フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に着いたメルセデスはサングラスをとって改めて自分の前で繰り広げられている光景を見て
口をアングリあけて突っ立ていた。
まるでデパートのバーゲン競争をしているかのごとく婦人達が我先にと本屋の店先で押し合いへし合い奮闘していた。
こ・・・この中に飛び込むの〜いやだなあ・・・。
しかし新学期に闇の魔術に対する防衛術の授業に使う参考書をどうしてもここで買わなければならない。
でも、どうして今日にかぎってこんなに混んでいるのかしら。
その理由はすぐにわかった。
上階の窓にかかった横断幕に、ギルデロイ・ロックハートのサイン会と書かれていた。
丁度今、その本人が店の奥で客が買ってくれた自分の書いた本にサインを書いているようだ。
気の短そうな小男がその周り跳びまわって大きな黒いカメラでフラッシュをたいている。
どこかの新聞記者のようだ。
何たる偶然。買いに来た参考書はほとんど彼が書いた本だった。
結構人気のある著名人なのね〜。どれどれ
好奇心で人の波を掻き分けてこの騒ぎの原因の人物を見た。
ハンサムなブロンドの若い男が笑顔で自分の書いた本にサインをしていた。
サインが書かれた本を受け取った婦人たちは皆きゃーきゃーうれしそうに喜んでいた。
年齢層がやや上の女性達に受けがいいみたいだ。
婦人集団の波から抜け出したメルセデスはゼーゼーと息をはいた。
このひしめき合う人口密度にして香水や体臭の混ざり合った臭いが何とも鼻についてしまう。
もしかして私の体にも婦人達の香がついてしまったのかも。早々に脱出せねば。
目的の本を探しだしレジに持っていった。レジについた店員にメルセデスは
「領収書ください。ええ、ホグワーツ魔法魔術学校アルバス・ダンブルドア校長まで」
校長室でのいくつかの条件に授業料、参考書、教材に使う備品ナドにかかる料金を全部校長持ちにすることを約束させていた。
頼まれて入学するのだし、ホグワーツで一番の高給取りですもの。
それに条件をださなくても彼はもともと学費全般は自分からだすつもりでいたらしい。
当然それに私は甘えることにした。
買った本を持って,いざロックハート先生のサイン目当てに婦人たちの行列の最後尾に並ぶわけではなく、店に出た。
店の外の新鮮な空気をすう。
ふと、店の前に飾られていた特大サイズのロックハートの写真のパネルが
「私はまじっくだ〜☆」
を繰り返し連呼していた。
メルセデスはパネルの前に近づいてしげしげと見た。
ハンサムだけど軽薄そうな男ね。
そう思っていたときパシャッ!と白い光が自分に向けられた。
驚きざま光の根源をみるとさっきロックハートの近くで写真をとっていた小男が黒いカメラを持っていた。
どうやらランダムにロックハート以外にも書店の風景をカメラに収めていたらしい。
その小男はメルセデスに
「これは失礼、お嬢さん」
と、一言いい、また婦人たちの波に消えていった。
そういうことは撮る前にいいなさいよ〜。
まったくなんか今日は疲れる一日だったわ。
最後にこの本屋でゆっくり立ち読みでもしようかと思っていたのにこの状況じゃ無理ね。帰りましょ。
メルセデスがフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店を後にした一時間後、無事ロンの家族と合流したハリーがそこでロックハートにからまれ
マルフォイ親子と衝突し、ロンの父親のアーサーとルシウスマルフォイが取っ組み合いしたことを知るのは後々になる
それから一ヶ月が過ぎた。
一ヶ月の間メルセデスは気ままに自分が住んでいるアルバラーノの森の住人達に挨拶をし、(クマやウサギにまたは爬虫類関係など)
ホグワーツ魔法魔術学校の歴史本や世界現代魔法の本を読んで頭に叩き込んでいた。
闇の魔術に対する防衛術の参考書である、ギルデロイ・ロックハートの本も読んだ。
本を開いて著者紹介欄に彼の写真が載っていて、ついそこのところを見てしまうと写真のなかのロックハートにウィンクされた。
授業のたびに彼の顔が拝めるのね〜。
そう、彼女のこの台詞は正しい。
まさか担当教授がロックハート本人ということを知りもしないのに。
そして入学式当日、メルセデスは時間に余裕いっぱいに9と4分の3番線のホームにいた。
ホグワーツ特急の出発時刻はゆうに三十分はある。
早めに来て誰もいない席に座り持参した本をカバンからとりだし、しおりの挟んであるページをひらき読書に専念していた。
瞬く間に時間が過ぎて行き出発の時刻になった。
汽笛の音と同時にホグワーツ特急は発車し始める。
メルセデスが黙々と本を読んでいると扉からコンコンと手でたたく音が聞こえた。
