平成18年2月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

1.中海をめぐる諸課題

 中海では、一昨年開通した江島大橋の傍らで、現在、中浦水門の撤去工事が進んでおります。懸案の堤防開削については、先の第8回協議会において、森山堤防60メートル開削ということで決着をみました。加えて、昨年秋のラムサール条約登録という一連の動きを通して、私は中海をめぐるひとつの時代の終焉と、新たな時代の幕開けを思い、感慨深いものがあります。
 失われた半世紀の間、周辺に暮らす人々が中海に対し、どのような思いを抱いてきたか、ある文章をご紹介したいと思います。境港市在住の安井美恵子さんが、最近出版された自分史のなかから 「アマモの生える海に戻したい」 です。  


 皆さん「藻場」に生えるアマモを知っていますか。そのアマモが海底3メートルの砂地に群生して、魚たちの格好の住み家となり、豊富な海の幸を私たちに提供してくれた。それにアマモは、弓浜半島にある美保基地周辺の荒廃していた農地に、欠かすことのできない肥料でもあった。
 今では海の美しい象徴でもあった藻場もなくなってしまい、手で捕まえることの出来たアオデも姿をけし、海で飛び跳ねていたボラも見かけなくなった。干拓で狭くなり、自然の姿をけしてしまった中海、私には嘆かわしく残念に思われてならない。
 海に囲まれながら、子供たちはプールで泳ぎ、日々の生活で買う魚は、地元産の魚が減り海辺で育った私にはあまり馴染めない海外からの輸入ものや、どんな海でとれたのかわからない魚が多くなった。
 どんどん排出される生活雑排水、海底にたまったヘドロで中海の汚濁は進行している。昔は弓浜半島は、四季を通じて恵み豊かな海だったような気がする。
 戦後60年を経た今、我々人間によって姿を変えた中海、まだまだ変わって行くであろうと懸念しながら、どうしようもないかと心に言い聞かせているのは私一人ではないはずである。もう一度藻場の出来る海に戻したいものである。


 こうした思いや願いを現実のものにしていく為には、まだまだ長い年月と多くの努力が必要でありますが、圏域の宝庫としての中海再生、活用に向けての取り組みが、まずは一歩前に進んだと受け止めております。
 地元では、官民挙げて、県境を越えた連携のもと、観光を主眼とした取り組みや、歴史・文化の掘り起こし、浄化に向けた活動が活発になってきました。漁業に従事される方々の期待感も高まっています。
 このような状況のなか、片山知事は、1月31日、澄田島根県知事との間で「中海及び境水道における漁業協定」ならびに「中海の水質モニタリングに関する確認書」を締結されました。
 来年度の予算書を見ますと、これらの知事合意に基づき、島根県と連携しての漁業振興・水質改善のための調査・研究等の予算措置がとられています。その成果に期待するとともに、これらの調査・研究が周辺住民の生活や意識の変革、活動に繋がっていくことが中海再生への道筋であろうと認識するものです。

 この間にあって、片山知事には県民の代表として、歴史的使命を担った時の知事として、大きな決断と局面の打開に当たられたのでありますが、今日を迎えられた感想、また今後の課題等についてはどのようにお考えかお聞かせください。




2.竹内団地について

 竹内団地は、県企業局によって、境港外港竹内地区に、港湾建設に伴う浚渫土砂を利用して造成された総面積128ヘクタールの工業団地であります。
 同様に県企業局により造成された昭和町と結んで山陰経済の要とし、地元の若者に雇用の場を確保したいというのが、その目的でありました。
 昭和49年、本議会において全会一致で事業決定したものの、着手が遅れ、竣工は昭和61年3月でした。
 当初、工業用地、港湾関連用地としての分譲でしたが、2年後の63年には、団地南側37ヘクタールを文化レクリエーションゾーンとして位置づけ、工業団地としての売却にこだわらないこととしました。
 その後、平成7年には境港FAZ計画の指定を受け、9年には夢みなと博の会場となって、このゾーンのなかに夢みなとタワー、みなと温泉館、おさかなセンター等の集客施設ができたことから、この一帯は、境港市条例で、特別業務区域としてFAZ拠点機能をもたせ、今日に至っております。
 割賦販売方式や長期貸付制度の導入も分譲、立地へのはずみとなりました。
 また、米子空港、境港の存在に加えて周辺インフラ整備への努力もありました。国道431号が中国横断道米子道と繋がれ、待望の江島大橋開通によって、この団地がもつ地の利が花開いたのが、平成16年の大型スーパー プラント5の出店でありました。
 一面の草原と化していた文化レクリエーションゾーンの一角、7、8ヘクタールに立地したこのプラント5とその後、周辺に進出した商業施設、飲食店を目当てに、休日ともなれば、県外からも多くの車がこの団地を訪れてくるようになったというのが、竹内団地の今日的状況であります。

 一方で、団地分譲面積83ヘクタールのうち、売却済みが53ヘクタール、貸付が11ヘクタールであり、未分譲地が17ヘクタール残っているというのも現実であります。
 また、売却済みの土地のなかには、14ヘクタール弱の未操業地があり、非常に大きな課題となっていることも事実であります。

 多くの課題をもつ竹内団地でありますが、分譲に向けてこれまで取り組んできた努力の跡を振り返り、団地造成の初期の目的を省みるとともに、本県知事としてこの団地に望むところ、将来展望を明らかにされることもまた、必要なことではなかろうかと考えるものです。
 竹内団地の今後のあり方について、片山知事のご所見を伺う次第です。





トップへ戻る

ホーム