バカ漫画 其之弐拾九 | |
「牙戦(きばせん)」 〔小学館・週刊少年サンデー〕 (1975年第8〜19号 熱血編) 作・滝沢解 画・あだち充 |
今日が、実写版『タッチ』公開ですね。どうも、おめでとうございます。 …というわけで、あだち充先生、ならびにファンの方々、 改めて申し訳ありませんm(_ _)m (土下座) あだち充作品最強(最凶?)のマニアックなシーンを お目にかけちゃいましたが、ご安心ください。 もうあんなシーンはありません。残念とか言うな。 熱血編は、あだち先生得意の野球がメインです。 バカ野球ですが(笑)
アナウンス 「選手入場であります!! ごらんください!! 栄光の旗のもとに、……(略)……」 行進する球児たちのプラカードには、何故か学校名でなく地区名(「北関東」「神奈川」とか)が記載してあるのですが。 そして行進する。黒ずくめの異様な集団(ブラック球団とかブラックシャドウズ……じゃないよな)。 「東京」のプラカードを先頭に、一乗寺蘭率いる秀和学院が入場行進に登場!! 観客 「秀和学院の四番……いや、高校野球史上最高の強打者!! 黒の男、一乗寺蘭だ!!」 アナウンス 「スタンドをあっといわせ、相手チームのドギモを抜く黒のユニフォーム―― 投打に圧倒的な実力を誇ります秀和学院!! 早くも、敵をのんでいるようです!!」 「中でも、この春、最大の話題となったのは、主将・四番打者の一乗寺君で…… そのずばぬけた強打を封じることのできる投手は、いないとさえいわれ……」 場面変わって電気屋の店先。テレビに群がる野球ファン。牙と父ちゃん(剛作)が背後に立っている。 野球ファンたち 「いいぞォ、秀和!!」「東京代表たのむぜ!!」 剛作 「て、てやんでえ!! バカヤロー!! こ、ここにちゃーんといるじゃねえか!! その投手がよ!!」 一同 「はっははは」 剛作、笑われる。 剛作 「な、なんでえ!! なにがおかしい!! て、てめえらなにもしらねえくせに!!」 「やい、てめえら!! (中略) こ、ここにいるのは牙林太郎つうてな、おれのセガレなんだ!!」 「(中略) こいつが投げりゃ、一乗寺なんつうのはイチコロよ!!」 野球ファンたち 「だまれ、飲んだくれ!! そんなら、どうしてセガレは甲子園にいかねえんだ!?」 「バカヤロー!! セガレを高校にもあげられねえアル中おやじが、寝ごとこくんじゃねえ!!」 突き飛ばされ路上に転ぶ親父。振り返ると、林太郎はそんな(バカ)親父を恥じて帰ってしまった後。 剛作 「林太郎……み、見てろよ……ちきしょうめ…… おれだって…セガレを……高校へ…やるくれえのことは…… …… グ〜〜」 歩道でそのまま寝込むアル中親父。 いつもの河原で、いつものように一人嘆く牙。 牙 「なにが高校だ!! なにが野球だ!! 入学試験なんか、とっくに終わっちまったてのに…… いやだいやだ!! あ、あんな……あんな父ちゃん、死んじまえばいいんだあ!! ちきしょうちきしょぅ!! 母ちゃんがからだぶっこわして死んじまったのも父ちゃんのせいだ!! おれが野球できないのも、父ちゃんが悪いんだあ――っ!!」 そして、土管の中のユニフォーム、グラブ、ボール、スパイクを川に投げ捨てる。 牙 「さよなら、おれの命……」 流れゆく野球用具一式を見ながら、牙は誓うのだった 牙 「蘭……おれは絶対、てめえの思いどおりにゃならねえ!! きっぱり野球をあきらめてやる!!」 感動のシーン……のはずなんだが、ちょっと待て!! 先週号での牙くんの発言プレイバック!!