「どうぞ。」
と言ったら扉が開き二人のかわいい女の子が入ってきた。
「あの〜相席していいかしら。」
栗色でふわふわした髪が靡かせながら一人の女の子が聞いてきた。
「ええ、どうぞ。」
メルセデスがそういうと彼女達は向かいの席に座る。
栗色の頭の女の子が
「ありがとう、私、ハーマイオニー・グレンジャー。グリフィンドールの二年生よ。この子はジニー・ウィズリー。新入生なの。」
紹介された赤毛の背の低い女の子は顔を赤らめながらこっちを見た。
「あの〜失礼だけどあなた転入生?」
「ええ、私はメルセデス・ルチアーノ。二年生の学年に入るのよ。ハーマイオニーとは同級生になるのね。」
それを聞いた二人は驚きの表情をみせる。
メルセデスはやっぱりこの外見で12歳になりますってびっくりされるのかしらと思っていたら、ジニーが自分の手持ちカバンからなにやら取り出した。
そうやら新聞紙の1ページらしい。
ジニーとハーマイオニーはその新聞紙とメルセデスを交互に見比べてこう言った。
「やっぱり〜彼女がハリーが言っていた人だわ!!」
ハーマイオニーの台詞にびっくりしたメルセデスは
「何のことなの?ちょっとそれ見せて!!」
新聞紙を渡されてまず目に付いたのが写真が載せてあったのだろうか、きれいに切り取られていて長方形の穴が空いていた。
「そこにハリーとギルデロイ・ロックハートのツーショット写真が載せてあったの。
それをママが切り抜いて、スクラップにしちゃって。」
新聞紙は日刊預言者新聞だった。
日付を見ると丁度自分がフローリッシュ・アンド・ブリッツ書店に行っていた日だ。
長々とそのサイン会の詳細が書かれていてどうやら自分が帰った後、大人同士の喧嘩があったようだ。
その記事をも読みこしたら
小さなサイズの写真が載っていて、それを見たメルセデスは目の玉が飛び出るくらいびっくりした。
その写真にはギルデロイ・ロックハートの写真をまじまじと見ている自分の姿がそこにあったのだ。
その写真のタイトルに「「写真のギルデロイ・ロックハート氏に熱をあげる美少女」」
と書かれていた。
はあ〜!?何よこれ!!この記事!?あ・・・そういえばあの時カメラを持った小男に写真を撮られたんだ。
まさか、新聞に載せられるとは思ってもいなかった。がっくり肩を落としながら気づいたことがあった。
ハーマイオニーに
「ハリーが言っていたって、ハリーポッターのこと?」
「そうよ、彼は親友なの。」
「そうなの・・。でも私は名前を知っていても彼に会ったことないし、なにより何で彼は私の事知っているの?」
「ボージン・アンド・バークスでマルフォイと一緒にいたのを見たって言っていたわ。」
その時、ガラっと車両の扉が開いた。
そこには今話していたドラコ・マルフォイと彼の両側には体格のいい少年が二人。
ドラコと同じスリザリン寮グラッブとゴイルだ。
メルセデスが
「あら、ドラコ。久しぶり」
そういうとドラコは少し頬を祖赤くしながら熱を持った声で
「やあ、ルチアーノ。君に再びあえる日を待ち望んでいたよ。」
ハーマイオニーとジニーは彼を睨み
「ハリーなら見てのとおりいないわよ。」
ハーマイオニーが言うとドラコは
「ついでのウィズリーもいないようだな。お兄ちゃん達はまだ家でネンネかい?」
そうジニーに向かって皮肉めいた言葉をはく。
髪の毛の色のごとく真っ赤にジニーは怒った。
それを見たメルセデスは瞬時にこの二組は仲が悪いのだなと察しが着いた。
グリフィンドール寮とスリザリン寮は長年の犬猿の仲。
今でもその風習は一目瞭然。
まだホグワーツにつくまで時間が長い。
それまでこういう状態が長引くのはよろしくない。何か鎮火させるネタはないのか。
メルセデスがさっき読んだ日刊預言者新聞を取り出し、
「あ〜ロックハートのサイン会で大人同士の喧嘩があったのですって!
しかも、中年の男同志!!ロックハートって婦人だけではなくゲイ紳士にもモテルノネ〜v」
話題を変えてこの場を沈めようと突拍子のないことを言ってしまった!!私っておばかさん!
するとジニーとドラコがこっちを振り返り
「それは私(僕)のパパ(父上)のことよ(だ)・・・。」
絶対零度の声で返されてしまいながらも、その場は収まった。
ドラコ達はすごすごと去っていき、本当におばかさんなメルセデスはジニーに
「ごめ〜ん!ジニーちゃん。知らなかったのよ〜!!」
と謝りつづけ、ジニーは
「そうね、貴方は知らなかったのだし・・・。」
でも、顔にはこの新聞を読んだ世間の人たちは自分の父親がゲイだと受け取っている人が何割ぐらいいたのかしら。
と、考えて暗くなった表情が目に見えてわかる。
ハーマイオニーはそんな二人をみながらクスクス笑っていた。