その道を進むため、感じなければならなかった。

「ここは・・どこ・・?」
「さぁ・・・どこだろ・・・?」
二人はそれぞれにここが見たことのないところだと確認し、目を丸くさせた。そして
次に、考えた。
(何でこんなところにいるんだろう・・・?)
まだまだ大人と呼ぶには程遠い年頃の二人だったが、好奇心は子供だけに強かった。
自分の家のある村の周辺によくくりだしては日が暮れるまで遊びほうけ、探索して回った。
それだけにその辺の地理には詳しく、分からないところはないはずだったのだ。
新しいところへは二人だけでは行かない。休みの日になると父親がいろいろなところへ
遊びに連れて行ってくれるからだ。いつも忙しい父親は、休みの日を迎えると毎回違うところへ連れてってくれる。
そこまでの道を覚えてまた遊びに行く、それを繰り返していた。
そんな二人が、いま置かれている状況のおかしさに気づくのは早かった。
そうすると次に考えるべきことは、何故ここにいるか、だった。当然、二人が出した答えは一つ。
「父さ〜〜〜ん!!どこ〜〜〜??」
二人は懸命に父親を探す。が、父親の姿は一向に見つからない。
「お父さん・・・何処にいるんだよぉ・・・」
徐々に、二人を強い不安感が襲う。
「ま、まって!何か聞こえる・・・!」
赤ちゃんの鳴き声・・・そしてそれを必死にあやす声。二人は耳を澄まし、声のする
ほうへと駆け出した。とにかく二人は、不安感を拭い去りたかった。
「ハァハァ・・・あ、あそこ!」
「あれって・・・もしかして・・・」
二人は思わず足をとめた。遠くからだったが、その姿ははっきりと確認できた。
お母さん・・・?
二人には、母親がいなかった。母親は、写真の中でいつも二人に微笑みかけているだけだった。
でも、その母親が、今目の前に立っている・・・。
あの赤ちゃんは・・・?そして・・お母さんが何故ここに・・?
二人をいろいろな思いが通り抜けていく。だが、そんなことを二人が真剣に考えていられるわけがなかった。
「お母さ〜〜〜〜〜ん!!!!!」
二人は持てる全ての力で走った。しかし母親に飛びつくどころか、母親との距離は一向に縮まろうとしなかった。
(な、なんで・・・
不意に、母親は二人のほうを向いた。そして、いつものように二人に微笑みかける。
それは本当にいつもどおりだったが、何故か二人には、泣いている、そんな風に見えた・・・。
「かあさ・・・!!」
その瞬間、二人を暖かい光が包んだ。二人の視界は光に奪われ、意識が遠のいていった・・・。

その暖かい光の温もりは、母親の温もりを知らない二人にそれを教えてくれていた・・・

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