……で、今週は「きっぱり野球をあきらめてやる!!」 どうにも変わり身、早過ぎです。 ちなみに、更に一週間前には「おれはもうしたかねえや!! 野球なんて」 とか言ってるし。 野球をするのかあきらめるのか。いったい君、どっちやねん(笑) 野球用具一式も無事川底に沈み、立ち去ろうとしていた牙を、香が待っていた。
剛作 「す、すまねえ…林太郎… こんなおやじを持ったばかりに……(中略) ゆるせ、林太郎!! 今のおれにできることは…たったひとつしかねえ…… 消えてなくなるこった!!」 天井を見上げる剛作。そこには、すでに首吊りの縄が用意してあり…… 剛作 「そ、それが……ち、父親として…せめてもの……!!」……もはや覚悟を決めてるようだ!! 場面変わって、河原で向かい合う牙と香。学生証を手に、呆然とつぶやく林太郎。 牙 「竜…谷高校第一学年……牙林太郎……!? 信じられねえ!! まるで魔法にかかったみてえだ!!」 香 「でも現実よ!! 牙、あなたは竜谷高校にはいったのよ!!」 牙 「香……だったな、あんたが手続きを!? なぜ!? なぜ、おれのために……!?」 香 「あなたのためだけじゃないわ…… わたしのためにも……」 「一乗寺蘭………!! わたしはあの人の奴隷だった…… あの雪の夜…… 名もない赤ん坊だったわたしが…… 一乗寺家に拾われたあの夜から今日までずっと…… もちろん、彼はすごいわ!! 天才的な打者で、大金持ちのぼっちゃん!! 自分にできないことなどないと思っている王様よ!! まわりの人は、みんな奴隷!! つまり香ちゃん。女王様だったと思いきや、実は奴隷だったらしいです。 香 「そんな彼の鼻っ柱をたたき折ってやりたいのよ!! でも……女のわたしではとうていムリ…… 牙!! あなたならできるわ!! お願いよ牙、蘭に勝って!! 彼をぶちのめしてほしいのよ!! それには、まず竜谷へ入ること!! 蘭と同じ高校生として、堂々と勝負するのよ!! ね、牙!! 戦って!! わたしのためにも!!」 興奮した香ちゃん。牙の両腕を掴み、熱弁を振るう。考えてみたら、かなり自分勝手なこと言っておるのですが。 牙 「わ、わかったよ!! わかったから、手……手を離してくれ!!」 見つめあう二人。しかし、残念ながら今度はマニアックな展開にはならず。(ちっ) 照れ隠しも手伝って河原にダッシュする牙。そして、河原に向かって吼える。 牙 「うおおおおおおおおお……」 再び野球を続けることができるのだ。喜び勇んで帰ってきた林太郎を待っていたものは……
こういう優柔不断というか支離滅裂というか、ヘンテコな行動は血筋というヤツでしょうか。 泥酔してダウンした父親に毛布をかけ、肝心の竜谷高校を訪ねに外出する牙。 野球ができる嬉しさのあまり、走りながら人目を気にせず叫び続ける。 牙 「うおおお――っ!! 高校だ高校だあっ!! やい、みんな聞きやがれ――っ!! おいらは竜谷高校一年生だぞ――っ!! うおおおーっ!!」 近くを歩いていた女子学生が噂する 「ね、竜谷高校ってしってる?」 「さあ?」
牙 「こ、これが高校かよ…… 人をバカにしやがって…… やってらんねえや!!」 「おうっ!! ごめんよォ!!」 境内に勝手に入り込み、高々と呼ばわる牙。そこへ登場するはこの御方↓↓
しかし香ちゃん言うには、実はこの人、第10回甲子園大会で投手をやっていたらしい。 その時、優勝できなかった悔しさから、この人も自分の果たせなかった夢を牙に託したいんだと。 阿羅漢 「牙、おぬしならやれる!! 戦ってくれ、牙!! わしのために」 香 「そして、あたしのためにも!!」 二人揃って、かなり身勝手なことをぬかしておりますが、牙くんそれを了承。 阿羅漢 「それでよいのだ!! それでこそ牙である!!」 ……なんだかなぁ。 ちなみに香ちゃんも蘭の元を離れ、晴れて竜谷高校の一年生になったそうです。 いよいよ、竜谷高校野球部が始動開始。しかし言うまでもなく、野球は一人じゃ出来ません。
