこいつ、ギャンブルで身を滅ぼす性質(たち)ですな。
あわてて制止しようとする工員たち。 だがそこで、一人の子供が囃したてる
    「てやんでぇ、今のはまぐれよ!! 牙っ、今度こそホエヅラかかせてやれ――っ!!」
野次った子供をキッ!!と睨む謎の男。 再び投球モーションに入る牙
直後、男はスタンスを変え、カキーン!! 直後… 
 「うぎゃあーっ!!!」 硬球が子供に直撃!! もちろん故意!!
 「うわあああっ!!」 七転八倒する子供。慌てて駆け寄る子供と工員たち。
「ど、どこにあたった!?」「目だよ!!」「い、いや。だ!!」歯が全部折れちまってる!!
                                    (↑む…惨い!! 惨すぎる!!)
大騒ぎの中、平然と帰ろうとする男を呼び止める牙。に染まった硬球を拾い、
 「まだ借りを返しちゃいねえんだ!!  一球、十万だ!!   「いくぜっ!!」
牙の投球に、今度は男が「!!」 顔面狙い!! かろうじてかわすが、しかしスイングは止まらず。
 立ち上がろうとする男の手を踏みつけ、牙曰く。「たしかにバットはまわってたよな!!」 
  「負けが六万、勝ちが十万!! 差し引き四万、払ってもらおうか!!」
                                  ↑まさに外道!! by漫☆画太郎先生)



………場面変わり、古ぼけた長屋へ入っていく牙。なにやら書いた紙を手にしている。
部屋の中には一升瓶が転がり、明らかに泥酔状態の荒んだ男が眠っている。

 「おう父ちゃん、今日はな、い〜〜い知らせ持ってきたんだぜ!! (中略)金四万円也!!
   分かるか、父ちゃん!! 
金四万円也!! 今夜八時、まちがいなく支払います!!
   
東京都世田谷区神山町13。一乗寺蘭……と!!   どうだい、父ちゃん」
その名に心当たりがあるのか、ピクッと反応する父ちゃん。一乗寺……だと!?」
それに気づかず、金を受け取りに出ようとする牙。……と、その前に、山口百恵のポスターにチュッ(←バカだ)
 「待ってなよ百恵、酒買ってくっかんな!! それも、とびっきり上等のやつをよ!!」
外に駆け出す牙。父ちゃん止めようとするが、泥酔のため体が動かず。呂律も回らず。
父 「り、林太郎…… そ、そこだけは…… い、いっちゃいけねえ……」



指定された住所を探す牙。そこは超高級住宅街
騙されたと思い帰ろうとした直後、「一乗寺」と書かれた表札が。
そこは、分かり易い超豪邸。門が勝手に開き、門番が出迎える。

唖然としながら中に入り、玄関に向かう牙。
うろうろしながら玄関を探していると、彼に声をかける者がいる
 「よくきたな、牙……待ってたぜ!!」
そこには、あの謎の男 一乗寺蘭と並んで、
一人の可憐な美少女が待ちかまえていた。   こちらです→
その美少女(この漫画のヒロイン)は牙の身なりを見て吐き捨てるように言った。
  「こいつね、あなたがいってた
      
フケツなやつって……」
                   (あだち充作品のヒロインの初台詞とは到底思えません)



これで第一話・完。 最初の話だからあまりツッ込まなかったんだけど、
結構、すごい話でしょ?(笑) いたいけな子供の歯をぶち折ったりとか。
でも実はこの作品。 まだまだ全然真価を発揮してないのですよ(笑)。
この漫画のバカっぷりは、先に進むにつれ、徐々に明らかに…てゆうか嫌になるほどエスカレート
唖然とする読者の顔が今から想像できて楽しみです。請う、ご期待あれ。第二話(3/4合併号)に続く。

 「殺気をはらんでみつめあう三人!! 一乗寺蘭が、牙に近づいた目的は!? 早くも盛りあがる次号!!」





1975年3/4合併号

アオリ↓
野球のかけで勝った四万円をうけとりに、
一乗寺邸へきた牙!!
殺気をはらむ、三人の出会い!!

