ナマズの老師と亀仙人のおかげでてんてんは すくすく育ち、ますますかわいらしくなりました。 「きっと女の子に違いないね」とおばあさん。 夏が終わるころになると、柔らかい白い毛も増えて まるでパンダのようになってきました。 時々犬小屋から出て、おじいさんのふところで かくれんぼをしたり、好物のりんごをかじって遊んで いるのですが、悲しそうな眼差しを向けてくる てんてんに、おじいさんはふと不安になるのでした。 |
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秋が深まるとてんてんはなにやらそわそわと 落ち着きません。不思議なことに黄色い毛並み が次第に輝きはじめ、見事な黄金色に 変わってきたではありませんか! 手足には黒い毛並みと立派な爪が... ある日猟師が通りがかり、「珍しいテンだが... チョッと運動不足だな」というではないか! それを聞いて「立派な猟師になるには、やっぱり 山へ返してやらないと」とおじいさんたちもとても 寂しい気持ちになるのでした。 |
満月の夜がやってきて、また小さく欠けて行き 暗い夜空にオリオンが瞬く。 冬がすぐ近くまでやってきたある夜 てんてんはついに旅たつことになりました。 屋根裏部屋のモモンガ君に一声啼いて 別れを告げると星明りの山路をゆっくりと あの太り気味のからだをゆすりながら 帰っていったのでした。 さておじいさんとおばあさんはその後も 仲良く暮らしているそうだ。 昔こっぽり とびのくそ..... |
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草むらをかき分けると、小さくて汚れた生き物 が泣いていました。「これはタヌキの子に違い ない。大きくなったら鍋にして食ってやるかな」 おじいさんは喜んでつれて帰りました。 さて、それを見たおばあさん。「こんな痩せた イタチなぞ食べられるものか」と機嫌が悪い。 しかしよくよく見れば、小さいながら立派な爪も ある。井戸水できれいに洗い柔らかい手ぬぐい にくるんであげました。しばらくはカゴの中で育 ててみることになりました。 |
うわさを聞いた隣のおじいさんがやって来ました。 「いやいやこれはキツネかムジナの子に違いない。 かわいい顔をしているが...化かされんようにな」 と言う。おじいさんとおばあさんは、だんだんと心配 になります。 鶏肉が好物で、キツネのようにくるくると宙返りする 姿もかわいらしいので「てんてん」と名付けしばらく 様子をみることにしました。 |
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さてはて、「てんてん」の正体は一体何でしょう。 タヌキやらイタチやらキツネやら。はたまたムジナとやら。 まわりはガヤガヤうるさくとうとう病気になってしまいました。 そんな悩ましい頃、亀仙人が現れたのです。 右手を無くした亀仙人。大雨のあがった朝ふいに現れて てんてんとしばらく遊んだ後、何処やら去ってゆきました。 「困ったことがあったら、ため池のなまず老師に聞いてみる が良いぞ」と言い残して..... |
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さて夏が近づく頃には てんてんは子猫くらい の大きさに育ちました。 空家となっていた犬小屋 に移ることになりました。 からだもふっくらとして 「クックル..クックル」と 歌も唄うようになった。 おじいさんは少し好きに なりました。 |
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昔むかしある山郷におじいさんとおばあさんが住んでおりました。春のある日おじいさんは山へ
健康ウォークに出かけました。里山の小路を歩いてゆくと、草むらの中から奇妙な声がする。