石松 「野球もな…… よろしくたのむぜ、牙……」 握手を求める石松に、またもブチキレる牙。 牙 「オンボログローブが一コと、メク●が一匹!! これで、どうやって野球やれってんだよ!!」 阿羅漢 「論より証拠じゃ、牙……ためしてみたらええ!!」 ボールを牙に渡す坊主。 牙林太郎 vs 熊尾石松 石松が懐から取りいだしたる伸縮自在の仕込杖。それをシャキンと伸ばしてバット代わりに構える。 初球 牙「どまん中だぜ!! なぜ打たねえ!?」 石松「牙よ……手かげんしなくてもいいんだぜ!!」 二球目 牙「ち、ちきしょう!! 打ってみやがれ!!」 石松「いいカーブだ……が、はずれてる!!」 三球目 牙「く…ゆるさねえっ!!」 石松「シュートか!!」 ジャストミート強烈なピッチャーライナー! 実は石松くん、アストロ超人・伊集院球三郎の如く、ボールの唸り・音で判断してたんだと。 牙 「すまねえ、石松……●クラだなんて言っちまって……」 石松 「忘れろよ……」 かくして、認め合った二人ガッチリ握手。 石松「やろうぜ、牙 !!」 牙「たのむぜ、石松 !!」 阿羅漢 「それでよい!! 力をあわせるのじゃ!! 敵はでかいぞ、牙 !!」 その頃、その肝心のでかい敵 は、甲子園大会準決勝の真っ只中。相手は関西商業。 スコアは八回終わって13-0のワンサイドゲーム。相手は未だセカンドを踏めず。 もはや勝利目前。守備から帰ったベンチの中で、一乗寺蘭に監督がゴマを摺る。肩をもむ。 監督 「さあさあ、あますところ九回のみ!! いよいよ決勝へ大進撃ですな!! いやあゴリッパゴリッパ!!」 〔中略〕 牙などというウジ虫野郎がいなくても、秀和は優勝まちがいなし!! ハハハハッ!! あのウジ虫め、竜谷高校なんぞというボロ学校へはいってどうする気だろう!? ハハハハ……」 それを聴いて驚愕する蘭。監督の胸ぐらをむんずと掴み、「牙が……高校へはいっただと?!」 監督 「そ、それから……香ちゃんも牙と同じ…竜谷高校へはいったそうです」 それ聴いて、完全にブチ切れた蘭。打席に向かう次打者に叫ぶ! 蘭 「岡田!! 打席にはいる必要はない!! もどってこい!!」 岡田 「えっ!? で、では代打を!?」 「ちがう!! みんな、荷物をまとめろ!!」 一同「!?」 「東京へ帰る !!」 一同(監督含)驚愕 !! 「し、試合放棄!?」(大
それはさて置き、竜谷高校では野球部が練習開始。只今、打撃練習中。 どういうわけか、いつの間にか9人メンバーが揃って守備についてますが、牙の打球はその頭上。 寺の境内を遥かに越えて大衆食堂のガラスを割る。 しかし、その打球をラーメン食いながら後ろ手でキャッチする 腹に据えかねたご近所の方々が乱入すると、中村阿羅漢少しも慌てず。その場に腰を下ろし 阿羅漢 「ハンニャ〜ハラハラミッダ〜ジ…カイクウドイッサイクウヤク……」 突如、お経唱えだす。 いやもう野球部のユニホーム、ボール、用具代で貯金スッカラカンなんで そんな有様を見て、牙の背後で部員の一人が吐き捨てる。「チェッ、これでも高校かよ!!」 ブチ切れた牙、そいつをぶん殴り、「おうっ、てめえ!! いやなら、出ていっていいんだぜ!!」 いや、オマエの打球がそもそもの原因なんだがな。 牙 「ラクラク選手になろうなんて調子のいいやつがいたら、今すぐこのユニホームを脱ぎやがれ!!」 部員 「ああ、やめてやらあ!! おい、みんな行こうぜ!! だれがこんなチンピラと野球するよ……」 口々にそう言ってユニホームを脱ぎだす部員たち。 着替えると、そいつら工員やらコックやら、普通の肉体労働者です。 「どうも話がうますぎると思ったぜ!! タダで高校いれてやるっていうから、きてみりゃよォ!!」 「ケッ、アバラ寺にメ●ラのコーチか!! 笑わせんじゃねえよ!!」 捨て台詞を残して去っていく。 どうにも、いろんな法律やら法令やらに違反している高校のようですよ>竜谷高校 しかし、そこに一人の若者が登場。大衆食堂で牙の打球をキャッチした
蘭 「牙よ、おれのことばをおぼえているか!? おれは完全に優勝するといったあの言葉を!? それは完全制覇!! 日本中どこにもおれに反抗する者のないことを意味する!! だから牙よ、きさまをぶちのめす!! 甲子園優勝は、それからだ!!」 「甲子園優勝した後で、牙をぶちのめす」 という、至極まっとうな選択肢はなかったんでしょうか。 かくして、熱血編の最大の見せ場、バカ野球がスタート。括目して待て。いやマジで。 アオリ 「秀和対竜谷!! 死闘開始の次号」