扉を開けたそこは、分かりやすい金持ちの豪邸訪問。天井には当然のようにシャンデリア
                                   おぉ、甲冑があるぞ。甲冑が(笑)
牙を見つつ、ニヤニヤとほくそ笑む二人。それ見てキレる牙
 「もったいつけんじゃねえっ!! バカ野郎!!  とっととださねえか、四万!!
   こんなおっそろしいお屋敷に住む野郎だ、ねえとは言わせねえぜ!!」

少女から金を受け取る一乗寺蘭少女(ヒロイン)の名は、「香(かおり)というらしい。
金を手にした蘭、それを空中に無造作に放り投げる 「ほしけりゃ、拾え!!」
                                         (
無礼者!!まさに、絵に描いたような無礼者
しかし、ボールの直撃喰らって入院した子供や、酒を欲しがる父親を考え、平然を装い金を拾う牙。

 「まるで、ドブネズミね……」 
 「いや、シラミだ!! ゴミだめにわくウジムシ野郎だ!!」
             酷い。酷すぎる。あだち充先生の作品で、ここまで主人公がボロクソに言われる漫画、見たことない。
黙って金を拾う。しかし、最後の一枚はなんと半分しかない。(注・銀行で換えてもらえます)

その一万円の半分を見せびらかし、香はタカビーに言う
 「そう簡単にはもらえなくてよ」 といいつつ、片足を差し出し
   「ほら見て!! わたしのクツ、ずいぶん汚れちゃってると思わない!!」
 「それが、どうした!!」  そして飛び出す衝撃発言
←ドッカーン!!!


なめるのよ!!
 あなたの舌で
 きれいにみがいてちょうだい!!」



マ…マニアックすぎるぞ(爆!!
 主人公に「足を舐めろ」と、のたまう女王様ヒロイン
過去・現在通して、あだち充先生の作品で、
ここまで
マニアックなヒロインって、存在しただろうか(反語)。

激怒し、もはや女とか関係なしに殴りかかろうとする牙(そりゃそうだ)
しかし、彼の周りをユニフォーム姿の人相の悪い者たちがとり囲む。
 「野球バクチで金を手にするウジ虫野郎!!  リトルリーグの頃からすでに金を賭け、
  ジャッカルズのエースだったおまえがチームを追放されたのも、確かそのためだったな!!」

忌まわしい過去をえぐり出され、愕然とする牙。ユニフォーム姿の悪人面たちが囃したてる。
 「とぼけたってムダだぜ!! 蘭ぼっちゃまは、きさまのことを一から十まで調べ上げていなさるんだ!!」
 「なんのため……だ!?  言えっ!! なぜ、おれのことを!?」
 「まず、おまえがなぜ栄光を捨ててきたならしいウジ虫になりさがったか……その理由からだ!!」
指を、パチンと鳴らす蘭。「引きずりだせっ!!」 ドアが開き、そこに引きずり出されたのは……
                    こちら↓↓

そこには、ただただ「酒くれえ…」と連呼する
牙の父ちゃんの、見るも無残なボロキレのような姿が。

 「これがその理由だ!! おまえはガキの頃から、
   父親を養わなきゃならなかった!!
   見ろよっ!! それでも人間か!?
   酒がきれると見るも哀れな禁断症状に陥る!!
   みごとなアル中さ!!」


見事なアル中患者こちら→

 「さあ牙、どうした!? 考えることはないはず
   早く
女のクツをなめて、その金で
   あわれなおやじに酒を買ってやれよ!!」


 「フフフ……」
 一乗寺蘭……きさまの目的はなんだっ!?」
 「おまえのうすぎたない過去を金で買う!! それが目的だ!!」

 一乗寺蘭の衝撃発言。彼の真意は一体何か!? そしての選択は!? 笑撃の第三話を待て!!
  「次々にあかされる牙の過去!! その過去を金で買うとは!? 追いつめられた牙はどうする!?」





1975年5号

アオリ↓
牙!の過去を金で買う…!?
の正体は!?
 「おれの過去を金で買うとは……!? どういうことだ!?」
 「牙、きさまに見せたいものがある!! ついて来い!!  香………クツはあとまわしだ!!」
 「フフフ……なめなくてすんで、よかったわね」        父ちゃん「さ……酒……」

扉の前に案内する。彼が扉を開けると、そこは…………地下野球場だった!!
そこでは、黒いユニフォームの者たちが練習に励んでいた。
扉の向こうは地下野球場東京都世田谷区の地下に、こんな笑える建造物があったとは。
権利関係がどうなっていたのか、非常に気になるところです。やはり、金で黙らせたんでしょうか。
それ以前に、
どうして地上で練習しないのかが最大の謎といえば謎です。

