平成17年12月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

1.周産期センター設置について

 皆さんお疲れのことと思いますが、しばらくの間お付き合いください。
 山口部長には第3子が誕生されたということで、寒い県庁でホットな話題となったのですが、私の周辺でも、最近三人の赤ちゃんが誕生しました。新しい生命の誕生は、それぞれの家庭にとっても、周りの者にとっても心温まる嬉しい出来事でありますが、特徴的だったのは、三人が三人とも妊娠中毒症や切迫流産の危険があるということで、予定日の何ヶ月も前から入院治療を受けながらの出産であったということです。
 幸い、三人とも適切な医療のお陰で無事に出産しましたが、二人の赤ちゃんは低体重児、いわゆる未熟児でした。余り母体に負担をかけずに、小さく産んで大きく育てるのが現在のお産のやり方のようで、小さく生まれた赤ちゃんもその後はすくすくと元気に育っております。
 かつて大きな社会問題となった未熟児網膜症の例などを想起するならば、出産を取り巻く医療システムの変化、高度化に目を見張らざるを得ないのでありますが、基本的に、出産は女性にとって命がけの大事業であるという認識だけは忘れてはいけないと思うのであります。そして、少子化や子育て支援が県政の課題として声高に叫ばれる中にあって、その根幹となる出産に対しての医療支援も大切なことではないかと考える次第です。

 先般、常任委員会視察で大分県の総合周産期母子医療センターに行って参りました。
 このセンターは、大分県の最重要課題である少子化対策の一環として、安心して子どもを産み育てるための環境づくりを推進すべく、妊娠、出産から新生児に至る高度専門的な医療を提供することを目的として、本年4月に新築開設されたものです。
 ちなみに、周産期とは、妊娠22週から生後満7日未満の期間をいい、この時期には特に、妊娠合併症や分娩時の新生児仮死など、母体や胎児、新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高いのであります。
 同センターでは、こうした周産期における突発的な緊急事態に対応できるよう、産科と新生児科の機能を集中し、新生児集中治療室 NICU 9床や母体・胎児集中治療室 MFICU 6床が整備されるとともに医師や助産婦等のスタッフが3交替、24時間体制で配置されておりました。

 大分県に限らず、既に全国34都道府県に同様のセンターが50施設、稼動しております。中国5県では岡山県に2箇所と広島県に設置済みで、島根県と山口県は今年度中に開設予定ということで、残るは鳥取県のみという状況であります。

 本県の少子化傾向については、いまさら申し上げるまでもない程大きな課題であると同時に、低体重児の出生数の増加や多胎妊娠の増加、19歳以下の若年出産や35歳以上の高齢出産の増加等、リスクを伴う出産に対し適切な医療対応が求められております。
 こうした状況のなかで、周産期医療の中核をなすセンター設置は是非とも必要であると考えますが、片山知事のご見解をお聞かせください。




2.医師不足対策について

 (1)奨学金制度の拡充
 深刻な医師不足対策について、6月議会における鉄永議員の質問並びに先日の藤縄議員の質問を踏まえ、私見を交えながら2点にわたって片山知事と坂出病院管理者にお尋ねします。
 最初に私立医大生への奨学金制度についてであります。
 私立医大は、国立に比べて入学金も授業料も桁外れに高額で、普通の家庭から進学させる場合は、大変厳しい負担を負うわけであります。私は、現在子どもさんを私立医大に通わせておられる親御さん達からその実情について常々聞かされてきました。入学当初の支払が1千万円近くもかかり、銀行に借金を頼んだが貸し渋りや侮辱的な言葉をはかれ、非常に情けなかったとか、こんな貧乏な家で本当に大学を続けられるのか、と自分の家が教授会で問題にされた、といった話であります。とはいうものの、これらの家庭は世間一般の相場から見ればそんなに貧しいわけではなくて、むしろ裕福な部類に入るような家庭でありますが、一般の家庭から私立医大に向かうことがどんなに困難な道であるかということであります。そして、先の鳥取大学医学部地域枠入学生に対する県の奨学金については、自分たちはこうした制度ができることを待っていた、是非とも適用してほしいとの強い要望を受けているのであります。
 私は、このような学生にこそ、大学卒業後に鳥取県に帰ってくること、鳥取大学医学部に入局することを条件にして奨学金を出すことは医師不足対策として非常に有効ではないかと考えるものですが、現在の奨学金制度を拡充していくことについて、知事の御所見を伺います。

 (2)女性医師の確保
 次に女性医師の確保という観点から、医師不足対策について考察してみたいと思います。
 現在、25万人程いる全国の医師のうち、女性医師は3万7千人程で、比率でいうと15パーセントですが、年齢が下がるにしたがってその比率が上がり、20歳台でみると32パーセントを占めております。昨年の医師国家試験の合格者でも34パーセントが女性であり、鳥大医学部の卒業生においてもほぼ同様の数字であります。ここまで増えている女性医師への対応をどうとるか、ということも医師不足解消の大きなポイントになろうかと思うのであります。
 厚生労働省の研究班が女性医師の勤務実態調査や支援策の検討を始めたり、新たな取り組みに乗り出す病院も出現しております。そうした病院のひとつである大阪厚生年金病院が行った、女性医師の仕事上での支障を問うアンケート結果があります。皆さんのお手元に配布しておりますのでご覧いただきたいと思います。これを見ますと、多分夫でありましょうが家族や職場の支援のなさを嘆きながら妊娠・出産・育児、子どもの教育を一人で背負い頑張っている女性医師の姿が浮かんできます。結果として、自分を責め体力、能力に自身を失っていく様子が伺い知れるのであります。
 言うまでもなく、医師の仕事は過酷なまでに多忙であります。その上に子どもをもったらそれこそ殺人的な日常生活になるであろうことは、容易に理解でき、結婚・出産を機に仕事を辞める女医さんもおります。しかしながら、子育ては一時のことで、その後仕事に復帰しようとしても、日進月歩の医学の世界では長期間のブランクを取り戻すことが果たして可能でしょうか。やはり、仕事を続けられる体制をつくってあげることが必要ではないでしょうか。

 女性医師が安心して働ける職場環境整備について、県立病院の実態と対応はどのようなものか、坂出病院管理者にお尋ねをします。

 また、本県は、男女共同参画・子育て支援・DV被害者支援等女性施策については全国的にも先進的な取り組みを行っているわけですが、この女性医師の子育て支援について片山知事はどのようにお考えでしょうか、ご答弁をお願いして一回目の質問を終わります。

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