香 「牙、あたしもやるわ !!」 阿羅漢 「わしもやる !!」 ……かくして急遽、部員が二人増えました。 野球部員4人目 一乗寺香ちゃん 野球部員5人目 中村阿羅漢和尚 秀和学院野球部一同 「ハッハハハ!! 女とヨボヨボ坊主か!! こいつぁおもしれえや!!」 蘭 「よかろう!! 何人いようと知ったことではない。 だが牙、あらかじめ言っておく !! きさまらが二度と立ちあがれなくなるまでやる!! つまり、死ぬまでだ !! これってまさに、ルール無用・時間無制限のデスマッチ!! でもそれ、どちらかといえば野球じゃなくてプロレスのキャッチフレーズじゃないかと思うのですが。 あまりの無茶な提案に、激怒する牙(珍しく常識人)。しかし、それを止める石松と忠太郎。 石松 「このまま引き下がったら、永久にのし上がれやしないぞ!! 勝つ!! 必ず勝つ!! そう信じてやるしかないんだ!!」 忠太郎 「それだわさ!! それが男の生きる道だわさ!!」 決意する牙 「よし!! やろうじゃねえか!! 殺るか、殺られるかだ !!」 まずは、攻撃順を決めることに。 牙「よっしゃあ、ジャンケンだ!!」 石松「だめだ!!」 石松 「先攻をとるんだよ、絶対に!! わかるだろ!! 守ったら……終わりだぜ !!」 (牙と忠太郎のバッテリー除くと、守備が3人しかいないので。しかも、うち2人は女とヨボヨボ坊主) 牙 「……… わかったぜ、石松!!」 「蘭よ、この試合にルールはねえ !! たしか、そういったな? 先攻は………なぐりあいで決めようじゃねえかっ !!」 さすがルール無用のデスマッチ!! 攻撃順を決めるのに殴り合い。 その先攻・後攻を決定する殴り合い。竜谷高校代表として、忠太郎が出ることに。
そして、いよいよ竜谷高校の先攻で試合開始。 石松 「牙、おまえ打て!!」 牙 「えっ、おれ一番かよ!?」 「まだ分からないのか!! この試合にルールはないんだ!! 一番も二番もない!! おまえだけが、何度でも打つ!! だが、打ったら必ずホームへ帰ってこい!! どんなことをしてもだ!! 牙が疲れたら、忠太郎が交代する!! ただし、どんなことがあってもアウトはとられるな!! なぜなら、チェンジになり守りにつく時が我々の終わりだからだ!!」 (バッテリー除くと守備が3人しかいない。うち2人は女とヨボヨボ坊主。全員三振に取れば問題ないと思いますが) 石松 「いけっ、牙!! あの投手がノンビリと規定球を投げている今だ!! プレーボールもなにもない!! 戦いは、もう始まっているんだ!!」
観客 「一塁打を力づくで本塁打にしちまった!! こんなすさまじい試合、初めて見たぜ」 「まるで、アメリカンフットボールだ!!」 ……いいや。これ、プロレスだと思いますw。 牙 「ルール無用とぬかしたのは、蘭っ、貴様だぜ!! 今さら文句はねえだろうな!! 徹底的にぶちのめしてやる!! 死ぬのは貴様らだ!!」 ……もはや、どちらが悪役なんだか。 蘭 「使いものにならんやつらに用はない!! かたづけろ!!」 ぶっ倒れている選手(バカ野球と牙と蘭の被害者)たちが、粛々と運び出される。 そうとは知らない竜谷 あまりの残虐な牙のプレーに激怒した秀和学院投手・安岡くんの次の球は……… 安岡 「フフフ……牙よ、おまえに………おれのとっておきのボールを………投げてやるぜっ!! くらえ―――っ!!」 忠太郎石松阿羅漢香「ビーンボール!!」
アオリ 「うなりをあげて迫る、殺人ビーンボール!! 避けることもできず、絶体絶命の牙は!?」 メリケン・ジャック 「な、なんてことを……!!」 牙 「な、なぜなんだ!? 忠太郎……立て!! 立つんだあ――っ!!」 アオリ 「背中の傷をえぐる、非情な蘭のタッチ!! 吹き出る血潮!! うめく忠太郎!! 竜谷チーム大ピンチ!!」