 「ば、ばかな!?」  「くそっ、なんて屋敷だ!! 家の中にグラウンドがありやがる……」
そこへ、監督が揉み手をしながら登場。(…てゆうか、この人。どんなシーンでも常に揉み手しとるんだが)
監督 ようこそ、わが秀和学院秘密グラウンドへ!!」
 秀和学院!?  春の選抜,優勝候補のあの秀和学院……か!?」
監督 「ハイです!! 蘭ぼっちゃまは、一年生にして秀和チーム
     キャプテン・四番打者でいらっしゃるのですよ!!」
 ベタベタな誉め讃え方
 「牙よ……きたる春の選抜だが、秀和(うち)は優勝候補ではないぞ……
    優勝決定だ!!
 ←まだ戦ってもないのに優勝決定宣言。こいつも大バカだ!!
監督 「ごらんなさいよ、牙くん!! 練習にはげんでる選手諸君を!! だれ一人をとりましても一流中の一流!!
    ぼっちゃまのオメガネにかなった者だけを、日本全国からえりすぐってあるのですからねえ!!
    したがって、他校にいるのはクズばっかし!! これなら優勝しない方がおかしいでしょ!! ハハハ」

                          おぉ、いかにも悪党らしい手段だ。ナベツネのルーツここにあり。
 「牙!! きさまも確か中学三年!! 今年は高校入学のはずだったな!!
   ところが、あの飲んだくれのアル中おやじをかかえては高校へはいけない!!
   泣く泣く町工場へ就職をきめた……そうだったな!!」

   「そこでだ!! どうだ、もしも秀和へ入れるとなったら……どうだ牙!?
   きさまは野球……アル中のおやじは、とびきり上等の酒にありつけるってわけだ!!」

監督 「どうです牙君、夢のようでしょう!! 答えはもちろん……はい! でしょうな!?」

監督の手をバッ!! と振り払い、を睨む牙。そして、の方にツカツカと歩いていき……


↓↓↓超絶衝撃画像 ドーン!!!
こ…こいつ、ホントに
舐めやがんの(大爆!!


舐めてます♂

なんか、妙なエロティシズムを感じてしまうな。

ヒロインのクツを舐める主人公
こんな
マニアックなシーンが
あだち先生の作品に…
(以下略)


←驚愕。茫然自失の香ちゃん

その手から、一万円の半分をひったくる。

 「これがおれの返事よ!!」   これですね(笑)
えりぬきのチームだと!! 優勝決定だと!! ケッ、ヘドがでらあ!!
 きさまたちもきさまたちだぜ!! 
奴隷になって喜んでやがる!!
 おれが
クズなら、てめえらはなんだ!!」
 「蘭ぼっちゃまよォ!! てめえに金で買われるくれえなら、ノタレ死んでやらあっ!!」
         普通、プライドの高い人は、「クツを舐めるぐらいならノタレ死ぬ」とか言いそうですが。
         つまり牙の判断基準は、
「靴を舐める>ノタレ死ぬ>金で買われる」←こんな感じか。訳分からん。
扉を閉めて立ち去る牙。 取り残されると、秀和メンバーたち。

………………………扉を後ろ手に、ため息をつく牙。そこには、泥酔して横たわる父ちゃんの姿。
 「父ちゃん!! ほったらかしてごめんよ!! さっ、帰ろう」

父ちゃんを背負い、帰り道をいく林太郎。背中で父ちゃんがすすり泣く。
父ちゃん 「す、すまねえ林太郎……父ちゃんがいくじがねえばっかりに、
      おめえを高校にもあげてやれねえ………こ、こんな父ちゃんを許してくれよなあ……」

 「なに寝ごといってんだい!! 父ちゃんらしくもねえぜ!!」
父ちゃん 「おめえ、高校で野球やりたかったんだろ!?  甲子園で優勝するのが夢だって
      言ってたじゃねえか……おぼえてるぞ、父ちゃんは……」
  ………じゃあ、オマエ働けよ!!
 「野球!? 野球がどうしたってんだい!! てめえの家に秘密グラウンドを持ち、
   金にあかせてやるだけが野球なら……クソくらえだ!!」
 