忠太郎 「頼むわさ!! おれ野球がやりたい!! 野球できるなら、死んでもいいわさ!!」 感動のシーン……なんでしょうが、この漫画のバカさ加減に呆れ果てておりまして、どうにも感情移入ができません。 そんな忠太郎にメリケン・ジャックは感銘を受けた ジャック 「うう…… ゆるしてくれ――っ!! こ、こんなつもりじゃなかったんだーっ!!」 忠太郎の仇・ジャックをぶん殴る牙。更に殴り続けようとするのを、みんなが止める。 石松 「おちつけ、牙!!」 香 「そうよ、牙!! ジャックはあやまってるのよ!! 悪いことをしたと後悔しているのよ!!」 阿羅漢 「ゆるしてやれ!! それが仏の心というもの……」 ……これとかこれとかは、いいのか? 忠太郎 「そうだわさ……こんな傷、なんともないわさ!!」 みんなの気持ちに絆された牙。ジャックに竜谷高校のユニホームを渡す。 牙 「忠太郎に侘びてえなら、命張って戦え!! たのむぜ、ジャック!!」 「あ……ありがとう」 ……かくして、『昨日の敵は今日の友』 (てゆーか、数分前まで敵ですが) 野球部員6人目 メリケン・ジャックくんが加わった。〔この人〕 牙石松忠太郎香阿羅漢ジャック 「よしっ、ゲーム再開だ!!」 アオリ 「また一人、仲間がふえた!! これで6人!! 固い信頼で結ばれ、強敵に挑む竜谷!!」
初球、ジャックがスチール敢行!! 二塁送球の間に牙も本塁を狙うが、看破され……
その策とは………石松への敬遠!! ベンチに残るは、重傷患者と女とヨボヨボ坊主。 牙 「香ちゃん…阿羅漢校長…それに重傷の忠太郎……どちらにしたって打てっこねえ!! いかんっ!! 〔中略〕……守ったら終わりなんだ!! なんとかしなければ……」 と、そこへ…… 「この野球、待てェ――っ!!」 突如、警察官が自転車に乗って登場。明らかにギャグキャラっぽい。 警官 「この試合、ちょっと待て!! 事件があったという連絡を受けた!! だから取り調べる!!」 試合中、職務質問を始める警官。その試合の事情を聴き、見るに見かねて…
しかし、バットの先っぽに引っ掛けてボテボテのピッチャーゴロ!! 1-3-6と渡ってトリプルプレイ完成!! 一瞬でチェンジ!! 無能、役立たず、厄病神>丹野五郎 牙 「守備…か!!」 蘭 「牙……きさまもこれまでだ!! ふふふ……」 アオリ 「五郎の入部で7人にふえた仲間!! だが、ついにチェンジ!! 竜谷チーム、どう守る!?」
ピッチャー・牙林太郎 キャッチャー・忠太郎 ファースト・中村阿羅漢校長 セカンド・熊尾石松 サード・メリケンジャック ショート・丹野五郎 ハーフライト・一乗寺香 一回の裏、秀和学院の攻撃は、いきなり主砲の一乗寺蘭から。 観客 「待ってました!! 高校野球史上最大の四番打者、一乗寺蘭!!」 (でも、試合放棄やらかしましたが) 「甲子園の主役が、こんなボロ寺で見られるとは思ってもなかったぜ!!」 (だから、試合放棄…) しかし、牙林太郎。微塵の動揺も見せず。三振に取れば外野など関係なし。 オール三振を狙って、一乗寺蘭に対して全力のストレート!! ……初球蘭空振り!! 蘭 「おれのバットが……空を切った!!」 観客 「げえっ!! は、速い!! おっそろしく速いっ!!」 「あんな投手が、どうしてこんなボロチームに!!」 しかし、一球捕っただけで、激痛に耐えかねてその場にうずくまる忠太郎。 それ見てほくそ笑む蘭 「ふふふ……牙、きさまもなかなかどうして非情なやつだな……」 あからさまに動揺する牙。二球目、忠太郎を気遣って力のないボール。 当然のように蘭に痛打され、ボールは外野に転々………ランニングホームラン。同点。 蘭 「ふふふ……この試合は一人が何度でも打てるんだったな……牙!?」 再び打席に立つ蘭。そして同じように打たれる。延々と打たれ続ける。滅多打ち……………… 「カキン」 「カキン」 「カアン」 「カキーン」 「カキィ」 「カーン」 日も暮れかけた長屋。飲んだくれて寝てる剛作の家に、慌ただしく押しかける人たちあり。 「剛作さん!! た、たいへんだよ――っ!!」 しかし、目を覚まさない剛作。 「起きろったら!! この飲んだくれおやじ!! 牙が……あんたのセガレがたいへんだよ!!」 「牙がコテンコテンにぶちのめされているんだよ!!」 「応援にいってやんなよ!! 牙は、あんたのたったひとつの夢なんだろ!?」 しかし、目覚めないアル中親父「ムニャムニャ……」。 悪態をついて帰っていく 「勝手にしろい!! アル中親父め!! こんな親父を持っちゃ、牙も勝てっこねえや!!」 「元プロ野球選手が、聞いてあきれるぜ!!」
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