        ↑いや、「それだけ」が野球じゃないと思うぞ。 てゆうか、あいつは例外中の例外だと、なぜ分からない?
   「父ちゃん、おいら二度とボールなんか握らねえよ!!」
そう言いながら、林太郎の両の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。感動のシーン!……無理。感動するの
 主人公がヒロインの靴を舐めるという女王様プレイ感動のシーンをご覧いただきました。
しかし、まだまだ驚くべき展開が待っております。更なるハードなプレイ感動のシーンをご期待あれ。

 「凍りつく星空の下をいく父と子!! 野球を愛しながら、野球を捨てる牙!! だが…!? まて次号!!」





1975年6号

アオリ↓
奴隷になるくらいなら、野球を捨てる!!
ウジ虫とののしられながらも
のさそいをけった!!
帰り道を歩く父と子。
父ちゃん 「林太郎、おめえは知るめいがな、一乗寺といやあ日本で五本の指に入る大金持ち……
       蘭は、そのセガレだ!! だからよ、屋敷の中にとてつもねえ秘密グラウンドを作ったり、
       全国から優秀選手を買い集めることなんざァ朝メシ前だ………」
       「……そこへいくと、おめえは悪い星の下に生まれちまったなあ……
       同じ野球をやろうにも、条件が違いすぎらあ……」
       
「こ、こんなコジ○おやじをもっちゃあなあ………」
 「もうよせよ、父ちゃん!! 父ちゃんはコ○キなんかじゃねえ!! 立派なおれの父ちゃんだ!!」
                                 ↑不適当な発言がございましたので、一部削除。

  「一条寺蘭がどうしたってんだ!! あんなのが野球なら……おれはもうしたかねえや!! 野球なんて」



 場面代わって、一乗寺邸内・秘密グラウンド。
 「牙林太郎……あの人、わたしのクツをなめた……!! そして…蘭に、はっきりいやだ…と言った!!
   あの蘭にむかって………それだけの勇気のあった人がほかにいて……?」

   「あの人はウジ虫なんかじゃない!!」

バシッ!! …香の持っていたクツ(林太郎の唾液付き)を叩き落とし、香をすごい形相で睨む蘭。
 「香!! 今、なんといった!?」
監督が揉み手しながら、なだめに入るが バキッ!! とぶっ飛ばされる。監督 「ひ――っ!!」
 「おれは、おまえに聞いているんだ!! 
   この一条寺家にひろわれて、今日までなに不自由なく育てられてきた香………おまえにだ!!」

 「そ、それとこれとは関係ないわ」
 「ある!!」
 「ないったら!! わたしにだって口をきく権利はあるはずよ!!」
 「ない!!」
バシ!!   香に平手打ちを喰らわす外道な蘭。呆然とする一同を尻目に、蘭は続ける
 「わかったか香!! おまえに口をきく権利などありはしない
   監督、それに選手であるお前たちもだ!! わかったか――っ!!」

監督はじめ秀和選手一同 「は、はい!!」
 「よし、投手どもはマウンドへ集合しろ!! 今日は気分がよくない!! 打つ……」
秀和投手陣の全力投球を、ことごとくジャストミートする蘭。 何も言わず立ち去る香。
 【牙がほしい!! やつさえ手にはいれば、こんなクズ投手ども、ただちにオハライ箱だ!!
   おれは、ほしい物は必ず手にいれる!! 牙、かくごしてまっていろよ!!】




 場面代わり、牙と父ちゃんの家(長屋)。表札には「牙剛作」の文字。
                    この飲んだくれのアル中親父、↑名前がようやく判明。
 林太郎が、稼いだ(?)金で買った酒(銘柄・大関)を差し出すも、バッ!! と、払い落とす父・剛作。
 「な、なにすんだよ、父ちゃん」
剛作 「そ、そんな目つきで見るんじゃねえ!! てめえ、おれをあわれんでやがるな!!」
 「あわれむ……!?」
剛作 「そ、そうよ!! 飲んだくれの一文無しで、セガレを高校にも入れてやれねえ、
    好きな野球すら満足にやらしてやれねえ お、おやじを…… て、てめえはあられんで
    やがるんだ!!  そうだろうが!!  だから恥をしのんで女のクツなんかなめて、銭を……
    そ、そんな酒……飲めるか飲めねえか……考えてみろいっ!!」

 「バッキャローだ!! 父ちゃんはよ!!」 背を向け、外に飛び出そうとする林太郎。
   「お、おいら……父ちゃんが好きだから…だから……それだけのことじゃねえか……それを……」
剛作 「待て、林太郎!! てめえ、おれの話も聞きやがれ!!」
 やなこった!! もう一ついっとくがな、クソったれおやじ!! おらァ高校へはいりてえなんて
   思っちゃいねえぞ!! 野球だってクソくらえだ!! ボールなんざァ、見たくもねえやっ!!」

そう言ってそとに飛び出す林太郎。残された父・剛作は、一人嘆き悲しむ
剛作 「バ……バカヤロー……おれだって、どんなにおまえのことが……  ちきしょうめ!!
で、大関の一升瓶をラッパ飲みする剛作。 って、また飲んだくれる親父。だからオマエ働けよ。



牙が飛び出した先は、陸橋の下だった。河原で一人つぶやく。
傍らの土管を転がすと、その中には、野球のグローブとボール、ユニフォーム、スパイクが。
 「おらァ…野球なんか……野球なんか…」 ユニフォームを抱きしめながら、一人涙する牙。

 「父ちゃん……父ちゃんが酒をはなせねえように……おいら、どうしてもこいつが……
   ほんというとな、父ちゃん。おれ一日一度は必ずここで練習してた。
   ハハハ……父ちゃんが
アル中なら、おれは野球中毒よ!!」
  ユニフォームに着替え、グローブをはめ、ボールを握りしめる牙


そして、陸橋の下で宣言する。
 「やいっ、蘭!! きさまがひけらかす
   大球場とはくらべものにならねえだろうが……
   ここが、おいらの秘密グラウンドだ!!」

   「見やがれ――っ!!」     →

対岸に向かってボールを投げる。
そのボールは………↓↓↓
↑陸橋の下を潜り抜け↑
↑対岸に当たって跳ね返り↑
再び陸橋の下を通って帰ってくる!!
ちょうど通りかかった香ちゃんが解説。
 「す、すごい!! ボールが正確にはねかえってきた!!
  対岸まで、
50メートル以上はあるってのに……!!」
                ・
                ・
                ・
                ・
                ・
 いやいやいやいや、絶対に無理(大爆!!

柳田理科雄怒り狂うぞ。多分、『巨人の星』アレをスケールアップしたつもりなんでしょう。
『巨人の星』も無茶ですが、これもそれに
輪をかけて無茶!てゆうか、無理! 不可能!
私の文系ガッチガチの脳味噌では物理的な説明はできないんで、すみませんが、
誰かこういう人類離れした芸当が可能となる、物理的条件を教えていただけませんでしょうか。
私ゃ、この陸橋の下の空間だけ、重力が非常に低かったのではないかと思うのですが(笑)
もしくは、電車の通過により陸橋の下が一時的に真空状態になり、空気抵抗が大幅に減少したとか
                                                 ………ダメですか?

 特訓を香に見られていたことに気付く牙。 またも超笑撃のシーンが待っている。次号を待て!!
 「闇を切りさいて、対岸からはねかえってきたボール!! すさまじい牙の猛特訓を目撃した香は…!?」





1975年7号

アオリ↓
深夜の堤防で見せた、
恐るべき
の実力!!
 「なにしにきやがった!! あん?もう一方のクツも、なめてほしいのか!?
…ふと気がつくと、香がクツをぬいで裸足になっている。
 「チッ!! なるほど、おれがなめたクツなんか、けがらわしくてはけねえってのか!!」
   うせろっ、スパイ野郎!! 帰って蘭ぼっちゃまに耳うちするがいい!!
   牙が、くせえドブ川相手に
気○がいみてえなまねして遊んでましたってな!!
 「き、聞いて……!! わたし、スパイなんかじゃ……」
 「おれに近づくな!! 香とかいったな……いいかっ、クツなめさせたからっていい気になるなよ!!
   銭がいるから……奴隷になるよりマシだから……
てめえのクツをなめたんだ!!  それだけよ!!」
……振り返る牙、ここで香ちゃん信じられない行動を……


超絶衝撃画像(Part.2) ドッカーン!!!
              ↓↓↓

今度は、ヒロイン
主人公
(スパイク)を舐める!!

舐めてます(Part.2)
うぉ!

主人公ヒロインが、お互いに
靴を舐めあう
ハードなプレイ!!
        
感動の名シーン!!!
何度も言いますが、あだち先生の
作品で、こんなマニアック(略)



 閑話休題。慌てて後ろに跳び退り、照れ隠しに、またも陸橋の下に全力投球する牙
 うおおお――っ!! 気持ちわりいっ!! はき気がすらあっ!!」
 「わたしも、そうだったわ……」

見つめあう二人。対岸にボールが跳ね返り、帰ってくる。背越しにボールをとる牙。
靴を舐めあった二人の、お互いの心が通い合う。
 「ふ…ふふふ……」    「フフフ……」



 そこへ突如、一陣の風!! 河原に現れたのは、一乗寺蘭秀和学院選手たち。
秀和学院選手たちは、香を取り押さえようとする。  「なにしやがる!!」
 「いや!!」  選手たちに抵抗する香。
 「蘭、てめえもしつこい野郎だな!! いやだといってるじゃねえか!!」
 「牙、でしゃばるんじゃねえ!! きさまには関係ねえといったろ!!  !!
 「だめだ!!蘭……てめえのおもいどおりにゃいかせねえ!!」

そこへ、秀和学院投手陣(オハライ箱候補)が登場する。
オハライ箱候補@ 「ずいぶんと威勢がいいじゃねえか!!……え!? イロ男……」
オハライ箱候補A 「蘭ぼっちゃまは、きさまの腕を買っているようだが………
              俺たちに言わせりゃ、たいしたことはねえ!!」

オハライ箱候補B 「そうよ!! きさまの秘密技ぐれえ、だれだってできらあな!!」

陸橋の下、対岸に全力投球する三人のオハライ箱候補者たち。
しかし@Aの球は対岸にすら届かず、Bがかろうじて届くが、跳ね返ったその場で水に落ちる。

 「ところで……その勝負、おれにもやらせてもらえるかな?」     「なに!?」
 「それができたら……香をつれて帰る!!!      「できなかったら……!?」
 「おれ達がひきあげよう!!」      「よし!!」

全員が固唾を呑んで見守る中、蘭はダイナミックなフォームで向こう岸へ全力投球!!
ボールは見事、対岸に当たり跳ね返ってくる…………しかし、蘭の手前で失速!! 川に落ちる

 「さあ、帰んな!!」
 「フフフ……ほれなおしたぜ、牙…… みんな、ひきあげるぞ!!」

 …と、帰ると見せかけ、蘭は足を止め、の出生の秘密をにバラすと告げる(や、約束は…?)
動揺する香。仕方なく、渋々一緒に帰ることに。涙ながらに蘭の後をついて行く。勝ち誇る蘭。
 「わかるか、!! これが本当の勝負なんだ!! (←そおかぁ??)
   きさまが得意がってるのは、ただの
ガキの遊び!! 負け犬の遠ぼえよ!!
   野球がやりたかったら、おれのチームへ入ることだ!! 
それ以外は野球じゃねえ!!
      すみません。 これが「本当の勝負」なら、別に野球である意味ないんじゃないかと。
      てゆうか、脅迫することが「野球」? それ以外は「野球」じゃない? どうも金持ちの考えること、理解不能です。


一人残される牙。球を握りしめ、咆哮する!! 「バッキャロ!! 死んじまえ!!」
そして彼は、ボールに誓うのだ。
 【見てろよ、蘭!! こうなったら意地でもやるぜ!! おれの野球をな!!
   そして、きっと……
きっと――きさまを、たたきのめしてやる!!
       えぇとですね……「二度とボールを握らない」って言ったのが、たった二週前。この話の時間にして約数時間。
       前文訂正。貧乏人の考えることも理解不能です。
単に、こいつらがバカなだけなのかもしれない。

あだち充作品にあるまじき罵詈雑言乱れ飛ぶ中、
主人公ヒロインが、お互いの靴を舐めあうという
ある意味、最高に
マニアックなシーン
お楽しみ頂きました。 次号から話は新展開。
熱血編
(別名「バカ野球編」)をお送りいたします。

 「おれは負けない!! 燃え上がる怒りに、ついに野球をする決意を固めた牙!! 次号より、新展開!!」

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